続続・次世代エコカー・本命は?(14)

排ガス不正問題では、米国のVW幹部がFBIに逮捕されたと言う。これからVW本体への波及も進むのではないのかな。注目する必要があろう。VWが排ガス不正に手を染めていった状況は、小生のブログ「続・次世代エコカー・本命は!(22~)」(2016.5.3~)を参照願う。

 

 

 

VW幹部をFBI逮捕 排ガス虚偽報告の疑い 欧米報道

ロンドン=寺西和男

20171100911

 独フォルクスワーゲン(VW)の排ガス規制の不正問題をめぐり、米当局に虚偽の報告をしていた疑いがあるとして、VWの幹部が7日に連邦捜査局FBI)に逮捕されたと、複数の欧米メディアが9日報じた。排ガス不正問題をめぐって米国でVW幹部が逮捕されたのは初めて

 VWは排ガス規制を逃れるため、ディーゼル車に不正ソフトウェアを搭載していた。米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、幹部は2014年から15年春にかけて米国におけるVWの排ガス規制順守部門の責任者を務めた。FBIはこの幹部が米当局に虚偽の報告をし、不正ソフトの発覚を遅らせるうえで中心的な役割を果たした疑いがあるとみているという。

 ロイター通信によると、FBI告発状で、この幹部らが15年7月、本社の経営陣に米当局は不正ソフトに気づいていないと報告し、経営陣も開示を求めるよりも隠し続けることを承認したと指摘。不正は15年9月に米当局が発表して公になった。

 VWの米国の広報担当者は9日、「VWは司法省に引き続き協力を続ける。捜査中の案件などにコメントをするのは適切でない」との声明を発表した。(ロンドン=寺西和男)

http://www.asahi.com/articles/ASK1B1V2NK1BUHBI00L.html

 

 

VW本体に関しては、独検が捜査しているようだ。適切な情報開示を怠ったということで、トップへの捜査を始めている。

 

 

排ガス不正、VW幹部を捜査 独当局、株価ゆがめた疑い

ロンドン=寺西和男

20161162326

 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は6日、独検察当局がVWの最高意思決定機関である「監査役会」トップのハンス・ディーター・ペッチュ会長ら2人について捜査を始めたと発表した。排ガス規制不正に関する適切な情報開示を怠り、株価をゆがめた疑いがあるとみられている。

 ペッチュ氏は昨年9月に不正が発覚した時点で、VWの財務担当取締役を務めていた。VWは6日の声明で、「取締役会はドイツの法律にそって開示義務を完全に果たしていた」とする一方、検察当局の捜査に全面協力するとした。

 不正問題の発覚を受け、VWの株価は一時、大幅に下落した。不正は米環境保護局(EPA)が公表して発覚。しかし、独検察は、それ以前にVW側がEPA側からの問い合わせで不正を把握しながら適切な情報開示を怠って株価をゆがめた疑いがあるとして、マルティン・ウィンターコルン最高経営責任者(CEO)の捜査を進めている。(ロンドン=寺西和男)

http://www.asahi.com/articles/ASJC674GLJC6UHBI01J.html

 

 

このVWの排ガス不正の責任問題もそのうちに明らかになってくるものと思われるが、経営トップも絡んでいるので、はなはだ厄介だ。ドイツ政府も取り扱いに苦慮することになろう。と言うのもVWをつぶすわけにもいかず、さりとてしっかりとお灸も据えないと世界の目が納得しないからだ。何といってもドイツはユダヤ人の虐殺を、ヒトラーナチスだけに責任を負わせて、ドイツ自体には責任はないと未だにごまかしているからだ。そしてそのことを隠すためか、日本などには厳しく当たっている。まことにメルケルをはじめドイツは不誠実な国なのである。

 

さて世界の目があるから、VWも不正対象車の無償修理には真面目に取り組まなければならない。

当初は2016年中に終えたいとしていたが、とてもじゃないが対象車両が1,100万台もあるので、計画通りにはいっていない。それでも2017年の秋には修理を完了させたいと言っている。本当にできるのかな。

 

 

VWリコール、17年秋までの完了目指す EU域内

ロンドン=寺西和男

201612212346



 独フォルクスワーゲン(VW)は21日、排ガス規制の不正問題について、欧州連合(EU)域内で、すべての不正対象車のリコール(回収・無償修理)に必要な許可を独運輸当局から取得したと発表した。これを受け、VWは欧州域内で2017年秋までにリコールの完了を目指すという。

 不正対象車は世界で約1100万台で、EUの28加盟国ではうち約850万台が対象だった。VWは今年1月末からリコールに着手していた。

 VWは米国でも20日、米当局などとの間で、排気量3リットルの不正車をリコールや買い取りで対応することで合意したと発表。今回の合意で、米国内でもすべて不正車への対応のめどがついた形になる。(ロンドン=寺西和男)

http://www.asahi.com/articles/ASJDP6KSYJDPUHBI030.html

 

 

と言ったように、今年もVWは多事多難だ。


(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(13)

次の記事は昨年の6月の物なので、やや古いものだが、一読願う。日経電子の版(バーン)なのでそれ程間違ってはいないものと思われるが、費用のくくり方や集計時期によりかなりの変動があるようだ。2017.3.15東京新聞によると、「米国の当局と合意した支払額は民事と刑事を合わせて約二百億ドル(約2兆2970億円)に達する。規制逃れ問題による支出はヤマを越えたとの見方が出ている一方、株主や顧客の損害補償請求の大半が未決着で、最終コストは見通せない。」としている。

