小沢資金問題(15)

さて2010年1月13日には、東京地検特捜部は小沢事務所などへの強制捜査

に踏み切っている。2月19日の当ブログ参照の事。そのNO.6の記事によると、

捜索が入って所は、東京・赤坂の小沢の陸山会の事務所、小沢のその他の

人事務所
、大手ゼネコンの鹿島の本社(東京)や東北支店、それに石川の議

員会館の事務所、帯広市の事務所
などであり、不思議なことに、小沢の自宅

へは入っていない。小沢の自宅の通称「深沢銀行」は、つとに有名だった筈だ。

なぜ入らなかったのであろうか、との疑問は自然と沸いてくる事である。

意図的な何かを感ぜざるを得ない。


さて検察とは、捜査権を有し刑事事件(犯罪や刑罰に関する法律関係)の司法

処理(法律に違反した事を裁判所に提起する。起訴)を担当することである。そ

の国家組織が「検察庁」である。


その上部組織は法務省である。法務省の下に、最高検察庁高等検察庁

地方検察庁区検察庁
と連なっており、裁判所に対応して設置されている。厳

正に法律に沿った捜査や判断が求められるために、政治からは独立していると

されている。しかし検察官と言えども国家公務員であるため、法令に従うのはも

ちろんの事ではあるが、「上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない」

と言う公務員法に縛られている。そしてその方法としては、法務大臣から検事総

長に対してのみ行われなけばならない、とされている(検察庁法)。これがいわゆ

指揮権の発動と言われるものである。


話は一寸飛ぶが、国家公務員法が改正される話が出ているのはご存知の事で

あろう。これが小沢の資金問題と密接に関係していた事には、一般的にはあまり

気づかなかったであろう。次の記事を参照願う。

   

r公務員法改正:閣議決定 幹部人事を一元管理

 政府は19日午前の閣議で、首相官邸主導で幹部職員の人事を柔軟に行うた

めの国家公務員法等改正案を決定した。幹部人事を「内閣人事局」が一元管理

し、首相が各閣僚に幹部の人事異動を要求できる規定を設ける。事務次官級、

局長級、部長級を同格とみなし、格下げや抜てきを容易にする。年度内に成立さ

せ、4月1日の人事局設置を目指す。

 首相は閣議決定に先立ち国家公務員制度改革推進本部のあいさつで「頑張

る公務員がもっと頑張れる公務員制度にしたい」と強調した。


 改正案では、内閣人事局で部長級以上の「幹部候補者名簿」を作成。幹部登

用は、首相や各閣僚が協議して名簿から行う。名簿を一つにすることで省庁横

断的な人事を目指すが、独立性の高い検察庁、警察庁、人事院、会計検査

院などは一元管理の対象から除外する



 柔軟な人事の前提として「次官級、局長級、部長級は同一の職制上の段階」と

規定。降格の概念をなくし、通常の人事異動として異動を行えるようにした。原

案では部長級は含まれていなかったが、原口一博総務相が部長級への降格が

難しいと指摘し、12日の予定だった閣議決定が先送りされ、修正された。


 また、天下りあっせんを一元管理していた官民人材交流センターは廃止し、

「民間人材登用・再就職適正化センター」を新設。天下りあっせんを基本的に禁

止した。【小山由宇】

毎日新聞 2010年2月19日 11時47分

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100219k0000e010051000c.html

   
最高検察庁のトップは検事総長樋渡利秋、トップ2が次長検事伊藤鉄男

東京高等検察庁のトップは検事長の大林宏、その下に東京地方検察庁がある。

東京・大阪・名古屋の各地方検察庁には特別捜査部が設置されている。いわゆ

特捜である。この特捜は独自の捜査権限を有し、政治家の汚職や大型脱税

事件などの経済事件を独自に捜査する。東京地検特捜部の部長は、佐久間達

哉で副部長は吉田正喜である。この2人が中心となって、小沢の資金問題を捜

査している。小沢の不起訴が発表された2月4日の東京都千代田区霞ヶ関一丁

目の中央合同庁舎第6号館10階の両名の部屋の電気は深夜を過ぎても消える

事はなかった。忸怩たる思いがあったであろうことは、容易に推定される。そして

この大林宏は彼ら特捜の(直接ではないが)上司に当たるが、最後まで小沢の

個人事務所などへの強制捜査には難色を示していたと言う。だから小沢の自

宅への捜索はなかったのであろう。

(続く)