Ghosn,Gone with the Money(68)

理想を言えば、小沢一郎安部英も悪いことは悪いと正しく認定されて、正しく罰を受けることが必要だった、と言うのが小生の思いである。それを優秀な弁護士が、(悪いことをしたと言う事を)悪いことはしていないと条文ゲームを遂行してひっくり返してしまうのである。世の中には極めて悪いことを、悪くないと定めてしまったことである。

 

極端な言い方をすれば、弘中氏は条文ゲームで、悪人を悪人でないとして、合法的に世の中に放逐したのである、とも言えるのではないのかな。だからまた悪が蔓延るのである。

 

本質的な事では弁護士は、悪事は悪事で、これは悪いことだと依頼者を納得させることも(否、納得させることこそが)必要ではないのかな。その上でどの程度の罰が妥当かを争う、と言うのが本来の務めとなろう。

 

ゴーンのやったことは、これまで見てきたように、明らかに犯罪である。しかし弘中弁護士は、それでも10年前のことであるから悪さはもうないのではないか、と言っている。

 

これこそゲームその物であろう。10年前のことでも悪いことは悪いと、条文でゴーンを納得させることも必要な事である。そうでもなければ、バッジを付け背広を着用している弘中・高野組マフィアか暴力団の組長なのであろう。

 

 

 

 

 

ゴーン被告弁護人が無罪に自信、早期保釈の可能性も指摘

鈴木偉知郎、馬杰、井上加恵

20193416:18 JST 更新日時 20193418:08 JST

  • 保釈実現へゴーン被告に監視カメラなど外部との接触断つ方法を提案

  • 弘中氏は過去の実績からカミソリの異名、「切れ味試したい」

特別背任の罪などで起訴された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の弁護人を務める弘中惇一郎弁護士は4日、都内の日本外国特派員協会で記者会見して同被告が裁判で無罪を勝ち取ることへの自信を示し、近く保釈される可能性もあるとの認識を明らかにした。

  弘中氏はゴーン被告が起訴された3つの事件に関していずれも10年以上前の話で日産関係者も知っていたことだとして「常識で考えて、刑事犯罪になるような事件ではない」と指摘。現在は検察から一部示された証拠を精査しているとし、「無罪を取れておかしくないと思っている」と述べた。

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会見に到着した弘中弁護士

Photographer: Akio Kon/Bloomberg



  弘中氏ら新弁護団2月28、ゴーン被告の保釈請求を申請。昨年1119日に金融商品取引法違反の罪でゴーン被告が逮捕されてから保釈請求は3回目。弁護人が交代してからは初めてとなる。今回は保釈後の証拠隠滅などが疑われないよう、監視カメラを設置するなど外部との接触を断つ仕組みを提案するなど、「説得力のある保釈申請」を心がけたとした。



  弘中氏は自白しなければ勾留期間が長引く傾向にある、いわゆる人質司法について世界各国から批判が出ている中、「そう遠くない時期に保釈となる可能性はある」と述べた。また、ゴーン被告本人のこれまでの主張や前任の弁護士の方針などにしばられず、事実や証拠をベースに「まったく新しい発想、意見」で弁護活動を進めていきたいと述べた。



  ゴーン被告の勾留期間は100日を超えた。現在の勾留期限は3月10日までだが裁判所の判断で1カ月ずつ伸ばすこともできる。ゴーン被告が現在起訴されている案件以外の余罪を追及される可能性については、検察の対応から判断して「全くないとは言えない」とも語った。

  弘中氏は「時代の変わり目、大きな政策の転換点にそれまで社会を代表していた人がひどく叩かれることがある」として、今回の事件が「世界の経済的な動き政治の動きとリンクしていると思って取り組んでいきたい」と述べた。



  これまでの刑事事件での弁護の実績から「無罪請負人」や「カミソリ」の異名を持つという弘中氏。「歴史的にも社会的にも大変重要な裁判になる」として「73歳になるが、まだカミソリの切れ味があるのか試してみたい」と語った。



弘中弁護士の主な発言内容



  • この事件は大変奇妙な事件

  • 先週木曜に検察から証拠の一部が開示された

  • 検察は保釈に強く反対、現時点で裁判所の決定もない

  • 証拠隠滅や逃亡が疑われないように工夫して説得力のある保釈申請を行った

  • 検察は証拠が弱いのとの自信のなさから勾留を長引かせており、極めてアンフェア

  • 人質司法として世界各国から非難されており、1日も早く保釈を実現させたい

  • ゴーン被告は元気

  • 10年以上も前の事件を今になって蒸し返すのは、世界の経済的な動きや政治の動きとリンクしていると思って取り組んでいきたい

  • 事実関係で多くの点で争うことがある

  • 道義的なレベルでもゴーン前会長が責められるべき点があるとは思っていない

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-04/PNTR7C6S972801

 

 

 

但し保釈条件については、高野隆弁護士のアイディアも相当入っているようだが、あらかた次のようなもののようだ。

(続く)

Ghosn,Gone with the Money(67)

刑事裁判を考える:高野隆@ブログ

Profile

 

