国慶節に思う。(23)

そして主要国経済フォーラムでも、当然CO2の排出が問題だ。麻生首相は、削

減に取り組む途上国への支援を表明している。今の鳩山には、そんな戦略は無

さそうだ。何しろ自分だけが注目されれば世界のCO2なんぞには興味がないよ

うな雰囲気を漂わせている。

                  

麻生首相、MEFで途上国への支援を表明
http://www.asahi.com/politics/update/0710/TKY200907100042.html?ref=reca
2009年7月10日10時6分

 麻生首相は9日、主要8カ国(G8)に新興国などを加えた主要経済国フォーラ

ム(MEF)で、「先進国と途上国が、内容は異なるかもしれないが、目に見える

形で行動をとる決意を示すことが、年末のCOP15(国連気候変動枠組み条約

締約国会議)でポスト京都の新しい枠組みをつくるのに不可欠だ」と強調した。

そのうえで、「目に見える形で責任ある行動をとることを約束する途上国に対し

ては、日本として資金や省エネ技術の協力を積極的にする用意がある」と表明

した。

            
次に鳩山総理大臣の演説を載せる。よく読んでほしい。

            

鳩山総理大臣演説
国連気候変動首脳会合における鳩山総理大臣演説200909220000
平成21年9月22日

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長
各国代表の皆様、
御列席の皆様、


 本日の時宜を得た国連気候変動首脳級会合でスピーチをする機会をいただ

き、誠に嬉しく思います。私は、先月末の衆議院選挙において初めて民意によ

政権交代を果たし、つい6日前に、内閣総理大臣に就任をいたしました鳩山

由紀夫です。

 気候変動の問題は、その影響が世界全体にわたり、長期間の国際的な取り組

みを必要とするものです。すべての国々が、「共通だが差異ある責任」のもと対

処していくことが肝要です。政権交代を受け、日本の総理として、本日御列席の

各国のリーダーの皆様とともに、科学の警告を真剣に受け止め、世界の、そして

未来の気候変動に結束して対処していきたいと存じます。

<削減目標>

 まず、温室効果ガスの削減目標について申し上げます。

 IPCCにおける議論を踏まえ、先進国は、率先して排出削減に努める必要があ

ると考えています。わが国も長期の削減目標を定めることに積極的にコミットし

ていくべきであると考えています。また、中期目標についても、温暖化を止める

ために科学が要請する水準に基づくものとして、1990年比で言えば2020年まで

に25%削減をめざします。

 これは、我々が選挙時のマニフェストに掲げた政権公約であり、政治の意思と

して、国内排出量取引制度や、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導

入、地球温暖化対策税の検討をはじめとして、あらゆる政策を総動員して実現を

めざしていく決意です。

 しかしながら、もちろん、我が国のみが高い削減目標を掲げても、気候変動を

止めることはできません。世界のすべての主要国による、公平かつ実効性のあ

る国際枠組みの構築が不可欠です。すべての主要国の参加による意欲的な目

標の合意が、我が国の国際社会への約束の「前提」となります。

 なお、先ほど触れた国内排出量取引市場については、各国で検討されている

制度についての情報交換を進め、特に、国際競争力への影響や各国間のリン

ケージを念頭に置きながら、議論を行ってまいりたいと考えています。

<途上国支援>

 次に、気候変動の問題は地球規模の対応が必須であることから、途上国も、

持続可能な発展と貧困の撲滅を目指す過程で、「共通だが差異のある責任」の

下、温室効果ガスの削減に努める必要があります。とりわけ温室効果ガスを多

く排出している主要な途上諸国においては、その必要が大きいと思います。

 また、気候変動問題の解決のために、とりわけ脆弱な途上国や島嶼国の適応

対策のために、大変大きな額の資金が必要とされており、それを戦略的に増や

していかなければなりません。わが国は、国際交渉の進展状況を注視しながら、

これまでと同等以上の資金的、技術的な支援を行う用意があります。

 公的資金による途上国への資金や技術の移転は重要不可欠です。

 ただし、それだけでは途上国の資金需要を満たすことはできません。効果的に

公的資金が使われる仕組みづくりと同時に、公的資金が民間投資の呼び水とな

る仕組みづくりについての検討を各国首脳と進めていきたいと考えています。

 途上国への支援について、以下のような原則が必要であると考えています。

 第一に、わが国を含む先進国が、相当の新規で追加的な官民の資金で貢献

することが必要です。

 第二に、途上国の排出削減について、とりわけ支援資金により実現される分

について、測定可能、報告可能、検証可能な形での、国際的な認識を得るため

のルールづくりが求められます。

 第三に、途上国への資金支援については、予測可能な形の、革新的なメカニ

ズムの検討が必要です。そして、資金の使途の透明性および実効性を確保しつ

つ、国連の気候変動に関する枠組みの監督下で、世界中にあるバイやマルチ

資金についてのワンストップの情報提供やマッチングを促進する国際システ

ムを設けるべきです。
           

この訳文は判りにくい。次に小生の意訳文を示す。
               
Third, on assistance to developing countries, consideration should be given to innovative mechanisms to be implemented in a predictable manner. And an international system should be established under the auspices of the UN climate change regime. This system should facilitate one-stop provision of information on and matching of available bilateral and multilateral financing, while securing transparency and effective utilization of assistance.

            
途上国への(資金的な)支援には、明確に使い方が判る革新的なメカニズムが必要である。そのために、国連の気候変動に関する枠組み下での国際的な仕組みが、構築されるべきである。双務的な且つ多国間での資金援助にふさわしい情報のワンストップな提供が用意されなければならない。そして透明性と効果的な資金の使用が保障されていなければ成らないのである。
                    

 第四に、低炭素な技術の移転を促進するための方途について、知的所有権

保護と両立する枠組みを創ることを提唱します。

 私は、以上を「鳩山イニシアティブ」として国際社会に問うていきたいと考えてお

ります。京都議定書は、温室効果ガスの削減義務を課した最初の国際的な枠組

みとして歴史的なマイルストーンでした。しかしこれに続く新たな枠組みが構築

されなければ、効果的な取り組みとなりません。そのための公平かつ実効性の

ある新たな一つの約束作成に向け、今後このイニシアティブを具体化する中で、

コペンハーゲンの成功のために尽力したいと考えています。

<結び>

 本日御出席のオバマ大統領が提唱されているグリーン・ニュー・ディール構想

にも現れているように、気候変動問題への積極的な取り組みは、電気自動車

太陽光発電を含むクリーン・エネルギー技術など、世界経済の新たなフロンティ

アと新規の雇用を提供します。

 世界の中で相対的に高い技術開発のポテンシャルと資金力をもっているわが

国が、自ら率先して削減目標を掲げ、革新的技術を生み出しつつ、その削減を

実現していくことこそが、国際社会のなかで求められている役割だと認識してい

ます。わが国の国民、企業の能力の高さを私は信頼しています。国民も企業も、

そして、私たち政治においても、産業革命以来続いてきた社会構造を転換し、持

続可能な社会をつくるということこそが、次の世代に対する責務であると考えて

います。

 最後に、12月にコペンハーゲンで、まだ見ぬ未来の子供たちのために我々世

界の政治指導者が大きな決断をしたと言われるような成果が上がるよう、共に

協力することを皆様に強くお願いしたいと思います。

 ご静聴ありがとうございました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/enzetsu/21/ehat_0909.html

(続く)