 

 

 

 

VW、1.5兆円支払いで米当局と和解 排ガス不正で

2016/6/28 23:12 (2016/6/29 1:26更新)
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 【ニューヨーク=稲井創一】独フォルクスワーゲン(VW)によるディーゼル車の排ガス不正問題で、VWと米当局は28日、VWが総額147億ドル(約1.5兆円)を支払うことで和解した。米国における自動車メーカーの訴訟和解金(制裁金)としては、トヨタ自動車12億ドルを大きく上回り、過去最高となる。

 VWは排気量2000ccの不正車の買い戻し費用や罰金集団訴訟和解金などに約100億ドルを支払う。該当する不正車は475000台あり、所有者には5100~1万ドルの補償金を支払う。さらに環境関連費用や電気自動車の普及促進などに47億ドル支払う。主力車の2000ccの不正問題を巡り米当局などと和解したことで、米国での同社の排ガス不正問題はヤマ場を越える

 今回の不正問題で、主力エンジン技術「ディーゼル」の燃費に対する信頼性が大きく低下し、世界の自動車メーカーのエンジン開発戦略にも影響を及ぼした。

 VWは次世代燃費車の軸足ディーゼル車から電気自動車に置いた新たな成長戦略を米国でも推進する。ただ、米国内でシェアは約2%と苦戦。ブランドイメージが大きく傷ついたこともあり、米国での反転攻勢は容易ではなさそうだ。

 米国では米メキシコ湾で発生した原油流出事故での和解金を巡り、201510月に英石油大手BPが米政府・州政府に208億ドル(約2.1兆円)支払うことで最終合意した。米国での環境汚染や規制面で違反すると巨額の支払いが企業に課せられるリスクが鮮明になっている。米国で事業展開する日本企業にとっても、従来以上の厳格な法令順守が求められそうだ。

 

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM28H9S_Y6A620C1MM8000/

 

 

 

CO2排出規制ではVWは当座は、ディーゼルエンジンで何とか乗り越えようと考えていた様だが、「ディーゼルゲート」で壁に突き当たってしまった。そのため急遽(でもないが)、EVにかじを切っている。

 

片やトヨタとしては、HVがあまりにも人気に博していたので、少し目が眩(くら)んでいた様だ。その反面、CO2の排出をゼロとすることが求められていたから、一直線にFCVに傾注し過ぎていた嫌いがあり、近中距離用途の移動体に対してはトヨタとしても後れを取ってしまっている

 

まあ大雑把に言えば、移動の用途としては、近距離、中距離、長距離の三つの区分が考えられるが、トヨタとしては、近距離は「i-Road」や「i-TRIL」があり長距離はFCV「ミライ」があるが、中距離用途としてはHVPHVを当てると言う考えだったようで、PureEVを開発しようとはしていなかった(かどうかかは知らないが)。HVがあまりにも当たったので、PureEVの開発を疎かにした感がある。このことは2015.2.12の「次世代エコカー・本命は?(54)」でも少し言及しておいたが、環境対策上、一切CO2を出してはいけない時代が、遅かれ早かれ来るものと思ってかかる必要がある。そのためHVは環境対策車ではなくなったのである。トヨタは、HVにちょっと胡坐をかいていた感があったのではないのかな。だから早急にHVからは卒業する必要があったのである。今思うに、FCVよりもPureEVの開発を優先すべきだったのではないのかな。優先順位を間違えていたのかもしれない。

 

この状況は「自動運転車」の開発にも言える、クルマは人が運転するものだと言う考えから抜け出せなかった。クルマは人を移動させるもの、と言う考えになかなか行き着かなった、と言うわけだ。

 

CO2ゼロのためには、PureEVは、どうしても必要なのである。HVではダメなのである(と言うわけでもないが、HVはどちらかと言うといわゆる低開発国向けとなろう。)。このことは別途扱うこととして、VWの問題に戻ろう。

 

 

VW2016年は世界販売がトップになり財務状況('15/12月期は大幅赤字、'16/12月期は黒字だった)も何とか持ちこたえたと言っても、課題は大ありだ。

 

先の315日の日経新聞によると、

 

まず第一に、黒字になったと言ってもその大半は、ポルシェとアウディが稼いてでいる。VW本体の営業利益率は1.8%とかつかつだった。それも排ガス不正の引当金が減ったためだと言うし、VWグループとしては、利益の6割はポルシェとアウディが稼いでいる反面、台数はVWの乗用車が6割を売っている、と言った状況のようだ。

 

だから、これからのEVや自動運転などの巨額な技術開発の費用を賄うには不安が残るようで、人員削減に踏み切らざるを得ないようだ。VWグルーブ全体で3万人の人員削減37億ユーロの合理化で、労使と'16/11月に同意していると言うが、そのため労使関係もぎくしゃくしだした、と書かれている。

 

第二の課題は、排ガス不正の責任問題

 

第三の課題は、トランブ政権の動きだと言う。VWはメキシコ工場の依存度が高く、ドイツは2016年最大の貿易黒字を計上しているから、内心穏やかではない筈だ。この件は別途取り上げよう。