前の記事このブログのトップへ

高野隆f:id:altairposeidon:20190312185504j:plain

2019年03月08日

昨日の騒動について

カルロス・ゴーン氏の釈放に際して行われた「変装劇」はすべて私が計画して実行したものです。
依頼人を理不尽な身柄拘束から解放し、正常な社会生活に復帰させて、来るべき刑事裁判の準備に主体的に取り組む機会を与えることは、公正な裁判の実現にとって不可欠なことです。それは刑事弁護人が全力で取り組むべき課題でもあります。
何とかゴーン氏の保釈決定を確定させることができましたが、それには厳しい遵守事項がたくさんあります。一つでも履行できなければ保釈は取り消され、彼は再びあの過酷な拘禁生活に舞い戻ることになります。多額の保釈金を没収されることにもなります。保釈決定を受けた弁護人の最初の課題は、釈放後速やかにかつ安全に依頼人を「制限住居」に届けることです。彼にそこで家族とともに社会生活を再建してもらわなければなりません。
ゴーン氏が素顔をさらして住居に向かったとすれば、間違いなく膨大な数のカメラがバイクやハイヤーやヘリコプターに乗って彼を追いかけたでしょう。彼の小さな住居は全世界に知れ渡ります。生活を取り戻すどころか、健康すら損なわれてしまうでしょう。彼だけではありません。彼の家族、そして近隣住民の生活すら脅かされてしまいます。そのような事態は絶対に避けなければなりません。
その方法として、私の頭に閃いたのが昨日の方法でした。それは失敗しました。しかし、その後に奇跡が起こり、どうにかゴーン氏とその家族は「制限住居」において自由人として再会することができました。しかし、私の未熟な計画のために彼が生涯をかけて築き上げてきた名声に泥を塗る結果となってしまいました。
また、今回私の計画に進んで協力してくれた私の友人たちに大きな迷惑をかけてしまいました。私はたくさんの人に有形無形の損害を与えてしまいました。とても申し訳なく思っています。
最後にマスコミの皆さんにお願いします。どんな著名人にも身近な人と心安らぐ場所が必要です。心おきなく疲れをいやす場所が必要です。どのような庶民にも生活の糧を得るために安全に働く権利があります。この当たり前のことをご理解ください。

最新記事

昨日の騒動について

人質司法の原因と対策

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高橋事件弁護団広報2017512

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未決拘禁日数の本刑算入について:「一部算入説」批判

http://blog.livedoor.jp/plltakano/archives/65941053.html

 

このことは次の asahi.com にも載せられているので、ご承知の方もおられることでしょう。


高野弁護士のブログ全文

 「昨日の騒動について」と題する高野隆弁護士のブログは以下の通り(3月8日付)。https://www.asahi.com/articles/ASM383SHTM38UTIL00W.html

 

先程TVでやっていたが、野村監督の奥さんの知代さんは脱税で、200112月に逮捕されているが、それまでマスコミに追っかけられており、マスコミに囲まれてさるレストランから出るに出られずにいたときに、担当弁護人だった弘中惇一郎弁護士クリーニング屋(の偽物)を店に派遣して、クリーニング用の大袋に沙知代夫人をいれて、堂々と正面から抜け出したと言う逸話があったと言うから、きっと柳の下のドジョウを狙って両弁護士が共謀して考案したゴーン変装事案だったのでしょう。

 

だから、弘中弁護士が「ゴーンの変装」を知らなかったと言うことは、絶対にないと小生は思っている。

 

このように弁護人と言う輩は、常識外のことを考え実施して犯罪者を無罪にする職業と見受けられる。要は、悪人であろうが善人であろうがお構いなく、法律を駆使して無罪にする職業と見た。

 

有体に言えば、六法全書の中で、戦争ゲームもどきの条文ゲームを遊んでいるのである。そのため道徳とか倫理と言うものが、一般人のものとは少し異なっていると見受けられる。

 

と言うよりも、一般的な道徳観や倫理観が麻痺していると言うか、薄れているのではないのかな、薄れていると言うよりも欠如していると言った方が正しいかも知れない。そうでもしなければ、条文ゲームなんぞはやっていられないかも知れないのだ、と思っている

 

極悪人を無罪にすれば、(本来は悪いことであるが)褒められると言う真逆なことが行われる職業なのである。

 

とは、少し極端な考えではあるが、実態ではないのかな。正直者が馬鹿を見る、ことが平気で行われようとする職業なのである。

 

と言う事は悪い奴は悪い、悪ければその罪の程度で罰を受ける、その程度を査定し少しは軽減させると言うものではなく、悪くても罪を受けることなく世の中に押し出して(例えば又悪事を働かせて)しまう職業なのであろう。

 

世の中は、これでは困るのである。だから弁護士と言う職業は、よく見れば合法的なマフィアまがいの職業と言う側面を持ち合わせている、と評価されてもおかしくないのであろう。

 

弘中惇一郎弁護士は、政治資金規制法違反で起訴された小沢一郎を、無罪にしてしまった。明らかに悪いことに手を染めて金を貯めこんでいたのに、無罪放免としたのだ。だから小沢一郎は、落ちぶれてはいるが、いまだに大きな顔をしている。

 

この件については、小生のブログ「小沢資金問題」(2010.2.18~)などを参照願う。

 

また薬害エイズ事件帝京大ルートの安部英(元)教授を無罪にしたのも弘中惇一郎弁護士でした。

 

帝京大附属病院の内科責任者であった安部英教授は、問題があると判っていた非加熱の血液製剤血友病患者に積極的に投与して、HIVを発病させた責任を問われた。他人事ながらひどい話だ、と当時は悲憤慷慨していたが、これにも弘中淳一郎弁護士が絡んでいたと言う事を、今回報道で知ったが、彼(安部英)は明らかに罪を犯していた人物であった、と小生は思っている。

 

この非加熱製剤を投与された(そのために死んでいった)人達のやるせなさは如何ばかりかと、想像される。亡くなられた方のご冥福をお祈りするほかないが、だから弘中淳一郎弁護士は、安部英教授と共に、恨んでも恨みきれない対象なのではないのかな。何と言っても、彼はまだ生きている。

 

 

(続く)

Ghosn,Gone with the Money(66)

更にはこんな変装をすれば、いつか機会を狙って変装して逃亡を企てるかもしれない、と検察側も構える必要があろう。

 

 

 

ゴーン被告「変装」作戦に「無実なら堂々と」の声

2019.3.7 20:00 社会 事件・疑惑

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 カルロス・ゴーン被告(64)が6日に保釈された際、手の込んだ「変装」をしていたことに、真意を図りかねる声があがっている。ネット上などでは「無実なら堂々とすればいいのでは」「これからも逃げたりだましたりしそう」と批判的な反応があふれた。メディアの尾行を避けるための弁護人による苦肉の作戦だが、裏目に出た形だ。弁護人によると「ゴーン被告本人は面白がっていた」という。

 

