番外編・プリウス急加速問題(19)

イギリスのエコノミストもえらそうな事を言っているが、英国の自動車産業は外国

勢にすべてやられてしまっている。いわゆる国産自動車と言うものがなくなってし

まっているではないか。あのロールス・ロイスでさえ、航空機用エンジン部門

ロールス・ロイスベントレーの自動車部門に分離され、航空機エンジン部門

そイギリスに残っているものの、自動車部門は、生産設備、従業員、知的財産な

どは一切合財がフォルクス・ワーゲンの所有となっており、車としての現在の

ロールス・ロイスブランドの乗用車は、BMWが、全く別にウエスト・サセックス

に工場を作り、格好だけは昔のロールス・ロイスばりの車を造って売っているの

であり、実態はBMWなのである。そして今一番売れている国は、中国なのであ

る。中国の成金にふさわしい車が、ロールス・ロイスなのである。そしてあの有

名なBMCミニ(昔はオースチン・ミニとかモーリス・ミニ・マイナー)も多くの若者

の憧れの的であったが、ローバーとともにBMWに買収されてしまって、現在は

BMWミニとなって、コチョコチョとBMWとして走っている次第である。「今はもっ

と面白く、革新的な車を作ることが必要だ
」とは、誠に尤もな事であるが、イギ

リスにおいてこそ言われるべき言葉
ではなかったか、と思われて仕方が無い

のである。トヨタもその事はよく弁えていたので、1997年に世界に先駆けて革

新的なハイブリッドビークルプリウスを世に問うたのである。エコノミストも偉そ

うなことを言う割には、面白いとは何か、革新的とは何かをはっきり定義していな

い。全くの情緒的な論評でしかない。そんなことは言われなくても分かっている、

トヨタも思っていることであろう。このエコノミストの評論は、白人至上主義の潜

在的な表れである。東洋の小国の日本が自動車で世界一になってしまった。自

動車発祥の国イギリスとしては、くやしくて仕方がないのであろう。ここぞとばか

りに日本を卑(いや)しめているのである。まともな自動車も作れないくせに、

「もっと面白く、革新的な車を作れ」などとは、エコノミストもやっかみ半分、おかし

くなったか。


しかしトヨタとしても、いつまでもハイブリッドヴィークル一本やりでこの荒波を乗

り越えられるとは、よもや思ってはいないことであろう。そのためレクサスブランド

LFAなる世界レベルのスポーツカーを目指したと言う車を世に出している。

2009年10月より購入申し込みの受付を開始し、正式な生産開始は2010年

で、月産20台で500台の限定生産と言う。リコール問題のために話題性は飛ん

でしまったが、これはいわゆる面白い車ではあるが、おもしろい車ではない。

しかしトヨタにはISFなるスポーツカーがすでに存在しているが、LFAのようなこ

んな車も作ることが出来ると言うことを示す程度にしておいて、トヨタスポーツ

800のような一般受けのするスポーティーカーなんぞを世に問うてみれば、おも

しろいのではないかと思うのである。いわゆる安価で、運転しておもしろいと言う

奴である。小生の言うおもしろいとは、ちょっと変っていてきびきび走ると言う意味

である。まあ小型のハイブリッド車がベースとなるのであろう。


それにしてもリチウムイオン電池といい、燃料電池といい、今の車世界は電池

バヤリだ。電池を制するものが、車を制すると言われている。高性能電池にはレ

アメタルが必要で、そのため、まだまだ解決しなければならない問題が相当山

積みしているようだ。


まあアメリカもハイブリッド技術はまだ完全にマスターはしていないようだ。その

ため、プリウスは、GMやフォード、クライスラーの目の上のたんこぶだ。そのた

めアメリカとしてもそのソフトを手に入れたくて仕方がないのだ。そのため、電子

制御システムを槍玉に挙げて攻めているのだ。そして宇宙線まで担(かつ)ぎ出

している。

(続く)