 

 

 

VW、3万人の人員削減へ コスト削減で投資資金を捻出

ロンドン=寺西和男

201611190033

 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は18日、世界で計3万人の人員削減に踏み切ると発表した。排ガス規制の不正逃れ問題を受け、環境対応車軸足ディーゼル車から電気自動車(EV)に移しており、投資の元手を確保するためにコスト削減に踏み切る。

 VWグループはアウディポルシェのほか、VWブランドの乗用車部門、商用車部門など12ブランドに分かれている。削減対象はVWブランドの乗用車部門が中心で、ドイツのVWブランドの乗用車部門の2万3千人を含む。強制解雇はせず、早期退職などで対応する。これにより2020年以降は年間37億ユーロ(約4330億円)のコスト削減の効果を見込んでいるという。

 VWは不正問題を受け、遅れていたEVなどの開発を急いでおり、EV自動運転につながるデジタル技術などに今後数年間で35億ユーロを投じる計画だ。ただ、リコール(回収・無償修理)や訴訟対応などに計182億ユーロを引き当てるなど対策費が膨らんでおり、コスト削減で投資資金を捻出する。

 VWの純損益は昨年12月期決算で15億8200万ユーロの大幅な赤字になった後、今年1~9月期は前年同期比49・9%増の57億3800万ユーロと黒字に転換している。ブランド別の営業利益は、ポルシェが前年同期より増益、アウディもほぼ前年並みだが、グループ販売の約6割を占めるVWブランドの乗用車は44%減った。収益回復のため、VW乗用車部門でのコスト削減が課題になっていた。(ロンドン=寺西和男)

http://www.asahi.com/articles/ASJCL35CCJCLUHBI010.html

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(12)

トヨタサイドで言うと、中国への進出の遅れ、アメリカでの販売の停滞、プリウスPHVの販売後れなどで国内販売が停滞したことなどが挙げられているが、それらのことは織り込み済みで年前半の生産停止がなければ、十分に年間販売トップの座は維持できたものである。

 

VWサイドでは、中国販売が長年の努力傾注の結果が表れたとか、「ディーゼルゲート」(排ガス不正問題)の影響がブランド力のおかげで軽微に済んだことなどが、言われている。

 

しかし主原因はトヨタの躓きであり、愛知製鋼の爆発事故、アイシン九州の生産ストップ、アドヴィックスの爆発事故による18万台の減産に尽きるものである。今年になっても3月20日のトヨタ車体いなべ工場で火災が発生しているから、油断は禁物である。どれほどの減産となったかは小生は詳らかではないが、これ以上この種の事故が起きないことを願うばかりである。

 

それにしても「ディーゼルゲート」事件からの挽回は速かったものだ。まだこまごました問題はあるようだが、さすがVWグループのブランド力は大したものだ。

 

 

(4)VW排ガス不正問題、和解へ!

 

 

しかし排ガス不正問題でのVWへの制裁金(訴訟和解金)と言われるものは、総額約202億ユーロ(約2.47兆円)に上ると言う。えらいこっちゃ!。

 

 

VW不正で和解、復活への道険しく

The Wall Street Journal. logoThe Wall Street Journal.The Wall Street Journal. STEPHEN WILMOT 1/12/2017112日)

欧州モーターショーで展示されたフォルクスワーゲンの「アマロック」(2014年1月14日)
© Provided by The Wall Street Journal.

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

***

 独フォルクスワーゲンVW)にとって、10日は一見めでたい日となったかに見えた。年間販売台数が過去最高に達したと発表するとともに、2015年の排ガス不正を巡り米司法省と和解に近づいているとの報道を認めた(訳注:同社は11日、有罪を認め、総額43億ドルの罰金を支払うことで司法省と合意した)。5000億円となる。

 しかし、同社の回復を妨げる最大の障害は排ガス不正事件ではない。今はVW復活を期待して投資するタイミングではない。

 米司法省との協議の進展がVW株をここ1カ月押し上げてきた。しかし、株主にとって本当に重要な問題、すなわち「VW」ブランドの収益性の低迷は依然、好転の見通しが立っていない。VWは回復に向けて2つの道を歩んでいるが、投資家はそれを混同して自らを危機に陥れている。

 排ガス不正問題は、どちらかと言えば局所的な問題だ。10日の欧州市場の取引終了後、VWは米政府と和解間近であるとの報道を認めた。同社によると、民事および刑事上の罰金総額43億ドル(約4960億円)。同社は既に不正事件の関連費用として182億ユーロ(約22240億円)を引き当てているが、シティグループの試算では、さらに20億ユーロ追加される見通しだ。

 同社の優先株式普通株式に相当)は11日午前の相場で3%上昇した。

 同社は10日、2016年の販売台数も発表した。前年比3.8%増の1030万台となり、全メーカーの中で首位に立つ見込みだ(もう一つの有力候補であるトヨタはまだ数字を発表していない)。販売好調の主因は2つある。1つはシュコダアウディ、ポルシェなどグループブランドが多岐に渡るおかげで、グループ全体としてはVWの排ガス不正問題の影響をさほど受けずに済んだこと。もう1つはVWがリードする巨大な中国市場が政府の各種補助金で追い風を受けたことだ。補助金1月で期限切れとなるため、昨年のような好業績を達成するのは難しくなる。
(注、但し取得税減税幅を半減して1年間延長されるようだ。)

