尖閣諸島問題(1)

先のテーマでは、日本は過去3回の「パラダイム・シフト」を成し遂げてきたこと

述べた。そして現在は、アメリカの一極構造の国際情勢が崩れて多極構造化

た。そしてこのアメリカの押さえが利かなくなった多極国際構造の中で、日米安

体制と言えども安泰ではなくなり、このままの状況では日本はサバイバル出

くなってきている、と言うことを説明した。

このままの状況とは、アメリカの圧力に屈し続けて自主防衛能力を持てない、と

言う状況のことである。日本の隣には、中国と言う屈強な共産主義国家が存在す

る。中国は日本を併合したくて、したくて切歯扼腕している国なのである。

事実1995年に、中国の元首相を務めた李鵬 がオーストラリアのポール・キーテ

ィング首相に、日本と言う国は40年後には無くなってしまうかもわからない」と

か「30年もしたら日本は大体つぶれるだろうだからあんまり深く日本とは付き

合うな)、と述べている。もちろん「中国が日本を併合するから」である。

このような事態を避けるためには、日本は「第4のパラダイム・シフト」をしなけ

ばならない。日本が生き延びるためには、「日本が自主防衛する」ことが必要

あり、自主防衛すると言うことは、「自主的に核抑止力を持ち、米国への依存

度を減らし同盟関係を多極化する」と言うことが必要なのである。このような

「第4のパラダイム・シフト」をしなければ、日本は、チベットウイグルのように

国の属国となってしまうからである。

なぜこのような「パラダイム・シフト」をしなければならないかと言うと、国際政治に

は四つの重要なポイントが機能しており、日本は将にそのポイントにもてあそば

れているからである。

第一に「国際社会は、本質的に無政府状態であり」、強国が弱小国を占領・併

合しても誰もそれを罰することが出来ないと言うことである。そのため、

第二には、「国家にとって生き残ることが最も大切な仕事」となるのである。

そのために最も重要な仕事は国防政策なるのである。そして、そのためには

第三には、「自分の国は自分で守ることが必要となる。このことは1919年の

国際連盟規約委員会におけるアメリカの裏切りにより、日本は「人種差別撤廃条

項」を葬り去られ、さらには、1945年にはアメリカ・ルーズベルトとイギリス・チャ

ーチルがそそのかし、ソ連スターリンは1941年に締結した「日ソ中立条約」を

踏みにじり、日本領であった満州国及び南樺太千島列島へ奇襲攻撃を仕掛

けた。そのため中国残留孤児問題、シベリヤ抑留問題、北方領土問題が発生し

たのであるが、このように条約や同盟関係は当てにならないのであり、日米安

保条約があっても結局は、自国のサバイバルは自分で確保し保障するしかな

いのである。

現在の日本はこれらのポイントに対して、全くの無防備の状態に置かれているの

であり、この状態が続いてゆけば、日本は将に中国に併合されてしまうことになっ

てしまう。

そしてこのことに対処するには、

第四に、外交政策は、怜悧・冷徹な「バランス・オブ・パワー計算とコスト・ベネ

フィット計算」で決しなければならない、と言うことである。

アメリカと言えども永久に日本を守ることはしないし、現にアメリカは日本を永久

に無防備の状態にしておこうとしている。

ここから日本が導き出さなければならない結論は、上述したように「第四のパラ

ダイム・シフト」を決行して、

・自主的な核抑止力を持ち、自主防衛能力を構築することであり、さらに

・同盟関係を多角化して、

・軍事技術の確保も多角化することである。

と言うことを説明した。そしてこのことが如実にわかる現実が、尖閣諸島問題

ある。将に国際社会が無政府状態で誰も咎めることをしないことをよいことに、日

本の固有の領土である尖閣諸島を中国は併しようとしているのである。否、

尖閣諸島どころか、中国は、日本そのものを支配下におくつもりなのだ。その状

況を以下説明してゆきたい。

(続く)