 東京拘置所(東京都葛飾区)の出入り口に現れたゴーン被告は帽子を目深にかぶり、マスクに紺色の作業着姿。同様の制服姿の男性約10人に紛れ、横付けされた黒塗りの高級ワゴン車ではなく、段ボールを積んだ作業用の軽ワゴン車に乗り込む徹底ぶりだった。

 

 だが、1人だけオレンジ色の反射材を身に着けていた上、高級ワゴン車に乗り間違えそうになるなどしたため、報道陣に即座に見破られることに。

 

 ツイッター上では「正式に出てくるのになぜ変装。これからも逃げたりだましたりしそうな気がする」という批判的な声のほか、「ウケ狙いとしては弱かった」と揶揄(やゆ)する書き込みも。

 

 ゴーン被告の保釈に当たっては制限住居への監視カメラ設置が義務付けられた。ある法曹関係者は「変装したことで、保釈後も変装して監視カメラから逃れるかも、と思われかねない」と疑問を呈す。

 

 弁護団によると、変装はメディアの取材による混乱や、尾行されてゴーン被告の制限住居を知られることを避けるため、保釈を担当した弁護人が提案した。弘中惇一郎弁護士は「結果的にうまくいかなかった」と総括した。

 

 弘中氏は変装を事前に知らなかったといい、「無罪を訴えるのであれば、堂々としていればいいという意見もあるだろうが、あれはあれでユーモラス。高級スーツでふんぞり返るよりも労働者の一人という姿もありだ」とも語った。

 

 一方、ハリウッド大学院大学の佐藤綾子教授(パフォーマンス心理学)は「頭のいい人なので見破られるのは前提ではないか。首筋の筋肉がたるんでいたり、早く車に乗りたいそぶりが見えたりするので、痩(や)せて衰えた姿や元気のない顔を見られたくないのが本心なのだろう」と分析した。

 

https://www.sankei.com/affairs/news/190307/afr1903070039-n1.html

 

 

このアイディアはゴーンの弁護人の一人、高野隆弁護士のものだと自身のブログで発表している。そしてもう一人の弁護人のカミソリの弘中惇一郎弁護士は、このことは知らなかったと上記の記事には書かれているが、専門家によれば、一般的に高野弁護士1人のアイディアとは言え仲間の弁護人の弘中氏が知らない筈がない、と言っていたのでこの二人は同じ穴の貉(むじな、たぬき)ではないのかな。

 

この高野氏の「ゴーンの名声に泥を塗ってしまった」などと言う事も、計算された表現ではないのかな。なんとなくゴーンの行った悪事から、世間の目をそらせる手練手管の一つなのであろう。

 

「住居が特定されるのを避ける」などとまことしやかに言っているが、日本のマスコミはそんなにとろくはない筈だ。ゴーンとその家族なども生活するためには外出する筈でもあり、たとえ変装が成功しても彼の居場所は見つけられてしまうことは、火を見るよりも明らかであろう。

 

 

 

 

ゴーン元会長変装「名声に泥塗った」 弁護人が謝罪

2019/3/8 10:39
日本経済新聞 電子版

 保釈された日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(64)の弁護人の1人、高野隆弁護士が8日、自身のブログに投稿し、ゴーン元会長が作業服を着て東京拘置所から保釈されたことは「すべて私が計画して実行した。未熟な計画で名声に泥を塗る結果となった」と謝罪した。

作業服姿で東京拘置所を出るゴーン元会長(6日、東京都葛飾区)

作業服姿で東京拘置所を出るゴーン元会長(6日、東京都葛飾区)

 投稿によると、厳しい保釈条件を守るためにゴーン元会長に社会生活を再建してもらう必要があったと指摘。住居が特定されるのを避ける狙いで「私の頭にひらめいたのが(6日の)方法だった」とし、「それは失敗した」と書き込んだ。

 計画には友人らも協力したといい、「たくさんの人に有形無形の損害を与えてしまった。とても申し訳なく思っている」としている。

 ゴーン元会長は保釈後、東京都内の指定された住居で過ごしているとみられ、高野弁護士は「ゴーン氏とその家族は自由人として再会することができた」と明かした。

 ゴーン元会長とみられる男性は8日午前、保釈中の住居とされる都内のマンション周辺に姿を現したが、コメントを求めた報道陣に無言を貫いた。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42187710Y9A300C1CC0000/?n_cid=NMAIL006

(続く)

Ghosn,Gone with the Money(65)

ゴーンが保釈されたので、このブログを暫く続けることにする。

 

さてこうも早くゴーンが保釈されるとは、思ってもいなかった。

 

201926日の16時半頃、ゴーンは東京拘置所から出てきた。

その姿かたちは、実に奇妙な出で立ちであった。

 

作業服に作業帽そしてマスク、それにご丁寧に蛍光安全帯まで身にまとっている。しかも眼鏡まで。

 

変装したつもりのようであるが、目つきまでは騙せなかった。明らかにゴーンのものだ。しかも歩き方もゴーンそのもの。

 

黒塗りの大型ワンボックスに乗ろうとして注意され、これまたご丁寧に作業用の軽ワゴン車に乗り、走り去っていった。そのあとをバイクが数台後をつけている。

 

明らかにこの変装は、二重に、ダブルで間違いであった。

 

一つは、変装そのものが変装になっていない。現場に待機していたマスコミ連中は少しは惑わされたようであったが、テレビカメラはそのゴーンの一団を映し続けていたので、視聴者側は容易には騙されなかったのではないのかな。しかも10人程の警務員まで連れている。これは、どうも特別待遇のようであった。ゴーンだからと言って、こんな特別待遇を取るなんて、東京拘置所サイドもおかしくないかい。

 

二つ目は、私は無実だ。自分自身を弁護することに全力でコミットすると保釈決定を受けて声明を発しているように、無実と思っているのであれば正々堂々ときちんと正装して出てくればよかったのである。そして「私は無実です。」とマスコミに向かって釈明でもすればよかったのである。

 

変装なんぞをして出てくると言う事は、次も変装をしてとんずらする可能性も否定できないと言う事。

 

 

 

 