 中国以外ではVWブランドは苦戦した。最も不調だったのは米国に加え、意外にもドイツで2016年の販売台数は前年比7.2%減となった。排ガス不正問題は法的には解決しても、商業的には解決していない

 VWにとって利益改善に向けて本当に取り組むべき問題はコストだ。回復に向けた2つの道のうち、こちらの方がむしろ重要だ。同社はVW部門の営業利益率を2020年には4%に倍増させると表明している。しかし、労組の支持を得るため、10年間は自主退職による人員削減しか行わないことに同意した。また、同社は幅広い電動パワートレイン技術に投資しているが、それは戦略的観点からというよりも人員維持が目的だ。

 VWの株主構造は、いまだに資本ではなく労働者が会社を支配していることを示している。最新のニュースにだまされてはいけない。復活を目指す闘いは、よく見積もっても長引く公算が大きい。

http://www.msn.com/en-us/news/other/vw%e4%b8%8d%e6%ad%a3%e3%81%a7%e5%92%8c%e8%a7%a3%e3%80%81%e5%be%a9%e6%b4%bb%e3%81%b8%e3%81%ae%e9%81%93%e9%99%ba%e3%81%97%e3%81%8f/ar-AAlM6Op

 

 

VWは既に182億ユーロを、この排ガス不正問題の処理費用として、引き当てていると言う。今回の罰金として43億ドルが課せられると言う。それを含めるとこの182億ユーロでは足りなくなり、総額202億ユーロとなろう、とこの記事は言っている。とするとおおよそ日本円にして、24684億円となるようだ。(2017.3.15日経新聞では、排ガス不正の引当金は27000億円に積みあがったと言っているが、これはレートによる違いか。)

 

これは全世界での処理費用だと思われるのだが、ことアメリカだけでの費用は総額147億ドル(約1.5兆円)になると言う。トヨタプリウス急加速問題で支払った総額が12億ドルだと言うので、VWとしてもたまったものでは無いはずだ。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(11)

ディーゼル不正問題で揺れたVWトヨタを抜き世界一の販売台数になった理由とは?

投稿日: 2017112TEXT: 山本晋也

 

中国を中心にアジア太平洋地域での販売増が大きく影響

フォルクスワーゲン・グループの2016年暦年のグローバル販売台数が10312400となることが発表された。悲願の1000万台オーバーを実現し、初めてトップとなることが確実視されている。WEB CARTOP



2015
年には北米に端を発したディーゼルエンジンのエミッション不正問題、いわゆる「ディーゼルゲート」があり、後半失速したフォルクスワーゲンだが、2016年はフォルクスワーゲンの乗用車だけでも5987800台と前年比2.8%増。売上を伸ばしている。

 

ちなみに、フォルクスワーゲン・グループに含まれるのはフォルクスワーゲンのほか、アウディ、ポルシェ、シュコダ、セアト、ランボルギーニベントレー、ブガッティ、スカニアMANといったブランド。

とはいえプレミアムブランドの販売台数は少なく、アウディ2016年の販売台数は1871300台)、シュコダ(同1127700台)、セアト(同41200台)、ポルシェ(237800台)、フォルクスワーゲン商用車(同48100台)といったブランドで台数を稼いでいる。WEB CARTOP

 

地域別のセールスでみると、前年比12.2%増の中国を含むアジア太平洋地域4318700も売っているのが目立つ。ちなみにヨーロッパ地域は前年比4.0%増の4206500で、フォルクスワーゲン・グループにとってアジア太平洋地域のほうが市場は大きくなっているのだ。WEB CARTOP


ディーゼル不正問題のアメリカ市場は数字を落としたがそれでも回復傾向にある

ディーゼルゲート」について、まだ片が付いたとはいえないアメリカ市場2.6%減となっているが、その販売台数は591100。ヨーロッパや中国市場と比べると桁がひとつ小さい市場なのだ。なお北米においても徐々に回復傾向にあるという。

そのほか、市場自体のシュリンクにより、ロシアが前年比4.3%減、ブラジルは33.9%減となっているが、いずれも15から25万台規模の市場であり、全体としての影響は少ない。







つまり、フォルクスワーゲン・グループの販売台数が1000万台を超えたのは、中国市場が前年比12.2%増3982200と大幅に伸びたことが原動力となったといえる。

一方、2015年まで4年連続で世界ナンバーワンの販売台数を誇ったトヨタ・グループの世界販売台数1000万台を超えるものの、フォルクスワーゲン・グループには届かない模様だ。

トヨタとしては、2016年に愛知製鋼の事故や熊本地震の影響による操業停止があったことも、トップを明け渡す原因のひとつになっているといえそうだ。WEB CARTOP

 

もっとも、前述したようにフォルクスワーゲン・グループが多数のブランドを抱えているのに対して、トヨタ・グループの販売台数というのはトヨタ、レクサス、ダイハツ、日野の4ブランドの販売台数を合計したものである。

基本的には協業戦略をとるトヨタだが、資本比率を高め合算対象になるメーカー(ブランド)が増えるようなことがあれば、またトップ争いの状況は変わっていくだろう。

https://www.webcartop.jp/2017/01/64647/2

 

 

