国慶節に思う。(56)

COP15は2009年12月19日、日米欧や中国など20カ国以上の首脳らの協

議でまとめた「コペンハーゲン協定」の全会一致での採択を断念し、同協定に

「留意する」との文書を採択して閉幕した
、とは先に紹介した。(091223,国慶節

に思う。NO.46)


そもそもCOP15気候変動枠組み条約締約国会議は、地球の温暖化を防ぐた

めに、世界の国々はCO2をどれだけ削減するかを打ち合わせる会議である。

CO2などのために地球温暖化が進むと、北極の氷が解けてホッキョクグマの生

息域が減少しやがては絶滅してしまわないのかとか、内陸部で砂漠化が進行し

人が住めなくなるとか、湖が干上がってしまう、更には海水面が上昇し大洋の島

嶼国などは水没してしまうのではないかと言った地球規模での気候変動を阻止

するために設けられた国連の会議である。


最も象徴的な事柄は、南北両極の氷が解けて海水面が何十メートルも上昇して

しまうのではないか、と言うことである。ここに武田邦彦先生の「環境問題にはな

ぜウソがまかり通るのか」(洋泉社)と言う本がある。ここに、南北両極の氷に関

する面白い事が書かれている。先ずそれを紹介しよう。


北極と南極とでは、その状況は異なる。北極の氷は海に浮いているが、南極の

氷は陸上にある。そのため「南極の氷が全部溶けたら、海水面は60mも上が

る」と言われている。果たしてそんな事態が来るのか、もちろん来たら大変だ。

南極の氷が溶けるには、南極の温度が零度を超えて上昇しなければならない。

どのくらい温暖化すると南極の氷が溶け出すのか。南極の温度は、-49℃から

-50℃だという。しかも1950年頃から2005年頃までの温度は、-49.2℃から

-49.8℃(目測値)に低下しているのだ。南極は温暖化どころか寒冷化してい

る、と言った方が正確だ。だから先ずは、南極の氷は溶け出さないだろう。


だから、南極の氷が溶ける事態か来るとしたら、それは地球が横倒しとなって南

極が今の赤道あたりに来るとか、小惑星クラスの隕石が南極に落下してすべて

の氷山が溶け出すとかしない限り有り得ない。地球地軸の横転などの事態が到

来したら、それこそ地球滅亡の日だ。かつては地球の地軸は何回も移動してい

ると言うし、全球が凍結した時もあった地球である。宇宙的規模になると何が起

こるかわからないが、COP15ではそんな事は夢にも議題とはならない。従って

現在言及されている地球温暖化なんぞでは、南極の氷は溶けないのだ。


しかも現在程度の温暖化であれば、反対に南極の氷は増えると言う。それはこ

んな理由による。温暖化がある程度進めば、海水面からの水分の蒸発が進む。

風向きにもよるが、その蒸発した水分が南極に向かえば、瞬く間に冷やされて

雪や氷となって降り注ぎ、南極の氷は増える事になると言う。これは冷蔵庫の霜

取り装置が必要となる原理と同じなのだ。冷蔵庫内に水蒸気があると、それが

冷やされて霜となり庫内のあちこちにへばりつく事になる。これと同じ原理なのだ。


北極の氷の件は、簡単だ。「アルキメデスの原理」は、みんなご存知の事と思う。

参考のために、Wikipediaで調べてみる。それによると、「水中の物体は、その

物体が押しのけた水の質量だけ軽くなる」と言うもの。「物体を水の中に静かに

入れると、物体が重力の作用で水の中に沈む。それによって押しのけられた水

も、その物体の存在する空間(正確には体積)へ押し入ろうとするが、その物体

の空間に相当する水の重量と、押しのけられた水の重量が同じとなった所で、

その物体は沈むのをやめる。つまり物体と同じ重量の水を押しのけた所で釣り

合って物体は沈むのをやめる。」と言うもの。そして水だけでなくすべての流体に

ついてこのことは当てはまる。---と言ったものだ。


北極の氷は海水に浮いている。この氷はその9割近くが水に沈んでいると言う。

これは水が凍ると膨張する事による。同じ水が凍ると体積が1割ほど大きくな

る。アルキメデスの原理により、その大きくなった部分だけ水面に出ている事と

なる。


と言うことは、たとえ北極の氷が全部溶けてしまって元の水に戻っても、水の量

は変わらない、と言うことである。ひとつの氷の海面下と海面上の氷が溶ける

と、もともとスカスカの氷山が押しのけた水と同じ量だけの水となるのである。ス

カスカとは間違えやすい表現だが、氷は水よりも密度が小さいのである。だから

凍ると膨張すると言ったのである。

結局は、(北極の)氷山が溶けても海水面は変わらないのであり、南極の氷山が

溶けるとしたら、それは地球上に宇宙的規模の大異変が起こる事に等しいの

で、先ずはそんな事は起こらないのである。だから氷山が溶けるとしても、海水

面の上昇は、先ずは起こりえないのである。

(続く)