ゴーン元会長保釈、検察との対決へ 勾留108日間

2019/3/6 16:35 (2019/3/6 20:11更新)
日本経済新聞 電子版

保釈され、東京拘置所を出る日産自動車元会長のゴーン被告(6日午後、東京都葛飾区)

保釈され、東京拘置所を出る日産自動車元会長のゴーン被告(6日午後、東京都葛飾区)

 日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(64)が20192月)6日、東京・小菅の東京拘置所から保釈された201811月の逮捕以降、勾留は108に及んだ。全面無罪を主張する元会長は弁護団と共に公判の準備を本格化し、法廷での検察との対決に備える。日産の社内調査による不正疑惑を否定し、新体制の確立を急ぐ経営陣への批判を強める可能性もある。

 東京地検特捜部の逮捕によって表舞台から突然姿を消したカリスマ経営者が拘束を解かれたことで、その言動には国際的な注目が集まっている。

作業着のような服装で軽自動車に乗り込むゴーン元会長(右から2人目)=6日午後、東京都葛飾区の東京拘置所

作業着のような服装で軽自動車に乗り込むゴーン元会長(右から2人目)=6日午後、東京都葛飾区の東京拘置所

 保釈条件で、住居は事前に届け出た東京都内の物件を指定されており、海外渡航や事件関係者との接触は禁止された。事前に裁判所の許可を得れば日産などの取締役会には参加できるが、実際に出席を求めるか、許可を得られるかは不透明だ。

 東京地裁は5日にゴーン元会長の保釈を認める決定をし、決定を不服とした検察の準抗告も棄却した。ゴーン元会長は6日、保釈保証金の10億円を納付した。



(VTR)



 ゴーン元会長は6日午後4時半ごろ作業服のような服装で帽子、眼鏡、マスクで顔を隠して拘置所玄関に現れ、軽自動車に乗り込んで拘置所を出た。その後、都内の弁護士事務所に入った。

法律事務所を出る、保釈された日産自動車のゴーン元会長(6日夜、東京都千代田区)

法律事務所を出る、保釈された日産自動車のゴーン元会長(6日夜、東京都千代田区

 弁護人は6日夜、「回復が必要」として同日はゴーン元会長の記者会見を行わないことを明らかにした。改めて会見の開催を検討するという。

 ゴーン元会長は地裁の保釈決定を受けて公表した声明で「私は無実だ。自分自身を弁護することに全力でコミットする」と改めて検察との対決姿勢を鮮明にした。保釈により弁護団との打ち合わせに制約がなくなり、細かい事実関係の確認や検察が開示した証拠の検討など公判に向けた準備を本格化するとみられる。

 公判での争点や証拠は今後の公判前整理手続きで絞り込まれる。証人尋問の対象選定などが難航して長引いた場合、初公判は20年にずれ込む可能性もある。

 ゴーン元会長は1811月に特捜部に逮捕された後、日産の会長職と代表権を解かれた。4月の臨時株主総会取締役も解任される見通しとなっている。ルノーの会長職と最高経営責任者(CEO)職は自ら退いた

 日産は西川広人社長兼CEOが主導し、日産、三菱自動車ルノーの3社連合も既に各トップの合議制に移行。ゴーン元会長が日産などの経営に直接的な影響を及ぼすのは難しいとみられる。

 他方、ゴーン元会長は1月30日に拘置所内で日本経済新聞のインタビューに応じた際、自身の逮捕につながった日産の不正調査について「策略であり、反逆だ」と主張。今後、記者会見を開くなどして起訴内容や他の不正疑惑について潔白を訴え、日産幹部らの関与を指摘する可能性もある。

 ゴーン元会長は、受領を先送りした役員報酬を開示しなかった金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)と、巨額の不正支出などによって日産に損害を与えた会社法違反(特別背任)の罪で起訴されている。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42085600W9A300C1MM0000/?n_cid=NMAIL006

 

 

 

こんな形で拘置所から出てくれば、いくら面白がって変装をしたとは言え、何か後ろめたいことがあるものと周りは容易に判断しそのように理解してしまうものであるが、どうもこの茶番劇に目が奪われて、そのゴーンの犯した悪事から世間の目が離れてしまっているようだ。

 

それとも痩せ衰(おとろ)えた姿を見せたくなかったのか。しかしそんな気持ちから変装するのなら、まだまだ反省が足りない、と感ずるのは一人だけではあるまい。

(続く)

Ghosn,Gone with the Money(64)

いくらスナールの猫なで声の効果があっても、フランス側の言い分だけが通る様ではこの話はまとまらない筈だ。

 

さてもう一つ、ゴーンと検察との戦いの行方も気がかりである。

 

大鶴弁護士から「無罪請負人」と言われる弘中弁護士に変わったことでもあり、どのように動くか見ものである。初公判まで半年はかかると言われているので、ゴーンもおりの中で、これも当分の間は静観せざるを得ないであろう。

 

 

裁判もゴーン流、「無罪請負人」起用で徹底抗戦の布陣

 

北西 厚一

日経ビジネス記者

2019220

 

会社法違反(特別背任)などの罪に問われた日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告の弁護人が交代した。213日付で新たに就任したのは「無罪請負人」といわれる弘中惇一郎弁護士らだ。目標達成のために人事を尽くして最適布陣を敷く。そんなゴーン流を裁判でも見せつけている。

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ゴーン被告の弁護人は大鶴氏(右)から「無罪請負人」の弘中氏(左)に(写真=3点:AFP /アフロ) 

 仏ルノー会長に124日に就いたジャンドミニク・スナール氏が初来日し、日産自動車の西川広人社長兼CEO最高経営責任者)、三菱自動車の益子修会長兼CEOと会談した214日。3者が融和ムードを演出して結束の強さをアピールしたのと同じ日、東京地検では日産元会長、カルロス・ゴーン被告らの刑事裁判に向けた初協議が開かれていた。

 ゴーン氏の弁護人として出席したのが弘中惇一郎弁護士。郵便料金不正事件の村木厚子・元厚生労働事務次官や、ロス疑惑の故三浦和義氏、陸山会事件の小沢一郎自由党代表らの弁護人を務め、いずれも無罪判決を勝ち取ってきた「無罪請負人」だ。

