第3.政党工作
3-1.連合政府は手段
日本の内閣総理は、衆参両院の本会議で首班指名選挙を行って選出
される。両院で議員総数の過半を掌握すれば、人民の意志とは関係な
く、任意の者を総理となし得るのである。
1972年7月の現況で言えば、自民党の両院議員中、衆議院では
約60名、参議院では10余名を獲得して、在野党と同一行動を取ら
せるならば、野党連合政府は容易に実現する。
しかし、この方式を取るならば、社会党、公明党の発言権を益する
に留まり、且つ最大の単独多数党は依然として自民党であり、この
2点は純正左派による「日本人民共和国」成立へと進む阻因となるこ
とは明らかである。
自民党のみではなく、社会党、公明党、民主社会党もまた、無産
階級の政党ではなく、最終的には打倒されるべき階級の敵の政党で
あることを忘れてはならない。
本工作組に与える「民主連合政府の樹立」という任務は、日本解放
の第二期における工作目標に過ぎず、その実現は第三期の「日本人民
民主共和国」樹立の為の手段に過ぎない。
共和国樹立へ直結した、一貫的計画の元に行われる連合政府工作で
なければ、行う意義は全くない。
3-2.議員を個別に掌握
下記により国会議員を個別に掌握して、秘密裏に本工作員の支配下
に置く。
A.第一期工作組がすでに獲得したものを除き、残余の議員全員に
対し接触線を最少4線設定する。
B.上の他、各党の役職者及び党内派閥の首長、有力者については、
その秘書、家族、強い影響力を持つ者の3者に、個別に接触線
を最少2線設定する。
C.上の接触線設定後、各線を経て知り得る全情報を整理して、
「議員身上調査書」の拡充を期し、公私生活の全貌を細大漏さ
ず了解する。
D.右により各党毎の議員を「掌握すべき者」と「打倒排除すべき
者」に区別し、「掌握すべき者」については「連合政府の樹立
にのみ利用しうる者」「連合政府樹立より共和国成立に至る過
渡期においても利用し得る者」とに区別する。
ここに言う「打倒・排除」とは、その議員の党内における勢力
を削ぎ、発言権を低下せしめ、孤立に向かわせることを言う。
E.「掌握」又は「打倒」は調査によって明らかとなったその議員
の弱点を利用する。
金銭、権力、名声等、欲するものを与え、又は約束し、必要が
あれば中傷、離間、脅迫、秘している私事の暴露等、いかなる
手段を使用してもよい。
協力者の取り込みには、何をやってもよい、と工作員に強制している。
だから政治家の言動にも注意が必要だ。取り込まれているか、否か。
敵国の無血占領が、この一事に懸っていることを思い、いかな
る困難、醜悪なる手段も厭うてはならず、神聖なる任務の遂行
として、やり抜かねばならない。
3-3.招待旅行
上の接触線設置工作と並行して議員及び秘書を対象とする、我が国
への招待旅行を下の如く行う。
A.各党別の旅行団。団体の人数は固定せず、実情に応じて定める。
但し、団体構成の基準を、「党内派閥」「序列」「年齢」
「地域別」「その他」そのいずれかにおくかは慎重に検討を加
え、工作員の主導の元に、我が方に有利になる方法を採らしむ
るよう、工作せねばならない。
B.党派を超えた議員旅行団。議員の職業、当選回数、選挙区、
選挙基盤団体、出身校を子細に考慮し、多種多様の旅行団を
組織せしめる。
C.駐日大使館開設後1年以内に、全議員を最低1回、我が国へ
旅行せしめねばならない。
自民党議員中の反動極右分子で招待旅行への参加を拒む者に対
しては、費用自弁の個人旅行、議員旅行団以外の各種団体旅行
への参加等、形式の如何を問わず、我が国へ一度旅行せしめる
よう工作せねばならない。
D.旅行で入国した議員、秘書の内、必要なる者に対して、国内で
「C・H・工作」を秘密裏に行う。
CH工作とは何か、中国旅行を経験した議員は要注意だ。
(続く)