しからば、植物にCO2を吸収させればよいのではないか。わざわざ地中なんぞ
に閉じ込めなくても樹木などの植物は、その葉っぱにある葉緑体で、光を受ける
と空気中のCO2と根から吸い上げた水を反応させて炭酸同化作用(光合成)を
行い、炭水化物を合成し酸素を空気中に放出する。合成した炭水化物は糖類と
なり植物の成長の元となる。このため森林などが大量にCO2を吸収してくれるも
のと思われている。確かにその通りなのだが、樹木にも寿命があって、成熟して
くるとCO2は殆ど吸収しない。そしてやがては枯れて朽ちてゆく。朽ちてゆく過
程で植物は、CO2を排出するのである。従って大局的に見れば、成長する樹木
と朽ちてゆく樹木は最終的に同数となり、吸収しただけのCO2を大気中に放出
する事になるのであり、CO2は減らないのである。だから森林はCO2を吸収する
ことにはならないのである。
もちろんこんな事は、学者達には判っていた。そのため1995年ベルリン、1996
年ジュネーブ、1997年京都でのCOP気候変動枠組条約締約国会議でも、森林
のCO2吸収の対策方法の一つに入れる事には反対だった。しかし京都でのCO
P3では、経済成長をすればCO2が排出される事をわきまえていた日本が京都
でのCOP 3で、強硬に森林の二酸化炭素吸収量を対策に入れる事を要求した
のである。これはすこぶる当時の議論を弁(わきま)えた日本国の主張だったの
であった。なんとなれば、日本は1990年代には世界一の省エネ大国となってい
たため、それから6%の削減はヨーロッパや米国などの状況とは異なり、すこぶ
る不利な状況(既にCO2の削減が進んでいた)だったからである。当時の自民
党政府は、この辺の事情をよく理解していたため敢えて強硬な主張をしたので
あった。そのためCOP 3では、政治的な配慮から二酸化炭素の吸収源として森
林を認めてもよいという事になったのである。
EUが敢えて1990年を基準し、しかもEU平均でCO2を削減しても良いと主張す
る事の方が、余程理に適(かな)わないことなのである。現在EUは15カ国から27
カ国になり、新たに追加された旧共産圏の国々加入で36%程度のCO2排出クレ
ジットを持つ事になっているのである。EUは現在、1990年比36%減を約束して
も、実質は+-ゼロなのである。その結果イギリスは、増枠5%、ドイツは増枠11
%を得ている事になったのである。このことは'09.12.31の当ブログNO.53で述べ
ている。
こんな事が許されて良い事か。賢明な読者諸氏におかれては、普通なら許され
ない事であることを理解いただけるであろう。そんな国際情勢の中での、あのぼ
んくらな鳩山の25%の削減なのである。武田邦彦先生は、日本のこの強硬な主
張に対して、科学者として素直に恥ずかしい限りだ、とこの書籍(環境問題はな
ぜウソがまかり通るのか)では述べているが、小生は、当時のCOP 3での交渉
担当者は、国際政治の場で日本の国益のために必死に頑張った事だと、敬意
を表したい。これが国際政治なのである。それにしても日本にはマスコミ報道に
付和雷同して、真実を主張する事に反対する馬鹿な非国民が多い事よ。
それでは、コペンハーゲン協定の付属書に「日本の削減目標」をどのように記入
すればよいのか。今年の1月末までに記入しなければならないのであるが、
'09.12.26および12.28の当ブログのNO.49、NO.50を参照願いたい。付属書に
記入する数字は、「0.0%」 で良いのである。
ぼんくらな鳩山と非国民の民主党は何を考えているのか。
(続く)