 東京・小菅の東京拘置所で日本の寒い冬を過ごすゴーン氏。勾留期間は219日で3カ月となった。その周辺に突如、動きがあったのは同13日。勾留以来、弁護人を務めてきた大鶴基成弁護士と押久保公人弁護士が辞任、新たに弘中氏らが就いた。

 元東京地検特捜部長の大鶴弁護士はなぜ、辞めたのか。同氏が所属する弁護士事務所は「特にこちらから話をする予定はない」と口を閉ざす。ほかの弁護士らはゴーン氏と大鶴氏の信頼関係の欠如や、ゴーン氏の側近だったグレッグ・ケリー被告の弁護人の喜田村洋一弁護士大鶴氏の相性の悪さなどを勘ぐる。

変わる弁護人の役割

 ただし、一つだけはっきりしていることがある。ゴーン氏は裁判で徹底的に争う意思があることだ。

 そもそも起訴後の弁護人の交代は珍しいことではない。捜査の際の弁護人と起訴後の弁護人では役割が違うからだ。具体的には容疑者が捜査段階で狙うのは不起訴で「特捜OB大鶴氏なら検察にも顔が利くだろうとみられる」(元特捜検事の弁護士)。時には駆け引きをしながら、不起訴に持ち込むのが弁護人の役割となる。だが、起訴後は無罪を勝ち取ることが最大の仕事。特捜OBである必要性は薄れる。

 この点、弘中弁護士は「反権力で徹底的に戦う人」という評を持つ。弘中氏と共にゴーン氏の弁護にあたるとされる高野隆弁護士も「刑事弁護のプロ中のプロ」として有名で、全面対決するには理想的な態勢といえそうだ。

 さらに弘中氏は過去の裁判で喜田村弁護士と多くタッグを組んできた。「2人は気心が知れている。緻密な作業を行う喜田村氏の能力が発揮される」(ある弁護士)といった指摘もある。

 14日の裁判所、検察、弁護人による協議では弁護側は争点を絞り込む「公判前整理手続き」を求めた。「大鶴氏なら認めたような調書でも、弘中氏は徹底的に不同意にするのでは」との見方も法曹界にはある。

 今後、刑事裁判のスケジュールが詰められるが、初公判までには半年ほどかかる可能性もあるという。それでも今のゴーン氏にとっては勾留の更なる長期化はもはや問題ではないのだろう。必達目標の達成に向け、人事を尽くして最適な布陣を敷く。そんな「ゴーン流」が裁判でも貫かれようとしている。

 

コメント2

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  •  

    janky

    再生請負人としての秀逸な資質の持ち主だから、検察も死に物狂いで対処しないと有罪判決が得られなくなるね。
    ゴーンさんにとって会社は自分の目的を達成するための手段に過ぎないから、法に触れるか触れない微妙なグレーゾーンで利益を得ようとしたんじゃない?

    2019/02/21 08:24:59返信いいね!

  •  

    nonaokun

    ゴーンの裏の顔がこれから続々出て来るでしょう。
    新書「ニッサンVSゴーン」のなかで、コストカッターだけでなく
    反論する者を左遷し、会社の資産を私有化し、各国首脳と対等に話しあう
    姿は製造会社のトオプから逸脱。
    法的な無罪があっても、二度とビジネスマンに復帰出来ないでしょう。

    2019/02/21 09:52:26返信いいね

 

https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00050/?P=2&mds

 

 

 

その無罪請負人といわれる弘中惇一郎弁護士が、2/28にゴーンの保釈を請求したと言う。

特にゴーンを取り巻く状況は変わっていない(前2回の保釈請求時点と)ので、今回も保釈は許可されないだろうと思われるが、一端ここでこのテーマは終了としておこう。

 

 

ゴーン元会長の保釈を請求 弁護人が東京地裁

2019/2/28 16:12
日本経済新聞 電子版

 日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(64)の弁護人は28東京地裁保釈を請求した。請求は3回目で、同地裁が保釈の可否を判断する。保釈が認められた場合も、検察が不服として準抗告する可能性がある。

 ゴーン元会長は1月11日の追起訴後に2回、保釈を請求したが、いずれも同地裁が却下。逮捕後から弁護人を務めていた大鶴基成弁護士が2月13日に辞任し、新たに弘中惇一郎弁護士らを選任していた。

 同地裁はゴーン元会長と元代表取締役のグレッグ・ケリー被告(62)、法人としての日産について争点を絞り込む公判前整理手続きを行うことを決定。初公判までに半年程度かかる可能性もある。

 東京地検特捜部は20181119日にゴーン元会長を逮捕。これまでに会社法違反(特別背任)と金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴した。ゴーン元会長は東京・小菅の東京拘置所100日以上、勾留が続いている。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41869030Y9A220C1CC1000/?n_cid=NMAIL006

 

 

 

今後保釈が許可されるなどの特段の事態が発生したら、また続けてゆきたいと思っている。

(終わり)

Ghosn,Gone with the Money(63)

先ずは「ガバナンス改善特別委員会」が取締役会の議長は社外取締役にすべきだと提案するようだが、更に進んでその取締役の過半数社外取締役とすべきだ、とも提案すると言う。

 

こんな形でルノーの矛先をそらしてゆく様だが、どうなることやら。

 

 

日産、社外取締役過半数

統治委、透明性向上狙い

2019/2/23 12:17

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 日産自動車が設置した外部の弁護士らでつくる「ガバナンス(統治)改善特別委員会」が3月末をめどにまとめる提言に、取締役の過半数を外部から選ぶ社外取締役とする内容を盛り込む方向で調整していることが23日、分かった。外部の経営者らの視点を取り込み、透明性を高める狙い。関係者によると、カルロス・ゴーン被告の不正に関する西川広人社長ら現経営陣の責任は追及しないという。

 現在はゴーン被告を含む取締役9人のうち社外取締役3人にとどまるが、この比重を高める。「指名委員会等設置会社」への移行や、社外取締役が指名や報酬など各委員会のトップを務めることも提言に入る方向だ。

https://this.kiji.is/471848262713820257

 