まあトヨタがトップから陥落した原因、言い換えればVWトヨタからトップの座を奪い取った理由は、諸々の原因があり一概には決めかねるものである。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(10)

モデルチェンジの周期が長い独メーカー



 VWに限らず、ドイツの自動車メーカーは、良い製品をしっかりと作り、それを長く維持して利益を出すとともに、消費者や取引先の信頼を築いてきた。そうしたモノづくりの姿勢が消費者に浸透しているため、VWは不祥事の影響を最小限に食い止めることができたと考える。

 「良い製品をしっかりと作る」代表例が、第2次大戦後にVWが本格的に生産を開始した「タイプ1(通称ビートル」だ。タイプ1は、改良を重ねながらドイツ国内で1978年まで製造が続けられた。メキシコではさらに2003年まで製造が続けられ、その結果、タイプ1の累計生産台数は2100万台を超えている。

 タイプ1の後継と言える「ゴルフ」は、1974年発売の初代から6~9年の間隔で新型にモデルチェンジをしている(08年発売の6世代目は4年で新型に)。日米の自動車メーカーのモデルチェンジ周期はおよそ4~5年である。これより長い間隔を置くのはVWだけでなく、他のドイツメーカーも同様だ。

ディーゼルエンジン車へのこだわり

 一方で、VWの長いスパンでモノづくりを考える姿勢は、ディーゼルエンジン車へのこだわりにもつながった。

 トヨタ97年12月、世界初の量産型ハイブリッド車プリウスを発売した。エンジンとモーターという二つの動力源を持つハイブリッド機構で燃費の向上を図るプリウスの登場は、エコカー開発でしのぎを削っていた世界の自動車メーカーに大きな影響を与えた。しかし、VWなどドイツの自動車メーカーは、プリウスに対する関心が薄かった。そんな複雑な機構を用いなくとも、元来燃費が良いとされ、ヨーロッパでは小型車を中心に定着していたディーゼルエンジンの活用で代替できると考えた。

 19世紀末に開発されたディーゼルエンジンは、揮発性の少ない軽油を燃料とし、石油に限らず植物などから取れる油も使えることから、VWやダイムラー・ベンツは、植物由来のバイオ燃料を使うことで二酸化炭素(CO2)排出量を抑えることも検討していた。国内でも、てんぷら油の再利用といった話題がニュースになったこともある。しかし、「燃費向上」と「排出ガス浄化」の両面で、年を追うごとに規制が厳しくなるなか、ディーゼルエンジンの排出ガス浄化は、ガソリンエンジンに比べて達成がより難しく、浄化装置に多くのコストがかかるようになっていった。

 排出ガス浄化に関して、アメリカはカリフォルニアを中心に、ヨーロッパに先行して厳しい規制を設けている市場である。日本もまた、排出ガス規制が世界一と言われるほど厳しい。ところが、VWはガソリンエンジンを使うハイブリッド車を生産していない。そうした状況のなかで、VWはトヨタゼネラル・モーターズ(GM)と世界一を争っていたのである。

 日本にいると、トヨタ、GMと並んで自動車業界の「ビッグ3」の一角であるVWは、アメリカ市場でも大きな販売力を誇っていると思いがちになる。しかし、VWのアメリカでの販売台数は、2016年で約59万台に過ぎない。約245万台のトヨタとは4倍の開きがある。一方のトヨタは、15年まで4年連続で世界一の販売台数を保持していたが、その屋台骨を支えているのはアメリカ市場だ。

 

中国市場で後れをとるトヨタ

 VWがトヨタと世界一を競い、ついに世界一の座を得られたのは、中国市場で強みを発揮しているからである。16年のVWの中国での販売台数は約398万台で、前年より約44万台(12.2%)増加している。これに対しトヨタは、前年より約20万台(8.2%)増えたものの約121万台にとどまっている。VWの3分の1以下でしかない。VWとトヨタの世界販売台数の差が約21万台であることを考えれば、中国市場が両社の勝敗を分けたと言っても過言ではない。

 トヨタは、アメリカとは逆に、中国で大きく後れをとっている。その理由の一つに、中国市場への進出が遅かったという事情が挙げられる。VWは1985年に中国進出を果たしたとされているが、日本の自動車メーカーの中国進出は、ホンダが98年、日産自動車が2001年、トヨタはさらに遅れて02年である。

 日本メーカーが中国進出を躊躇(ちゅうちょ)し、出遅れてしまった背景には、中国政府が海外メーカーによる技術独占を阻止するため、海外メーカーと国内メーカーによる合弁会社外資の出資割合は50%まで)設立を義務付けたこともあるだろう。

 これについても、モノづくりに対する日独の考え方の違いが影響している気がする。ドイツの自動車メーカーは、大手部品メーカーが開発した部品を組み合わせて新車を造る。例えば、独ボッシュは、ドイツのみならず、ヨーロッパではよく知られた大手部品メーカーだが、ドイツの各自動車メーカーは、ボッシュの部品を使ってそれぞれ独自性のある乗用車を生み出している。

