(2)新たなパラダイム・シフトを、「日本は生き残れるか」
しからば日本再生の「パラダイム・シフト」は何か。
現在の国際構造は、米ソ二極構造からソ連崩壊を経てアメリカ一極構造となり、
今は多極構造へと変化している、と言う。即ち21世紀の国際政治は、米欧露
中印による五極構造に移行しつつあると言う。この五極はいずれも核を持ってい
る。これに日本を加えて六極構造とするためには、日本が自主的な核抑止力
を構築して自主防衛すれば、日本はサバイバル出来て、国際政治は六極構
造となる。
しかし日本が今後も米政府からの圧力に屈服し続けて自主防衛能力を持たない
ならば、日本は2020年代に中国の勢力圏に呑み込まれてしまう可能性が
強い、と述べられている。その場合には、世界は五極構造であり、世界地図から
日本国と言う独立国は消滅して大和族自治区の文字が載ることとなる。日本が
サバイバルできるか否かは、日本人の知性と決断に掛かっている、と言って
いる。
最高学府で学んでいても「日本は核武装すべきだという論理を主張して、近隣諸
国と付き合うことが可能だと考えてるとしたら、あまりに世間知らずだ。」などと戯
言(たわごと)を唱える馬鹿がいるのも確かだか、こんな戯言に耳を傾けていたら
日本は早々に滅ぼされてしまう。
そして伊藤貫氏は次のように言っている。
この「日本が自主防衛すべきか否か」と言う問題は、日本人が国際政治学の主
流派であるリアリスト学派のパラダイムを受け入れるか否か、と言う点に懸
かっている。
リアリスト学派のパラダイムと言うことで、政治学の学説を言っているのではな
い。国際政治の中での一般的なあり方を言っているのであり、国際政治での考
え方を言っているのである。即ち国際政治の中で、国家が生存してゆけるかど
うか、と言うことであり、生存してゆくためにはどんな考え方をしなければなら
ないか、と言うことなのである。
国家として生き延びてゆくために、「自分の国をどのようにして守ってゆくか」と
言う大問題を検討することが、国際政治学なのであると小生は理解するのであ
る。
日本の生存を確保するために、「日本は自主防衛をする、自主的に核抑止力
を持つ」と考えてそれを実行することが大切なのである。
現在のチベットとウイグルを見ていただきたい。19~20世紀のポーランド然り、
ポーランドは1918年に独立したが第2次世界大戦ではドイツとソ連に侵略され
て国土が分割されてしまった。戦後の1952年に国家主権を回復したが、冷戦
時代にはソ連に蹂躙された歴史をもつ。ソ連の崩壊を受け、1989年に民主化を
果たし共和国となる。自主防衛力を持たない国ほど悲惨な目にあう。既にチベット
やウイグルと言う国は、中国に滅ぼされてしまっている。それらの国では漢民族
は好き勝手なことをやっていると言う。国が滅びると言うことは、まことに惨めなこ
となのである。
日本が生き延びるために、このこと、即ち、「日本が自主防衛をする」、「そのため
に核を持つ」、「そして同盟関係を多角化する」と言う政策が必要だ、と言う考え
方(パラダイム)が必要なのである。このようにきちんとした外交パラダイムを構
築しないことには、国際政治の権力闘争(パワー・ストラグル)に負けてしまう。
覇権主義国(戦勝国)から無力化パラダイムを何時までも押し付けられていれ
ば、ポーランドやチベット、ウイグルと同じ運命をたどることとなってしまう。
「日本はミニマム・ディフェンス(必要最小限の自主的核抑止力)をもつべきだ。
日米同盟を維持しつつ米国に対する依存度を低減し、同盟関係を多角化すべ
きだ」と言うパラダイムへシフトしなければならない、と言っている。将にその通
りである。
以下日本の自主核と同盟の多角化が如何に必要か、の理由を述べる。
(続く)