 

 

日産がルノーから離れないためにもジャンドミニク・スナール会長を、フランスは日本に派遣したわけであるが、いくらスナールの懐柔策の効果が高くても、マクロンが折れない限り混乱は避けられないものと、小生は考えている。今後の動向から目が離せない。ルノーと日産の関係はどんな方向に進むのであろうか。

 

 

ルノーの日産「西川社長」の見方が変わった理由

スナール会長は日産との関係を改善したい

レジス・アルノー : 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

20190223

ルノーのスナール会長の胸の内は(写真:Philippe WojazerReuters

「この近くに教会はありませんか?」。数年前、ミシュランのジャンドミニク・スナールCEO(当時)は、出張で日本を訪れていた。この日は日曜日で、彼は同胞のクリスチャンたちと礼拝ができる場所を探していた。このとき、誰も同氏のことを気にかける人はいなかった。

だが、2019214日、パリ=シャルル・ド・ゴール空港では、数十人のフランス人ジャーナリストがスナ―ル・ルノー会長を待っていた。そして、日本に着くと、成田国際空港では数十人の日本人ジャーナリストが彼を待ち受けていた。

スナール会長は「和解策を持ってやってきた」

全世界の注目を集めるようになったスナール会長にとって、今や願いはただ1つだけだ。ルノー日産自動車が「普通の会社」になること、それだけである。簡単なことのように見えるが、日産のカルロス・ゴーン前会長が逮捕されてから3カ月が経った今、これはとてつもなく難しい課題だ。スナール会長に目下求められている役割は、日仏の「パートナー」の仲を改善することなのである。

今回日本を訪れたのも、ルノー・日産の提携関係を強固なものにすることが目的だった。スナール会長は14日夜、日産の西川廣人社長兼CEO三菱自動車の益子修会長兼CEOと夕食をともにした後、16日に帰国するまでそのほとんどを日産で過ごしたとされる。

この場でどういう話し合いがあったかはほとんど明らかにされていないが、1つ明らかなことがある。スナール会長とって、日産との関係を改善するのは今しかないということだ。「スナール会長は、“オリーブの枝(和解策)”を持って日本へやってきた」と、同会長に近い関係者は話す。

ルノーが日産株43%を握っていることを考えれば、スナール会長はもっと強気に、日産にモノを言うことができる立場にあるはずだ。しかし、関係者によると、「彼はすばらしい人物でタイヤ会社のCEOとしては優れているが、自動車業界のことも、ルノーのことも、日産のことも、そして日本のこともよく知らない」と話す。

こうした中、争いを好まない同会長は、西川社長とも対立するよりうまくやろう、と考えているようで、自らがゴーン会長の後を継いで日産の会長になろうとは考えていない。今は役員の1人として、日産がガバナンスを立て直すのを見守っていようという立場である。

目下、スナール会長にとって、日産に関する最大の問題は、日産の取締役会である。フランス人、いや、ほとんどの外国人から見ると、日産の現取締役会は株主の利益を考慮した体制とは言い切れない。

それよりは、多くの日本企業と同じような取締役会――独立した会社の監督者でなく、戦略について議論する内部の役員の集まりにすぎない。彼らは経営について厳しい質問をしない。それがされていれば、ゴーン氏をもっと統制できていただろう。

スナール会長が望む取締役会の姿

スナール会長を知る関係者によると、同会長は日産の取締役会が、必要あらばトップに厳しい質問もできるような体制になることを望んでいる。また、同会長は、日産の次期取締役会はルノーの取締役会と協調すべきことから、取締役会のメンバーも重要だと考えている。

スナール会長にとって、“グッドニュース”は、6月の株主総会で取締役会のメンツが見直されることだろう。

取締役会メンバー9人のうち、ゴーン氏とグレッグ・ケリー取締役はすでに解任決議されているほか(48日に臨時株主総会開催予定)、志賀俊之取締役も6月の任期満了に伴い退任する見通しだ。ルノーのジャンバプティステ・ドゥザン氏とベルナール・レイ氏はどちらもゴーン氏の側近で70歳を超えていることから退任すると見られる。

社外取締役の元レーサー、井原慶子氏と豊田正和氏についても、「もともとゴーン氏が連れてきた人物で、企業経営の経験も知識もまったくない。社外取締役としてまったく取締役会に影響を及ぼしていなかった」(日産関係者)ことから、退任すると見ていいだろう。

では、逆に誰が「残る」のだろうか。

西川社長が残る可能性は大きい。元上司を裏切ったことに対して、一部のフランスの新聞から「ブルータス」というあだ名をつけられた西川社長は、ゴーン氏逮捕直後はルノー本社で最も人気のない人物だった。ゴーン氏に関する社内調査について、大株主であるルノーに一切報告も警告もしなかったからだ。

しかし、時間が経つにつれ、ルノー社内で西川社長に対する評価が変わってきている。一部の取締役会は依然、ゴーン氏は「はめられた」と考えているようだが、同氏の私生活が明らかになるにつれ、西川社長を賞賛する声が高まってきている。誰も声を大にして言わないが、西川社長は日産およびルノーの誰もが手をつけなかった「汚れ仕事」をやった、と見られているのだ。

日産がルノーから得たもののほうが大きい

今後、日産とルノーは関係を修復し、アライアンスを維持することはできるだろうか。そのカギを握るのは、西川社長だとの見方が大半だ。西川社長は、ルノーとの「より対等な関係」を望んでおり、ルノーによる臨時株主総会開催の要求も拒否するなどしている。日産にとって何より重要なのは独立性を維持することなのである。

が、外国人投資家からは、西川社長のこうした態度に懸念の声も上がっている。「西川社長の態度は本当に信じられない。ほかの企業と同様、日産も大株主であるルノーの要請には応じる必要がある。西川社長の一連の言動は、日本に投資する外国人に恐怖感しか与えない」(香港に拠点を置く投資銀行CLSAの自動車アナリスト、クリス・リヒター氏)。

