番外編・プリウス急加速問題(5)

p4公聴会で新たな議論の種 トヨタ、07年リコールで1億ドル節約  2010.2.23 05:00

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 トヨタ自動車が、乗用車「カムリ」と高級車「レクサスES」を対象に行った2007年のリコー

ル(回収・無償修理)で、米国当局との「交渉」を通じ経費を1億ドル(約91億6100万円)節

約し、さらに当局の追加調査についても「望ましい形」で終結させていたことが分かった。米議

会の委員会に送付された同社の社内文書の内容から明らかとなった。


 トヨタはこれらに加え、当局の提案した衝突事故に関する規制が緩和・先送りされたことも

トヨタの勝ち星」として同文書に盛り込んでいる。当局の規制案は、車体の転覆や側面衝突

に備えルーフやドアロックの乗員保護性能を向上させるよう要求したもので、これを先送りし

たことにより、トヨタは約1億3500万ドルの経費節減を実現したという。


 トヨタは昨年9月以降全世界で800万台以上のリコールを実施した。ブルームバーグがこ

のほど入手した問題の文書は、09年7月6日付で作成され、下院監督・政府改革委員会に

提出されたもの。


 文書の記載内容は、米議会で今週開かれる公聴会で、トヨタと米当局の対応についての新

たな議論を巻き起こす可能性がある。


 文書で報告された1億ドルの経費節減は、フロアマットがアクセルペダルの操作に支障をき

たす恐れがあるとしてトヨタが07年に米国で実施したリコールに関連したもの。リコール対象

を5万5000台とし、その内容をマットの回収にとどめたことが大幅なコスト削減につながった

とされる。

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 トヨタの広報担当、マーサ・ボス氏は「当社の最優先事項は顧客の安全。1つの内部文書

をもとに、それを否定する結論を導くのは適切ではない」と反論。「顧客第一主義」に基づく

安全性と品質の確保を常に重視していることを強調した。これに対し米運輸省の広報担当、

リビア・アレア氏は「文書がもつ意味は非常に重いと言わざるを得ない」とコメント。「運転者

への安全対策を確実に行わせるため、トヨタには圧力をかけていく必要がある」との認識を

示した。


 トヨタ豊田章男社長は24日、下院監督・政府改革委の公聴会で証言する予定。同委員

会メンバーのダレル・イッサ下院議員(共和、カリフォルニア)は、ブルームバーグテレビのイ

ンタビューに応じ「今回の公聴会によって、トヨタによる隠蔽(いんぺい)のパターンが精査さ

れることになるだろう」と語った。(ブルームバーグ Jeff Green)

http://www.sankeibiz.jp/business/news/100223/bsa1002230507008-n1.htm

    

先に述べたように「愚直」に不具合の原因と向き合っていれば、このような発想にはならなか

ったのではないか、と思われるのである。もしも真因が当局の指摘と異なっているのであれ

ば、正々堂々と異を唱えればよいのであり、そうでなければ再発防止をきちんとやってゆけ

ばよいのである。そうでなかったと思われたから、議会の公聴会のほかに、裁判所からも召

喚状が発送されることにもなるのである。

     

p3米大陪審トヨタに召喚状 リコール問題、刑事責任追及の可能性も

2010.2.23 01:00  このニュースのトピックス:リコール・回収

(Photo)
リコールの経過についての会見に臨むトヨタ自動車豊田章男社長(手前)=17日午後5時

すぎ、東京都文京区後楽のトヨタ自動車東京本社


 トヨタ自動車は22日、米ニューヨーク州南部連邦地方裁判所の連邦大陪審から、大規模リ

コール(回収・無償修理)の原因となったアクセル不具合やハイブリッド車(HV)新型「プリウ

ス」のブレーキなどについての書類提出を求める召喚状を受け取ったと発表した。大陪審

リコール問題で召喚状を出すのは極めて異例で、トヨタの刑事責任が追及される可能性が出

てきた。


 トヨタ東京証券取引所を通じて開示した資料によると、連邦大陪審は召喚状を今月8日

付で発行した。米証券取引委員会(SEC)のロサンゼルス支部もトヨタの米国子会社に対し、

同様の書類の提出を求めた。


 大陪審は市民から選ばれた陪審員で構成され、検事の提出した証拠に基づいて犯罪の有

無を審理する。大陪審の審理は裁判ではなく捜査の一環で、非公開とされる。召喚状の発行

は、大陪審トヨタに対し、リコール問題で刑事責任の追及を視野に入れている可能性を示

すものだ。

  
 トヨタは「召喚状の発行がすなわち、当社が法律違反を犯したということではない。刑事事

件に発展するかどうかは分からない」とした上で、「当局の調査に真摯(しんし)に協力する。

調査への対応を準備している」とコメントしている。

 
 世界で800万台近くのリコールに発展したトヨタ車の安全問題を追及する動きは、最大の

市場である米国で政府・議会から司法当局や市場監視機関にも広がってきた。

  
 米議会では、23日に下院エネルギー・商業委員会で公聴会が開かれるほか、24日に開

催される下院監督・政府改革委員会の公聴会にはトヨタ豊田章男社長が出席する。

http://www.sankeibiz.jp/business/news/100223/bsa1002230009000-n1.htm

  

更に、郡検察庁も制裁金を求める民事訴訟を提起したのである。トヨタ追求の動きは地方レ

ベルまで広がり、全米に広がりつつある。米国のトヨタ潰しも本格化してゆく、と小生には感ぜ

られるのである。

 

p22トヨタに制裁金求め提訴 米加州の郡検察
2010.3.13 09:04

(Photo)
12日、米カリフォルニア州サンタナのオレンジ郡検察庁で会見、トヨタへの民事訴訟を発表

するラッコーカス地方検事(左)とマーク・ロビンソン検事(AP)


 トヨタ自動車の急加速問題で、米カリフォルニア州南部オレンジ郡の検察トップ、ラッコーカ

ス地方検事は12日、「欠陥車の販売や人を欺くビジネス手法で公衆を危険にさらし続けてい

る」として、不正行為の禁止やトヨタへの制裁金を求める民事訴訟を郡地裁に起こしたと発表

した。


 制裁金は法令違反1件につき2500ドル(約22万6千円)としている。米国の地方検察がト

ヨタを提訴した初めてのケースという。ラッコーカス氏はトヨタから消費者を守る権利があると

主張している。


 また、東部コネティカット州の司法長官は同日、州内で今週起きたトヨタ車の事故3件と急

加速との関連を調べるようトヨタに要求していると表明。トヨタ追及の動きは米国内の地方レ

ベルに広がっている。


  トヨタ側は「訴状を受け取っておらず、コメントできない」との声明を出した。(共同)

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100313/biz1003130904004-n1.htm

  

だから 、トヨタは「踏んだり蹴ったり」と言ったのである。しかも2月23日の公聴会では、運転

者がトヨタ車の「急加速」の恐怖体験まで証言している。この記事だけでは、何がどうなったの

かは判然としない。しかしクルーズコントロールが何らかの影響を及ぼしているのかもしれな

い。しっかりとアメリカ当局とも協力し合って、原因究明を進めてもらいたいものだ。
(続く)