バラク・フセイン・オバマ大統領(24)

   

【7】米国は本当に頼れるか。

   

パラダイムParadigm言う言葉がある。「規範」とか「模範」と言った意味の言

であるが、一般的には、「認識」とか「常識」及び「認識の仕方」と言った意味合

に良く使われている。地球の周りを太陽が回っている「天動説」と言う考え方

(パラダイム)が、地球が回っていると言う「地動説」と言う考え方(パラダイム)に

わったことは、我々は良く知っている。「パラダイム・シフト」とは、このように「も

のの考え方」「認識の仕方」が、非連続的に、劇的に変化シフト)することを言

う。

このようなパラダイム・シフトが、日本外交のこの150年間には3回あったとい

う。文芸春秋社の雑誌「諸君」3月号の「米国の核頼みの日本は、十五年で中

国の属国だ」で、国際政治アナリストの伊藤貫氏が述べている。米国が日本に

ついてどのように考えているか、非常にショッキングな事実を述べているので、是

非紹介したい。

     

(1)3回のパラダイム・シフト

      

先ずその3回のパラダイム・シフトを紹介しよう。

第1回は、言うまでも無く「明治維新パラダイムである。ここでは明治維新とは

言わずに、「富国強兵パラダイムと言っている。パラダイムはものの考え方で

ある、と言っているので、明治維新はその結果であってものの考え方ではないの

で、表現としては適当ではない。判りやすくするために小生が使ったものであるこ

とをご承知おき願いたい。

徳川時代鎖国政策を捨てて、西欧列強に対抗できる経済力と軍事力を獲得

しようと試みた「富国強兵」パラダイムである、と言っている。この政策は大成功

で日清・日露の戦役を経て、前回のブログ「日本は侵略国家ではありません。

 '08.12.19~での「田母神論文」の第11節の解説で述べているように、第1次世

界大戦のパリ講和会議では五大国の一員として参加するまでになっている。

ここら辺の事情は、小生のブログ「ヨーロッパと日本'08.10.3~の全般や特に

第17章と第18章にも詳しく述べられている。この富国強兵パラダイムの実現

は、明治期の日本人が、「坂の上の雲」を目指して、大奮闘してくれたお蔭であ

る。

第2回パラダイム・シフトは、満州事変以降の「大陸進出」パラダイムであ

と言う。この大陸への進出は、後発の帝国主義国であった日本が「帝國主義的

侵略の大先輩」であるアメリカイギリスの勢力圏拡大を真似しただけであっ

た。ここで言う帝国主義とはWikipediaによれば「領土や資源の獲得を目指して

自国の勢力を拡大するために、軍事力などを背景に他国や他地域に押しいるこ

とを進める思想や政策」と言うのであるが、この大陸進出(満州からの拡大)は次

の理由で失敗だったと言う。

ひとつは、行為自体は列強諸国のやり方を真似しただけであったが、コストが

掛かりすぎて日本の手に負えないことであったと言う。日本の中国への進出は

それなりに条約に基づいた物ではあったが(「日本は侵略国家ではありませ

ん。」第1節の解説)、それをやり切る体力と外交的賢さがあれば成功したので

あるが、そのパワーが不足していた。大陸での長期間の戦闘は、軍事コスト、

外交コスト、経済コストが過大で、利益の少ない政策であった。さらには戦域の

拡大は、中国だけでなく米ソ両国も敵にまわしてしまうという結果となってしまっ

た、と言っている。このことは、バランス・オブ・パワーの計算から見て明らかな失

敗あった。更に地政学的にも、日本は米中露と言う三覇権国に包囲されていると

言う非常に不利な立場に、現在もある。このことがアメリカをして、東京裁判でご

り押しをしてでも、日本を悪者に仕立て上げる原因ともなったのである。

外交における第3回目パラダイム・シフトは、強制的に押し付けられたパラダ

イム・シフトである。ここで伊藤貫氏は、次へのように述べている。

(続く)