バラク・フセイン・オバマ大統領(22)

さて、「グリーンニューディール」政策であるが、地球温暖化の対策をしながら

経済を発展させようと言うものと理解している。新たな環境対策の実施が新規の

経済需要を惹き起こし、それらが累積的に需要を喚起してゆくと言うことを期待し

て、そう名付けているものと思うのだが、果たしてどれほどの即効的効果がある

ものか、疑問でもある。

企業の環境技術開発投資や自然エネルギーの活用への投資とか、各種の省エ

ネ投資及びそれらに伴う減税措置などが知恵の無い小生の頭には浮かぶので

あるが、総額8,000億ドルにも及ぶ大型景気対策は、結局のところは、どこに

使われて爆発的な有効需要の創出に寄与するのであろうか。

さしあたってオバマ大統領は、1月26日に、自動車の排気ガス規制を厳しくす

る政策を打ち出すなど、ブッシュ路線からの変革を打ち出している。カルフォル

ニア州の独自の排ガス規制についても、認可するようEPA・連邦環境保護局に

検討を指示したと言う。強化された排気ガス規制への対応や車両の燃費向上・

車両安全対策などへの技術開発への新規投資などビックスリーも、更に苦しい

経営を強いられることになる。

話し変って、1月29日のYOMIURI ONLINE によるとカリフォルニア州では

サンフランシスコやロスアンゼルス、さらにはサンディエゴを結ぶ高速鉄道の建

が始ろうとしている。当たり前のことだが、「新幹線は車や航空機に比べ、1人

当たりの温室効果ガス排出量が圧倒的に少なく、地球にもっともやさしい」ことは

事実だが、これはJR東海のPRでもある。しかし環境にやさしいことは、紛れも

無い事実である。カリフォルニア州では、2011年にも着工して2020年までの1

期工事、そして2030年までの2期工事で、州都のサクラメントと南のサンディエ

ゴまで延ばす計画だと言う。環境対策に熱心なアーノルド・シュワルツネッガー

知事はやる気十分だ。連邦政府からの手厚い支援を期待できる。

オバマ大統領が提唱する「現代版ニューディール政策」が期待通りの効果を発

揮できるか、または期待通りの効果が発揮できずに萎(しぼ)むのか、そして、日

本も効果的な対策を打てるのか、はたまた、打つ手が有効に機能することを祈り

たい気持ちである。

そして、米議会では2月13日に、総額7,870億ドル(72兆4千億円)の大型景

気対策法案が可決されている。これによりオバマ大統領は、減税と環境・情報技

術分野への重点投資により、約350万人の雇用を創出すると言う。しかしなんと

言っても即座に有効需要を創出させて経済を拡大させねばならず、「これまでと

は異なる手法で進める」としているオバマだが、現在の高い支持率と説明責任

による国民の経済と将来に対する信頼回復が急速に進まなければ、この巨額

な予算も水泡に帰すことになってしまう。

一般国民の(新車や住宅などへの)消費の活性化と企業の投資マインドの活性

化に対して、これがどのように(迅速に)寄与するのか固唾を呑んで見守るという

ことになる。共和党と民主党との違いはここら辺での重点の置き方による物と思

われるが、共和党はより減税に重点を置いて消費の活性化を狙っていたものだ

か、果たしてどんなものか、ここにオバマ政権の浮沈が掛かっている、と言っても

過言ではない。

(続く)