 それは部品にとどまらない。たとえばBMWは01年、かつて英ローバーの人気車だった「ミニ」を買収し、自社で発売した。このミニは、ガソリンエンジン車は米クライスラー製のエンジンを、ディーゼルエンジン車ではトヨタ製のエンジンを搭載していた。エンジンという主要部品を他社に依存していたのだ。それにもかかわらず、運転してみれば、どちらもミニの謳(うた)い文句である「ゴーカートフィーリング」が体感できる、壮快な走りを実現していたのである。つまり、搭載されている技術がBMW独自のものでなくても、誰もが思い浮かべる「ミニの走り」を作り込めるのがBMWであり、またそれは、ドイツの自動車メーカーが得意とするクルマづくりであると言える。

自社技術の流出を懸念

 日本の自動車メーカーは、中国で合弁会社を設立して自動車を製造する際、自社の技術が中国へ流出してしまうのではないかと懸念したはずだ。日本メーカーは、ドイツメーカーと異なり、自社系列の部品メーカーを通じて、内製技術で新車開発を行うことを是としてきた。今日もなお、日本メーカーは、自社製の部品や技術へのこだわりが強い。自社の出資比率が50%以下の合弁会社となれば、中国側に自社の知見が渡ってしまうのではないかと懸念するのも当然であろう。

 それに対し、自社製へのこだわりがあまりなく、どこの会社の部品を使っても自社の持ち味を出せるドイツメーカーのVWには、合弁会社で中国に知見を持っていかれる懸念は比較的少ない。だから、中国進出にためらいはなかったはずだ。こうして、アメリカの4倍以上の人口を誇る中国で、VWはいち早く足場を固め、その市場で確固たる地位を築いていった。

「負のイメージ」にあまりとらわれない欧米の消費者

 とは言え、排出ガスの不正問題は、企業の信頼を大きく損ねる失態であり、顧客離れが起きてもおかしくない。実際、15年9月にVWの不祥事が発覚すると、日本では翌10月にVWの販売台数が一気に半減した。そして、国内輸入車販売台数で15年間守ってきた首位の座を、同じドイツ勢のメルセデス・ベンツに譲ったのである。

  • フォルクスワーゲンが中国市場向けに投入したセダン「フィデオン」(2016年2月29日)VW20170124-OYT8I50023-N

    フォルクスワーゲンが中国市場向けに投入したセダン「フィデオン」(2016年2月29日)

 メーカーに不信感を抱き、購入を控える消費者心理はよくわかる。だが一方で、それまでのVWに大きな汚点はなかったし、同社のモノづくりへの信頼は厚かったはずだ。しかも、問題となったディーゼルエンジン車は日本では販売されておらず、ガソリンエンジン車には何の不具合もなかった。ディーゼルエンジン車にしても、最新仕様の新車については何ら問題ないと、VWは主張している。

 メーカーへの信頼という精神的な支えはもちろん、おろそかにできない。だが、今、目の前で売られている新車に不具合がないのであれば、買って損はないであろう。そのことを、海外の消費者は理解しているのではないか。事実、不祥事の震源地となったアメリカで、VWは16年の販売台数を前年よりわずか0.8%ながら増やしていのだ。

実際には先の3社合計では、587千台(←603千台)で-2.6%となっている。

 ヨーロッパにおいても、VWはドイツ、イギリス、フランスなどで販売台数を伸ばしている。つまり、欧米の消費者は、不祥事の「負のイメージ」にあまりとらわれずに、己の目で判断し、良いと思ったモノを買っているということだ。中国人もまた、欧米人と同じような思考で買っているのだろう。結果として中国は、VWが16年に最も販売数を伸ばした市場となった。

電動化の道に転換し競争

 VWは、今回の不祥事をきっかけにして、一気に電動化の道へ転換しようとしている。同社は、20年までに20種類以上に及ぶ新型の電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車PHVを市場投入すると表明した。ディーゼルエンジンから電動化への転換は、アメリカ市場でのラインアップの充実も意味する。一方のトヨタは、昨年12月トヨタグループの豊田自動織機アイシン精機デンソーからの人材を加えて、EV開発のための社内ベンチャーを設立している。

 トヨタとVWは今後、電動化を軸に、世界一の座を巡って熾烈(しれつ)な競争を続けていくことになるだろう。EVの開発でカギを握るのは、リチウムイオンバッテリの信頼性・耐久性の向上と、大量生産による原価低減である。これは、自社グループだけで対応するのは難しい。そこで、内製部品に固執せず、他社の部品を組み合わせて使っても独自性のあるクルマを生み出せるかどうか。トヨタに限らず、日本の自動車メーカーのモノづくりが問われることになるかもしれない。

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プロフィル

御堀 直嗣( みほり・なおつぐ )

 1955年、東京都生まれ。玉川大工学部卒。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

 

http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170124-OYT8T50037.html?page_no=4&from=yartcl_page

 

 

この論考はちょっと饒舌すぎるが、次の記事の方が簡潔で要点をついている、と思われる。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(9)

トヨタは敵(VW)に塩を送ってしまったことになったわけだ。2011年のVWのトップも、東日本大震災の影響によるものであり、丁度2016年の原因と一部似通っている。

 

敵(VW)に塩を送った」と言うことは、2007VWの社長となったマルティン・ヴィンターコーン社長が、その翌年の2008年に中期経営計画「ストラテジー2018を発表して、2018年までに一千万台を達成してトヨタを抜く、と拡大路線を宣言していたからである。結局この目標はトヨタサイドの躓きで2年早く達成したことになるのだが、しかしマルティン・ヴィンターコーン社長は、2015.9.25に、排ガス不正の責任をとって辞任しているから、この栄誉には浴することはなかった訳だ。2016.5.5の「続・次世代エコカー・本命は?(24)」を参照のこと。

