国慶節に思う。(26)

こんな演説はなんら重要と言うほどの物ではない。単なる言い訳に過ぎない。

その事を以下、分析してみよう。この演説は、上段・中段・下段と三つに分けら

れる。
            

(上段)-前提条件

(1) 気候変動は、人類の発展の過程で生じている。

(2) そのため、環境対策も必要だが、発展も必要だ。その中で対策するしかない。

(3) アフリカなどの発展途上国の声を聞き、環境対策はその妨げとなってはいけない。
             

(中段)-提言

(1) 国際社会全体が環境問題に責任を持っている。先進国と途上国は共同で行動すべき。

(2) 先進国は、途上国と互恵関係であるために途上国の環境対策に支援すべきである。

(3)環境汚染の事前防止は必要だか、 途上国には過分の負担を求めてはならない。

(4) 先進国はその責任を果たすために、途上国に今まで以上に資金技術援助をすべき。 

            

(下段)-中国の気候変動対策

(1) 2020年までに2005年比でCO2をGDP当りで著しく引下げる努力をする

(2) 2020年までに化石エネルギーの割合を15%前後に引下げる努力をする。(★)

(3) 2020年までに2005年比で森林面積を4000ha増やし、CO2蓄積量を13億㎥増加させる努力をする


(4) エコ経済の発展に力を入れ、環境技術を開発し普及させる。
                

(★)訳文では非化石燃料の比率を15%前後までに引き下げる、となっているが→化石燃料の比率を下げる、の間違いではないかと判断している。

                  

胡錦濤演説のテーマは、何の意味も無い。内容は、発展途上国は発展しな

ければならないので、先進国は途上国に資金と技術を援助せよ」
と言ってい

るに過ぎない。そのため「中国としても途上国に支援する」と言うかと思いきや、

そんな事は一切言っていない。そしてアフリカからは資源を確保しなければなら

ないと思っているようで、あえてアフリカと名指ししている。そして中国も途上国

の一つ
だといわんばかりの口ぶりだ。なんとなれば、中国としてはCO2削減に

努力する、化石エネルギーの使用を下げる様努力する、森林を増やす様努力

する、と言った努力・努力・努力だけなのだ。具体的な標数を上げて、削

減する、と言った肯定的な表現は一切無い。CO2排出を削減する、と言った

定は無い
のである。だから自分はCO2を削減する義務は無いと言っているので

あり、削減する目標数字も当然無く、単に削減に努力すると言っているだけであ

る。


あの国慶節の軍事パレード北朝鮮をもしのぐマスゲームをみれば、もはや途

上国などと言われる国ではない。れっきとした先進国であり、そのため大国な

のである。中国は先進国と大国と言う言葉を使い分けており、大国であっても先

進国ではないと言っている。しかしそれでは気が引けるのか、付けたし気味に、

環境技術を開発し普及させる」と述べ、ここには「開発し普及させる努力を

する
」とは言っていない。何せ、中国は

                   
1日に建国60周年 温首相演説「中国の地位、空前的200909302305
2009.9.30 23:05 このニュースのトピックス:中国」

(当ブログ'09.10.19国慶節に思う。NO.4参照)
では、

[・・・新中国が共産党の指導の下で達成した経済的な成果を紹介したほか、国力増強と平和外交を行った結果として、「国際社会における中国の地位が空前的に高まった」と自賛した。]のであるから。
            

中国は既にれっきとした先進国であり、CO2排出削減の義務を有する資格のあ

る国なのである。それでも途上国であると白(しら)を切っているのである。しかし

今までは金と技術を支援してくれなければCO2は削減しない、と言っていた事か

「削減する努力をする」という事に変わってきたことは注目に値する、と言っ

た表現をする記事も見受けられるが、その本心は「削減より発展を優先する」

ということである、と小生は断定する。

この胡錦濤の演説は9月22日国連気候変動サミットでの事であり、「国際社

会における中国の地位が空前的に高まった」と自賛したのは9月30日である。

その舌の乾かない10月5日の人民日報には、中国はまだ世界最大の途上国

なので経済的にも技術的にも相当劣っている、と卑下している。だからまだまだ

CO2の削減よりも、発展に力を注がなければならないのですよ
、と言ってい

るのであろう。

              

人民日報、国慶節式典は中国の力を表した200910051035

2009-10-05 10:35:11

(Photo)
 5日付けの中国共産党の機関紙『人民日報』は評論員の論評を載せ、「新中国建国60周年の祝賀式典は中国人が誇る力を表した」としています。


 文章は、「経済力の絶え間ぬ増強に伴い、中国はますます世界の平和と発展

を促す重要な力となっている。西側の学者が示したように、中国の経済成長は

発展途上国に大きな利益をもたらすだけでなく、より重要なのは将来である。す

なわち中国が唱える価値観や発展のパターンと対外開放政策が世界でより共

鳴を得て、影響力を与えるであろう」と書かれています。

 さらに、文章は「中華民族の偉大な復興の道のりで、われわれははっきりと認

識している
中国はまだ世界で最大の発展途上国で、中国の力は絶えず発展

しているが、先進国と比べ
経済面でも科学技術面でも差があるわれわれ

は過小評価してはならないが、思い上がってうぬぼれることもできない。向上心

を持って、人間社会が作り出したあらゆる文明の成果を幅広く取り入れ、中国の

力をより強くし、勤勉な努力と絶え間ぬ奮闘で人類により大きな貢献をしていく」

としています。
(翻訳:ヒガシ)
http://japanese.cri.cn/881/2009/10/05/1s148236.htm

(続く)