それによると、1990年のCO2排出量は12.2億トン(上表では基準年数字として、
12.61億トン)で、2005年には、14%も増加している、としている。(上表では
13.58トン、7.7%の増加となっている。)2005年からは排出量取引が始まってい
るので、上表はそれを含んだ数字かもしれないが、やや数字は異なっている。し
かし筋書きとしては間違っていないと思われるので、このまま先生の話の紹介を
進める。
先生の言わんとする所は、1997年の京都議定書から2009年までの12年間
CO2を減らそうと相当努力してきたのに、このように反対に14%(上表では
+7.7%)も増加してしまっている。その上に鳩山の言う25%削減を考えると、
14%+25%=39% (上表数字+7.7%では+32.7%)も1990年比削減しなければな
らないぞ、いったい政府は何を考えているのか、と言ったところである。
そこで排出権などをお金で買ってくることになる。数字を簡単にして1990年の
CO2を単に12億トンとし、2020年のCO2排出量も12億トン程度に減少させたと
予想し、その25%の3億トンをお金で買うことになる。ここでCO2の1t当りの相場
が問題となる。先生によると排出権相場は、環境省が1,212円、EUの相場が
3,000円だと言う。したがって3億t分の排出権を購入する額は、3,636億円から
9,000億円が毎年掛かると言う。そして、内閣官房が発表している「25%削減に
要する経費」は、82,000円/tだと言う。3億tを減らすためには、したがって、毎年
3億t×82,000円=24兆6,000億円の金が要ることになる。排出権を買うとすれ
ば、先の数字の3,636億円から9,000億円/年で済む事になる。鳩山内閣は、相
当数量は日本国内で削減させるとしているようなので、こんなにコストが掛る様
であれば、日本の工業は今後の11年(2010年から2020年まで)で壊滅してしま
うだろう。
これらの数字をまとめてみる。
(1) 削減する25%のCO2は、約3億tとなる。
(2) CO2を1t削減する経費は、約82,000円(内閣官房)となる。
(3) 従って、25%削減には、毎年、24兆6,000億円の出費となる。
(4) CO2の排出権相場は、トン当たり、1,212円(環境省)か3,000円(EU相場)と
なる。
(5) 従って、CO2の3億トン分の排出権は、3,636億円(EU相場)となる。
(6) 民主党政権は、毎年25%削減のために、約25兆円(24.6兆円)もかけるとし
ている。 これが、11年間続く。
(7) だから、今後の11年(2010年から2020年)で、日本の工業は壊滅してしまう。
と言うのが、鳩山ドクトリン(主義主張)なのである。しかもCO2が本当の温暖化
の原因であると言う証明すら、まだ出ていないのである。こんな鳩山や小沢の民
主党に、日本を任せてよいものであろうか。
オバマや、胡錦濤やメドヴェージェフは、温暖化の被害がでるのは2050年以後
と読んでおり、それまでにより有利な地位を築こうと駆け引きを行っているので
あり、決して自国の工業や経済を苦境には落とそうとはしない。そのためにCO2
削減にはすこぶる消極的なのである。馬鹿を見ているのは、日本だけなのであ
る。しかもこれらの国は国連を焚きつけて、更に、日本から金を出させようと策略
している。
「日本が環境先進国として、途上国のCO2削減のために、その優れた技術、ノ
ウハウ、資金を提供し、世界の環境に大きく貢献する事を期待する」なんぞの呼
びかけが、それだ。NHKも馬鹿だから、彼ら米中露の先兵となってその事を報道
し続ける。鳩山や民主党もその気になっている。CO2を削減してもそれは、今の
温暖化対策たり得ないし、CO2を削減すれば本当に温暖化が阻止されるわけで
もない。被害が顕著にでる内陸部や熱帯地方の一部の国に対して対策をとれば
よいだけである。もちろん内陸部の国とは米国、中国、ロシアであり、彼らにはな
んら援助する必要もない。基本的には温暖化は暖かくなるわけだから、気候的
には良い事である。温暖化地獄なんぞはありえない。あったとしても一部分だけ
の対策で十分なのである。
と言ったところが、 WiLLの2010年2月号に載っている武田邦彦先生の「御用学
者と官僚、マスコミ共同制作、『温暖化地獄』の幻想」に述べられている内容で
ある。
(続く)