 

VWと言えば、2015/1~6月の世界販売台数で、初めてトヨタを抜きトップに立った矢先に、ディーゼルエンジン車に排ガス規制を逃れるために、違法ソフトを搭載していたことがばれてしまい販売が減少しトップにはたてなかった。この件については、2016.4.29~の「続・次世代エコカー・本命は?(20~)」を参照願うが、両社の世界販売は次のようになっている。

 

 

KNN KandaNewsNetwork

The Smallest digital TV station in the world.ポール神田敏晶

自動車メーカー世界ランキング 2016

by Toshiaki Kanda · 20160505日 木曜日

 https://4knn.tv/world-car-maker-ranking/ 



によると、

 

    2014年   2015年     2016    

トヨタ 1023万台  1015万1千台    10175千台

VW   1014万台   9930千台    10312千台

差   + 9万台   +221千台    -137千台

 

VW2015年は排ガス不正の影響をもろに受けて、一千万台の大台も割ってしまっている。年・前半には2万台ほどトヨタを抜いていたのであるが、後半排ガス不正による販売減で大幅失速したと言った塩梅であった。

 

数字の上では中国での販売数の差が大きくトヨタが後れを取っているが、欧州を除く地域ではトヨタが勝っているので、必ずしも中国の差とは言い切れない。結局は事故で生産を停止した18万台の減産が直接の原因であろう。

 

次の記事は、自動車評論家としては早とちりの感もあるが、一般的なものの言い方を現したものである。

 

 

 

 

自動車
http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20170124-OYT8T50037.html?page_no=1

トヨタが独VWに「世界一」の座を奪われたワケ

モータージャーナリスト 御堀直嗣

201701241200

 

 独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の2016年の世界販売台数が、グループ全体で1031万台に達し、前年まで4年連続で首位だったトヨタ自動車1009万台の見通し)を抜いて、同社初の世界一に立つことが確実になった。15年秋に発覚した排ガス不正問題で経営の根幹が大きく揺らいだVW。にもかかわらず、なぜ同社はトヨタを逆転することができたのか。モータージャーナリストの御堀直嗣氏が分析する。

実際には10175千台となった。

不正発覚の翌年に販売台数伸ばす

  • フォルクスワーゲンの排ガス不正を追及する米下院の公聴会に出席したVW米国法人のマイケル・ホルン社長(左端=当時。2015年10月8日、米ワシントンで)

    フォルクスワーゲンの排ガス不正を追及する米下院の公聴会に出席したVW米国法人のマイケル・ホルン社長(左端=当時。2015年10月8日、米ワシントンで)

 

 VWでは15年9月、自動車業界を揺るがす重大な不正事件が発覚したことはご存じの通りだ。VWがアメリカで販売しているディーゼルエンジンについて、排出ガス検査の時には規制値をクリアするように作動し、顧客が実際に運転する時には規制値以上の有害物質が排出される装置が取り付けられていたというものだ。

 この問題を巡って、VWと米環境当局が昨秋、不正車両を保有する顧客への補償などにVWが約147億ドル(約1兆5000億円)を支払うことで民事上の和解に合意した。今月11日には、VWが刑事責任も認め、罰金など約43億ドル(約5000億円)を支払うことで米司法省と和解したと発表した。

 これと同じ日に、米司法省がVWの幹部6人を起訴する事態にもなっている。さらに17日には、ドイツの裁判所が、不正対象となった車両の所有者が求めていた購入代金の返還請求を認め、VW側に約2万6500ユーロ(約320万円)を支払うよう命じている。

 このように、VWは排ガス不正問題で経営的に大きな打撃を受けた。だが、16年の世界販売台数を見れば、VWは前年比3.8%増1031万台に達し、トヨタを抜いて世界一となることが確実となった。不祥事発覚の翌年にもかかわらず、VWはなぜ販売台数を伸ばすことができたのか。その理由を、自動車メーカーとしてのモノづくりと、消費者の意識の面から考えてみたいと思う。

(続く)

続続・次世代エコカー・本命は?(8)

(3)2016年世界販売、トヨタ首位陥落、VWトップ!

 

この件については、既に先のブログ2016.8.24 の「続・次世代エコカー・本命は?(93」で予想しておいたものではあるが、そこでは次のように述べている。

 

 

()アドヴィックス爆発事故トヨタは、5/31~6/1と約2日間の生産ラインを止めている。6/2には生産は再開されたと言っているが、この1.5日から2日間の車両組み立てラインの停止により減産台数は如何ほどになるのであろうか。

 

愛知製鋼の爆発事故での6日間の生産停止では、9万台の減産と言っているので、1日に換算すると1.5万台の減産となっている。それを参考に今回のアドヴックスの影響は全社的でないとして、1万台は超える程度の減産となったのではないのかな。

 

とすると、この3回の事故での生産への影響は、少なく見積もっても9+8+1=18万台ほどの減産となろう。

 

