国慶節に思う。(61)

京都議定書は大雑把に言って次の様な削減目標を定めている。

1990年排出のCO2を基準として、

1.先進国が平均として、6%削減する。

2.地球温暖化に対する6種類の温暖化ガスの寄与率を60%と仮定する。(実際には太陽活動の影響の方が寄与率は高い、と推定されるが。)

3.その6種類の温暖化ガスのうちCO2の寄与率は60%である。

4.先進国が排出しているCO2は世界で約60%である。

5.京都議定書は約60%の国が批准すれば効力を持つ。(実際には55%条項)


ということで、これらが実施された場合温暖化にどれほどの効果を挙げる事が

出来るのか。その割合は、これらをすべて掛け合わせた数字となる。


0.06×0.6×0.6×0.6×0.6=0.00777 即ち、地球温暖化に寄与する割合は、0.8%

程度
となる。こんな寄与率では殆ど温暖化を防ぐ効果はない。中国や米国など

の最大排出国が参加しなければ、全く効果はないのである。全世界のCO2排出

量の4%しか占めていない日本がいくら頑張って25%削減に努力しても、それは

全くの水の泡なのである。日本の25%で、中国に相当の削減目標を割り当てる

事が出来れば、まだしも、こんな事で中国が大幅な削減に同意する筈がない。

そんな事は赤子でも想像出来た筈なのに、なんで鳩山は25%何ぞと口走ってし

まったのか。理解に苦しむ。これで日本も沈む。子供手当て何ぞで騙された国民

も大馬鹿なのだ。そのうちにもっと貧乏になってゆくであろう。


0.8%の寄与と言うことは、仮に温暖化で1℃上昇するとしよう。京都議定書のお

陰でそれが、0.8%だけ抑制されることになる。結果として1.0-0.008=0.992、

0.992℃の上昇に留まると言う事である。1℃あがるところを0.992℃に抑える

と言う事で、これではどうにもならない。つまり、残念ながら京都議定書では地球

温暖化には殆ど効果がない。やらないよりも、そりぁ、やったほうが良いわな、と

言ったところなのである。


鳩山の25%削減も同様だ。日本のCO2は全世界で僅か4%しか占めていない。

25%が、念のために、どれほど地球温暖化を防止するのであろうか。'09.12.7の

同ブログNO.33での紹介した国家基本問題研究所(櫻井よし子氏が理事長)の

シンポジウムの内容を読めば、その実現可能性は殆どないことがわかる。そこ

にある次の様な表現を見れば、そのことがよくわかる。


世界一の国がなぜペナルティを払うのか
鳩山国連演説「25%削減」の舞台裏(上)200911202102

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20091120/210271/  には、こんな表現。

       
「それには相当の知恵と技術と国際政治が要るということはお分かりいただけたと思います。」
      
これは今の技術では相当に難しい、と言う事を言っている。更に鳩山国連演説

「25%削減」の舞台裏(下)
でもこんな表現。

        
「例えば、2020年までの目標値は、今ある技術でしか実現できない。ならば、次世代技術を勘案すれば2025年とか2030年にしようと提案する事も、日本の立場としては出来るのではないかと、私などは思ったりします。」

       
これも今の技術では実現できないから、2025年とか2030年以降に延期したらど

うか、と提案しているのである。


即ち25%削減の可能生は殆ど無い、と言う事である。仮にその可能性を10%だ

として、日本の地球温暖化防止効果を試算してみよう。前提を次のように定める。
               

1.日本の削減目標は25%とする。

2.地球温暖化に対する6種類の温暖化ガスの寄与率を60%と仮定する。

3.その6種類の温暖化ガスのうちCO2の寄与率は60%である。

4.日本が排出しているCO2は世界で約4%である。

5.日本の25%削減可能性は、10%とする。


(続く)