目下、日本ではいかにルノーが日産から利益を得ているかを伝える報道がほとんどだ。だが、西川社長はこれまで日産がルノーから得てきたもののほうが、日産がルノーに与えたものよりも大きいということを忘れるべきではない

1999年、ルノーが日産と提携した際に、ルノーのチームとして関わったある人物は言う。「日産を守るために、ルノーは中国市場にはかなり遅れて参入したし、(撤退した)アメリカ市場に再参入することもなかった。また、採算性の高いSUVや高級車も躊躇しながら投入している。ルノーは日産にコストカットの方法だけでなく、魅力的な自動車の開発や企業経営のノウハウも教えてきた」。

「だが、日産もルノーも今や技術開発では競合他社の後塵を拝している。特に電気自動車(EVではかなり後れをとっている。日産はこれまで『リーフ』の開発に50億ドル以上費やしてきたが、国の補助金があったとしても売れていない

216日に日本を去ったスナール会長。次の礼拝では日産とルノーの関係改善、そして、同じくクリスチャンであるゴーン氏のために祈りを捧げるのかもしれない。

 

https://toyokeizai.net/articles/-/266956

(続く)

Ghosn,Gone with the Money(62)

と言う事は、日産は丁度良い縋(すが)りつきたい「わら」だと思っているのではないのかな。

 

だからマクロンは、日産を絶対に離さない筈だ。日産も相当苦戦することになる。ここは踏ん張りきるしかない。

 

マクロンルノーがこのような態度に終始すれば、アライアンスの基本原則はどこかへ吹き飛んでしまう。

 

 

 

ニュース解説

三菱自の益子CEO、「3社アライアンスは基本原則に立ち返るべき」

2019/02/01 20:58 木村 雅秀=日経 xTECH/日経Automotive

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三菱自会長兼CEOの益子修氏(写真は201811月に撮影)

[画像のクリックで拡大表示]


 三菱自動車の会長兼CEO最高経営責任者)である益子修氏2019212018年度第3四半期(2018412月)の決算発表において、3社アライアンスの考え方について説明した。 三菱益子氏Image0 s5nk

 



 三菱自20165月に日産自動車資本提携した。この時、短期間で結論を出せた理由の一つに「フランス・ルノーRenault)と日産のアライアンスの基本原則への共感があった」(同氏)という。

 その原則とは、1個々のアライアンスメンバーの経営ブランド、個性を尊重して独立性、自主性が担保されていること、2最もコンペティティブなメンバーが、その分野と地域でアライアンスをリードし、徹底的に重複を排除するという考え方、3関連するすべてのアライアンスメンバーにとってWin-Winとなるようにプロジェクトを推進すること、だという。

 この基本原則に基づくアライアンスへの参加が、当時の三菱自が抱えていた経営問題を解決する「最良のソリューションだと考えた」(同氏)という。資本提携以降の約2年間の経験を踏まえると、「この判断に何ら変化はない」(同氏)。

 ただ、その後の経営統合を巡る主導権争いや、201811月のカルロス・ゴーンCarlos Ghosn)氏の逮捕など、ここへ来て状況が大きく変わった。さらに自動車業界には100年に1度の大変革といわれるCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の波が押し寄せている。このため、「各アライアンスメンバーがあらためて基本原則と、目的、狙い、必要性を確認し合意することが必要。アライアンスメンバーが価値観を同じくして前に進んでいくことが重要」(同氏)と訴えた。

 アライアンスの目的や狙い、必要性については、次のように説明した。「大切なことはアライアンスメンバーであることに誇りを持てること、そして働きがいを実感でき、成果をあげることだ」(同氏)。これらを実現するには「アライアンスパートナーが互いをリスペクトし、対等、平等の精神で仕事に取り組むことが必要」(同氏)とした。

 CASEをはじめ、自動車業界が直面する課題は多岐にわたっており、「1社ですべての課題に対処するのは現実的ではなく、信頼できるパートナーが必要だ」(同氏)。「とりわけ規模の小さい三菱自にとっては、アライアンスを有効に活用することが不可欠」(同氏)とする。

 具体的な課題として、CASEのほかに、2021年から本格化する欧州、中国、米国での環境規制強化への対応を挙げ、「アライアンスメンバーが得意な技術を持ち寄り、技術を相互補完する形が望ましい」(同氏)と述べた。また、支援してもらうだけでなく、「当社が強みとする地域と、得意な商品を今後さらに強化し、アライアンスメンバーに貢献していきたい」(同氏)と説明した。

 アライアンスの基本原則から考えると、3社を経営統合する必要性はないと主張する。「3社を統括する会社は存在しない。日産とルノーが折半出資するルノー・日産BVRNBV)に三菱自が加わることも考えていない」(同氏)。あくまで3社の対等・平等の精神でアライアンスを運営すべきとし、「何かのエンティティーを想定したり、それが重要な役割を果たしているとはまったく認識していない」(同氏)と強調した。

 勾留中のカルロス・ゴーン氏が日本経済新聞社のインタビューで持ち株会社方式での経営統合を計画していたと発言した件についても、「私は持ち株会社について話を聞かされたことはない。もし相談を受ければ、アライアンスの基本原則を踏まえて考えていきたい」(同氏)と述べた。

(略)

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/01622/?n_cid=nbpnxt_mled_at



 

ここに書かれている「ルノー・日産のアライアンスの基本原則」が、まだ機能しているのであれば、ルノーマクロンは無下に「経営統合」などには取り掛かれない筈だ。

 

ただルノーは日産の資本を43.4%も所有しているので、この基本原則がどの程度機能するかは疑問のあるところである。

 

個々のアライアンスメンバーの経営ブランド、個性を尊重して独立性、自主性が担保されていること」と言う基本原則が尊重されていれば、ルノーが強引に「経営統合」などを言い出すはずがないものと思われるのであるが、三菱自会長兼CEOの益子修氏が今年の2月1日に言っていることなので、この基本原則は生きているものと判断できる。

 

ならば日産はこれを盾に、ルノーのスナール会長に迫ることが出来る筈なのである。だがルノーの日産への締め付けはかなりの規模に達していた様だ。次の記事を読む限り、日産社内の雰囲気は相当悪化しているように見受けられる。

 

 

クルマのうんテク

日産・ルノーの行方は? 手放し運転が実用化?