トヨタは国内生産300万台は維持すると言っているので、1年間の稼働日を250日とすると、1日の生産台数は1.2万台となる。これは少なく見積もっているので、現状は1.2万台/dayよりは多くなろうが、これで計算すると18万台/1.2万台・日=15日となるので、20日稼働・月とするとほぼ3週間の稼働が必要となる計算となる。この遅れは、トヨタと言えども今年中には挽回できないであろう。1.5万台/dayとしても12日となり、2週間半ほどの稼働が必要となる。これを月2回の土曜日などの臨時出勤(定時稼働)でこなそうとすると、15÷2/=7.5ヵ月も掛かってしまう。と言う事は20167月から月2回の臨時出勤で挽回しようとすると、来年の2月までかかってしまう事になる。当然社内的にも労働組合などとも、臨時出勤に関してかなり突っ込んだ話し合いが必要となろう。

 

まあこれは7月から挽回生産を開始すると言った前提であるので、年初からシャカリキに挽回生産を実施していれば話は別になるが、残念ではあるが、2016年の世界生産・販売台数トップは、VWに譲らざるを得ないであろう。

 

何も世界販売がトップでなくてはならないと言うわけでもないので、そうシャカリキになる必要はないのではあるが、

 

20161~6月の世界販売台数は

 

VW  5116800

トヨタ 4992000

 差  124800

 

と言う事なので、18万台の減産がなければ優に世界販売台数でも、VWに引けを取らなかった勘定となる。

 

まあそれよりも、なぜトヨタ系の関連会社で爆発事故が続いたのであろうか、と言う事の方が重大なことである。当然それぞれの作業の過程で、何らかの手違いが発生した結果の事である訳で、トヨタグループ全体に社内風紀的にいわゆる何かが緩んでいた結果ではなかろうか。これを締め直すには、並大抵な事では出来ないのではないのかな。トヨタも正念場である。

 

 

そんなわけで、トヨタは世界年間販売の首位から転落してしまった。

 

 

トヨタ、世界販売で5年ぶりに首位陥落 トップのVWとの勝敗分けた「中国の差」

2017.1.31 06:12

トヨタとVWの世界販売台数
トヨタとVWの世界販売台数【拡大】 世界販売bsa1701310500001-f1 s5nk

 トヨタ自動車が30日発表した2016年のグループ世界販売台数(ダイハツ工業日野自動車含む)は前年比0.2%増の1017万5000台だった。これに対しドイツのフォルクスワーゲン(VW)は3.8%増の1031万2000台で、トヨタ約13万7000台下回り5年ぶりにトップから陥落した。VWは初の世界首位となった。世界最大の自動車市場である中国販売の数量差などが勝敗を分けた。

 15年もVWは中盤までトヨタを上回っていたが、15年9月に発覚した排ガス不正問題で終盤に失速して、トヨタが22万台差で4年連続の世界首位を維持した。

 16年の決戦で焦点となったのは、トヨタがVWとの中国の販売差を主力の米国でどう補うかだった。16年の中国販売はトヨタが121万4000台VWは398万2000台と、ともに過去最高だったが、トヨタは3.3倍もの差を付けられた。一方、米国では、排ガス規制逃れ問題が最初に明るみに出たVWが2.6%減と苦戦を強いられたのは予定通りとして、トヨタも2.0%減とマイナス圏に沈んだ。原油トヨタが得意とする燃費に優れた乗用車販売が伸び悩み、中国市場でのVWとの販売差を最後まで詰めきれなかった。

 トヨタにとっては、16年前半に国内工場が相次いで一時停止したのも響いた。2月にはグループの愛知製鋼で爆発事故が起き、国内車両生産を約1週間停止。4月の熊本地震ではアイシン精機の子会社が被災し、合計で約17万台の減産となった。5月にもアイシンの別の子会社で爆発事故があり、生産がさらに約1万台減り、販売に影響した。

 トヨタは17年の世界販売を1020万台と、14年(1023万台)に次ぐ高水準と計画する。17年もVWとの頂上決戦が一段と激化するのは確実なようだ。

 

http://www.sankeibiz.jp/business/news/170131/bsa1701310500001-n1.htm

 

 

 

トヨタVW2016年の世界販売は次の通り。

 

   2016年販売   中国販売   '16年米国販売★ (2015年、'16/'15 %) 2017

トヨタ 10175千台  1214千台  2450千台(2500千台 -2.0%)  1020万台

VW    10312千台  3982千台   587千台( 603千台 -2.6%)  未公表

差   -137千台  -2768千台  +1863千台(+1897千台)   

便宜的に、VW,Audi,Porscheの3社の合計値とした。

 

2016.8.24、「続・次世代エコカー・本命は?」のNO.93なども参照願いたいが、上記の記事にもあるように、トヨタは昨年事故などで約18万台の減産を強いられている。

 

2016年の世界販売は、上表の通り137千台だけ、VWに負けている。あの18万台の減産がなければ、2016年も世界販売はトヨタがトップであった。この数字で行くと43千台だけVW を上回っていたことになる。結局前半の 124800の差は埋めきれなかったことになる。

 

この記事では、中国での販売の差を埋めきれなかったと言っているが、そうではなくて、あのような事故が3件も続いて18万台も減産せざるを得なかったのが真の原因だとしてもおかしくない。こんなことが続けは世界販売でトップに立てないということは、トヨタとしても十二分にわかっていたことではある。普通にやっていればトップに立てたものを、まことに惜しいことをしたことになる。

(続く)