国慶節に思う。(68)

従って、オバマにとっては地球温暖化による災害と異変が大きければ大きいほ

ど、原子力産業を推進するためには都合が良いのである。だからCO2の削減

に対しては、それほど興味を持っているとは思えない。興味あるのは原子力

産業の発展であり、コペンハーゲン協定の付属書に記載するオバマの削減目

標は、きっと碌な数字ではないであろう。だがオバマは、原子力エネルギーは

Greenで、Non-carbonだと宣伝している。更にはEPA長官までもが、CO2は健

康に良くないとまで発言している。IPCCが、策を弄して、地球温暖化が進むと脅

かした意味はここにある。(2010.1.22の当ブログNO.64参照の事。)

  
従って米国が次の産業に原子力を選んだ事で、それに関する分野での競争は

激しくなるはずである。たとえば、ウラニュウムの争奪などだ。日本は原子炉の

技術を持っている。現在世界一ではないか思うのであるが、日本政府もこの分

野の産業や技術には、相当てこ入れをすべきである。

  
いずれにせよ、米国が原子力発電を本格的に展開するまでには、10~20年は掛

るであろう。その間は、石炭火力を使い続けざるを得ない。だから尚更、CO2削

減には努力はしないはずだ。(だから石炭火力のCO2削減技術の革命があれ

ば、最高だが相当難しいようだ)そして米国は中国やインドが相当のCO2削減

に合意しなければ意味が無い、と言っている。中国はいまや米国の工場と化し

ているし、更には、米国の銀行と化してもいる。米国は中国に莫大な債務があ

り、米国国債を中国が買ってくれなければ財政は成り立ってゆかない状況だ。だ

から、中国が政治でも経済でも元気で居てくれなければ、米国は困るのである。

中国は米国よりも「金持ち」であるにも拘わらず、自らを「後進国」と称してはばか

らずCO2を削減しようとはしない。米国も以上の様な状況であるため、そのこと

に異議を挟まないのである。米国の「中国やインドが相当のCO2削減に合意し

なければ意味が無い」、との発言の意味は米中両国ともよく理解している。お互

いにCO2削減は程ほどにして頑張ろうではないか、と言ったところなのである。

インドもCO2削減の上限には応じないと言っている。発言の主はインド人でもあ

IPCCの議長のラジェンドラ・クマール・パチャウリー氏なのである。

  
このような背景があるにも拘わらず、世間(世界)知らずのぼんくら鳩山」と

アホな民主党だけが、くそまじめにこの問題に無意味な挑戦をしているこ

とになっている。だから、こんな事実があるのであるからして、各国の首脳が集

まって温暖化防止のための世界会議が開かれても、所詮意味の無いことなので

ある。

今までも何回も議論されているが、何も決まっていない。京都議定書も無意味な

議定書で、温暖化に対してはなんの意味も持たない。世界中で日本だけが慈善

事業をしているだけなのである。もし本当に大災害、大異変を信用しているのな

ら、会議はもっと真剣なものとなる筈である。日本を除いては、彼らはIPCCの予

測なんぞは信用していないのである。これが世界なのである世界は無政府

なのである。

  
この論文では更に、「北極圏の気候変動をセンセーショナルにマスコミが報道し

てあたかもCO2の所為にしているが、それは誤りである」としている。とてもCO2

に関係しているとは考えられない、と断定している。地球の気候変動は、太陽の

活動やPDO太平洋振動の影響のほうが大きいのである。日本の報道には調査

報告というものが無く、これは欠陥であると述べている。いわゆる「大本営発表

ばりの報道なのである。

  
この講演でも赤祖父氏は、「2000年より、地球平均気温の上昇は止まっている。

CO2は急激に増加しているにもかかわらず、である。これは観測された事実で

ある。IPCCの研究者はいまだにその事実を無視し、・・・。これはCO2による気

温上昇を打ち消す未知のものがあるからである。」と述べている。それを氏は、

小氷河期の回復に乗った準周期変動による可能性が大きい。即ちIPCC

CO2の影響を強調したいあまり、いくつかの自然変動を無視してきた。」と結

論付けている。

さて、「正論12月号」に戻ろう。

(続く)