2019/02/15 05:00 2019年の自動車業界を占う

鶴原 吉郎

 

 皆様、あけましておめでとうございます。昨年は本コラムをご愛読くださり、誠にありがとうございました。おかげさまで、本コラムも5回目の新年を迎えることができました。本年もよろしくお願いいたします。

 さて、恒例の年初コラムだが、二つのテーマを取り上げたい。一つめは、日産自動車の会長だったカルロス・ゴーン有価証券報告書の虚偽記載で逮捕された事件の今後である。筆者はこれまでゴーン氏を稀有の名経営者だと思ってきたから、受けた衝撃は大きかった。最近の出来事で印象に残っているのは、20165月に燃費不正で企業としての信用が地に堕ちた三菱自動車への電撃的な出資を決めた一手だ。

アーティストは清廉とは限らない

 このコラムの過去の記事でも触れたが、転落していく巨大企業の巻き添えになるのを誰もが恐れるなか、両社のシナジーを見出し、しかも底値で三菱自動車の株を手に入れたやり方は、まさにカリスマ経営者の真骨頂だった。一橋大学大学院経営管理研究科教授の楠木建氏はベストセラーとなった経営書「ストーリーとしての競争戦略:優れた戦略の条件」の中で「戦略はサイエンスというよりもアートに近い」「優れた経営者は『アーティスト』です」と述べているが、まさにそれを地で行く経営者だったと思う。

 ただ、アーティストが清廉であるとは限らないのが世の常であるように、ゴーン氏自身も一個人として見れば、問題の多い人物だったことが、今回の一件で明らかになりつつある。世間の興味は東京地検特捜部とゴーン氏の闘いの帰趨(きすう)にあるようだが、筆者の興味はそこにはない。筆者の興味は、ゴーン氏なき後の日産がどうなるかということだ。

 たまたま201811月末から12月始めにかけて、日産の関係者と話す機会が多かったのだが、彼らの口から異口同音に出るのは、いまの経営体制への不満だった。その不満が高じて退職に至る例も少なくない。最近の報道の関心は、ゴーン氏が会社を利用して私腹をいかに肥やしたか、ということにあるようだが、筆者が聞いた社員の不満の原因はそこにはなかった。もっと真摯(しんし)に、会社自体の将来について憂える声のほうが圧倒的に多かったのである。

「見栄えのいい技術」を重視

 その一つは技術開発に対する姿勢だ。筆者からは、他の日本メーカーが逡巡するなかで、EV(電気自動車)の世界初の量産化を決断したり、いち早く自動運転技術の実用化を表明したりといった日産の動きに、先見の明があるように見えていたのだが、内部からの眺めは違うようだ。彼らに言わせると、ゴーン氏が重視したのは「株価の上がる見栄えのいい技術」だったという。

 その陰で、パワートレーンやプラットフォームといった「地味な技術」の刷新が日産は遅れたトヨタ自動車、ホンダ、マツダ、スバル、スズキといった他の完成車メーカーがここ数年でプラットフォームやパワートレーンを全面的に刷新、あるいは刷新しつつあるのに対し、日産のプラットフォームやパワートレーンは旧態化している。

 日産の新世代プラットフォームとされる「CMF(コモン・モジュール・ファミリー)」も、実際には古い世代のプラットフォームからエンジンルームなどを引き継いでおり、まったく新しいプラットフォームとは言い難い。また現在の主力エンジンである「HRエンジン」(1.21.6L)が登場したのはもう14年前、「QRエンジン」(2.02.5L)に至っては18年前に遡る。研究開発投資がEVや自動運転に集中し、そのほかの研究開発投資を抑制した副作用と見られても仕方がないだろう。

 

もう関係の修復は不可能

 こうした状況に輪をかけて日産のプロパー社員のモチベーションを下げているのが、20184月以降になって部長クラスにルノーから人材が送り込まれる例が増えていることだ。20184月以降の部長級の人事を見ると、88人中33人が外国人となっており、2017年の同じ時期に82人中26人だったのに比べて、その比率は32%弱から37%強へと増加している。こうした人事政策の結果、20184月以降に日産からの退職者が急増しているとの話も聞いた。

 では、この後日産とルノーの関係はどうなるのだろうか。まず手を着けるのは、ルノーとの不平等条約」の解消だろう。日産からルノーへの利益貢献は、株式配当などの目に見える部分だけでなく、プラットフォームの開発費用の分担や、ルノーからのディーゼルエンジンの購入費、ルノーへの生産委託費用など、目に見えない部分でも行われていた可能性がある。こうした関係を対等に是正していくことが第一段階だろう。

 ただ、最近の新聞報道などをみると、こうした条件をルノーが簡単に呑むとは考えにくい。そうなると考えられるのは、日産によるルノー株の買い増しである。すでに多く報じられているように、日本の会社法では、日産のルノーに対する出資比率が25になれば(現在は15%)、ルノーの日産への議決権が消滅する。日産がルノーの意向にかかわらず、単独で方針を決められるようになる。このため日産は今後、現在の15%から25%へルノー株の買い増しなどを検討するとみられるが、ルノーや仏政府の反発は避けられないだろう。

 もちろん、ただちに日産とルノーが提携を解消することは考えにくい。両社が享受している、共同購買やプラットフォームの共同開発などによるコスト削減効果は、現在年間7000億円規模に達しており、両社にとってこれを失う影響は大きい。このため短期的には日産・ルノーアライアンスは維持されるだろう。しかし、今後両社の距離は次第に開いていくと筆者は考えている。企業の関係も人間関係と同じだ。相互の信頼尊敬の念がなければ関係の維持は難しい。そして今回の事件は、そのどちらも決定的に失わせてしまった。

 

(略)

 

https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00050/00027/?P=1


 

この記事によれば、ルノーと日産との関係は次第に離れてゆく、と考えられている。とすれば、最悪の場合、日産によるルノー株の買い増しに突入するのか、可能性はかなりありそうだ。

 

(続く)