国慶節に思う。(16)

日本で かかる活動があまり行われてこなかった理由は いくつかある.先ず,その重要性が 認識されていなかった ということがある.
それから,国内の情報を出す ということに対して かなり抵抗があったという理由もある.よく日本文化の特徴として指摘されるのだが,日本では 身内のことを 外部にしゃべるということは,あまり歓迎されない.特に,身内の あまり良くない点について,外部の人間に述べるということは 嫌われる.これには「惻隠の情」という言葉がある.
また悪いことを述べると,そこに付け込まれて,不利な約束をさせられる きっかけになるのではないか,という懸念もある.
ただ,これは杞憂だろう.海外の様子を見ていると,彼らは身内の悪いことも含めて,わりと あけすけに内部事情を説明する.狙いは,これによって相手に物事を理解させて,かつ,言っていることが本当である という信頼を得ていくことにある.
このプロセスが 日本発の情報発信において,とくに必要に思える.日本の内情を 詳しく述べる必要がある.これには,良い面はもちろんであるが,悪い面についても きちんと説明をすることが必要である.そうすることによって,どのような議定書であれば 結べるのか,それは 効果が見込めるのか,それとも 駄目なのか,といったことが 外部によく理解されるようになる.そうすれば,できあがってくる国際条約は,京都議定書よりも マシなものになるだろう.
このように言うと,現実は そんな甘いものではない,相手は もっと悪意をもって交渉してくる,という意見もあろう.しかし,悪意があるならば,そのような議定書は 締結しなければよい.それに,そのような悪意を持った人ばかりではない.むしろ,国際的な舞台で働いている人々というのは,そこでの成功を目指すから,日本の参加を歓迎し,うまくやっていこうとするのが 普通である.そのような世界志向の人々に,日本の事情をよく理解してもらうこと,これもまた 重要なことである.
欧州の友人とボンの会議場で会ったときに,「日本のことを教えてくれ.日本は全くブラックボックスで,事情がさっぱり分からない」と言われた.彼は 温暖化問題の専門家であり,アジアにも詳しい.日本に関する情報が いかに不足しているか,改めて痛感をした.
京都議定書においては,欧州は 日本を知る努力は ほとんどしなかったし,必要もなかった.日本は,議定書に「京都」という名前が冠された事実をもって 批准することになっており,それ以上は 欧州は 日本にサービスする必要がなかったからだ.ただし,このようなことは,もう二度とは 起きないだろう.次回は 日本も本当に実施可能な範囲で,日本にとって何ができるか 徹底した議論をした上で 議定書を結ぶことになるだろう.欧州発の枠組みを そのまま受け入れ,そのまま いうなりに批准する ということはなかろう.ならば,単に拒否するだけではなく,日本の考えを きちんと外部に示して,まともな国際的枠組み作りに参加することは,その責務でもある.
[日工フォーラム社 「月刊エネルギー」 2002 年 11 月号(ドラフト)より]
                  

そして財界人からもその点の指摘が出されているのである。こんなことぐらいは、鳩山も知らないはずは無いのである。25%はどこから出てきた数字なのか。小生は闇雲に反対だとは言っていない、せめて国内公約とすればよいのである。国際公約にする必要は全く無いのである。国際公約で無ければ意味が無い、などともし思っているとしたらそれは思い上がりと言うもので、政治家の力量を問われるものではないかな、鳩山さん。

                         

2009年 05月 29日
◆「京都議定書は失敗」 産業界から注文続々

              中期目標、過去の努力評価を
 (産経 2009/5/23)

 温室効果ガスの排出削減を目指すポスト京都議定書の国際的な協議に関連して22日、産業界から政府に対して注文が相次いだ。三村明夫新日本製鉄会長は講演で「京都議定書は外交上の失敗だった」と指摘し、政府が6月中に決める2020(平成32)年の中期目標について改めて冷静な判断を求めた。

 三村会長が失敗の理由として挙げたのは、米国やカナダなどが京都議定書から離脱し、世界全体の排出量が40%も増加した点だ。京都議定書の基準年となっている1990年時点が「石油危機以降の日本の省エネ努力の結果が出た年」とも強調し、「中期目標では過去の努力を正当に評価してほしい」と要望した。

 22日は日本鉄鋼連盟が「国益を考えるべきだ」(進藤孝生・新日本製鉄副社長)と主張。また電気事業連合会森詳介会長(関西電力社長)も同日の会見で「(4%増は)地球環境問題に地道に取り組んできた成果によるものと胸を張って表明してほしい」と述べた。
http://sakura4987.exblog.jp/10331844/

                      

これらの文章は10月24日(土)に書いたものだが、京都メカニズムを知れば知るほど今度のCOP15は荒れるであろう、と思っていた。そして日本はこんな枠組みに留まっている謂れ(訳、理由)は無いものであろう、と主張した。案の定COP15は、ポスト京都議定書に関する何らかの同意を得ることは不可能である、として国連気候変動枠組み条約のイボ・デブア事務局長は先送りを示唆している。10月24日付けで時事通信社が配信しているが、ここでは10月29日の共同通信の記事を紹介しよう。この関連記事は後ほど詳しく紹介するつもりである。

                             

温室ガス新議定書「年内不可能」 気候変動条約で事務局長
共同通信 2009年10月29日(木)10:47

 【ロンドン共同】国連気候変動枠組み条約のデブア事務局長は28日、京都議定書に続く温室効果ガス排出削減の新たな議定書について、12月に開かれる第15回締約国会議(COP15)での採択は「物理的に不可能だ」との認識を表明した。ドイツで行った電話記者会見で語ったとAP通信が伝えた。京都議定書の対象期間は12年末で終了。排出制限する国際的枠組みの空白期間が生じる恐れが出てきた。
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/nation/CO2009102901000243.html?C=S

(続く)