更に追記すると、
5.知日派のジョセフ・ナイ元国防次官補が駐日大使に起用される。彼はリベラル
派の国際政治学者でもあり、アーミテージらと超党派で「アーミテージ・レポート」を
作成し、中国を念頭に置き、日米同盟を英米同盟に似た緊密な関係にする必要
があると提言している。2008年12月には東京で小沢民主党党首などと会談を行
い、「インド洋給油などを止めたら反米と受け止める」と釘をさしている。
6.国家安全保障問題担当特別大統領補佐官(通称国家安全保障担当補佐官)
に、ジェームズ・ジョーンズ退役将軍が任命される。彼は、欧州連合軍司令官
および第32代海兵隊司令官を務め、2007年に退役している。現実的な実務肌
の人間なのだろう。NSCを統括する。
7.国務長官の下で東アジア・太平洋担当の国務次官補に、カート・キャンベル
氏が就任する。彼は前クリントン政権下で日米防衛協力のためのガイドライン
の見直しを担当した。
8.上記の各人物は、どちらかと言うと知日派のようだが、NSCのアジア上級部
長(アジア全体を統括)には、ジェフリー・ベーダー元国務次官補代理(東アジア
・太平洋担当、オバマ政権では上記7.カート・キャンベルが担当)が就くが、彼は
中国の専門家である。
9.ベーダーの下の(NSC)アジア部長(日本や北朝鮮問題担当)に起用されたの
が、ダニエル・ラッセル前国務省の日本部長である。ラッセル氏は駐大阪・神戸
の米総領事やマンスフィールド元駐日大使の補佐官などを歴任している。
NSCとは、National Security Council(国家安全保障会議)で、事務局はホ
ワイトハウスにあり、メンバーは正・副大統領、国務長官、財務長官、国防長官で
構成される。外交、軍事、国内政策での安全保障政策を検討し大統領に助言す
る。統合参謀本部議長もCIA長官も出席し、軍事及び情報に関する助言を行い、
国家安全保障担当の大統領補佐官が統括する。
これを図示すると、
オバマ大統領 + バイデン副大統領(上院・閣内への押さえ)
↓
ラーム・エマニュエル 首席補佐官(シカゴ出身の辣腕・悪徳?下院議員、下院対策、
ランボーに例えられる。)
ジョーンズ 国家安全保障担当補佐官(NSC統括)
↓
ベーダー NSCアジア上級部長→ラッセル アジア部長
サマーズNEC(国家経済会議)委員長、National Economic Council
ブラウナーエネルギー・気候変動担当補佐官→エネルギー長官、環境(EPA)
長官、U.S. Environmental Protection Agency 米環境保護局
各部局
外交→ クリントン国務長官→スタインバーグ副長官→キャンベル 国務次官
補(東アジア・太平洋担当)
安保→ ゲーツ国防長官、財政・金融→ ガイトナー財務長官、
通商→ カークUSTR代表、元ダラス市長、黒人。ダラス市の経済活性化に功績、
NAFTAを支持、貿易自由化に理解。
米通商代表部the Office of the United State Trade Representative
と言ったオバマ政権の顔ぶれであるが、このように要職に東アジア専門家が起
用されているところを鑑みると、オバマ自身はむしろ東アジア軽視の現われでは
ないかと見る向きもある。米国にとっての最大の問題は、世界金融危機への対
処であることは言を待たない。そして、イラク、アフガニスタンでの戦争を継続して
おり、ロシアともギクシャクしている。したがって東アジアにはそれ程かまっていら
れない、と言ったところが本音ではないか、との論評も見受けられる。これだけ東
アジアの専門家を配置したのであるから、ここは彼らに任せてしまっても問題な
いだろう、問題は中東政策だ、アフガニスタンに集中するということではない
か。したがって日本も、2月24日には、カネの話は置いておいてアフガニスタン
での人道支援なんぞでお茶を濁すことが、大切ではないかと思うのである。その
代わり人道支援の要人や資材は日本の自衛隊が守る、と言うことで自主防衛
能力をつけることに主眼を置くべきものと考えるのだが。何はともあれ、後は
小沢に任せておけばよいのであって、麻生はホワイトハウスに一番乗りしたか
らと言って何も気張ることはない。カネの話には決して決して乗ってはいけな
い。敵は麻生政権の混乱のドサクサにまぎれて、カネを振り込ませようと虎視
眈々と罠を仕掛けて去っていったのであるから、みすみすそんな手に乗ってはい
けない、と感ずるのである。なんせ敵はシカゴマフィアに揉まれた強者(つわもの)である。
(続く)