p99BYD社とDaimler社、中国のEV開発拠点Shenzhen BYD Daimler New Technology社を設立
2010/05/28 15:01 小川 計介=日経Automotive Technology
(Photo) BYD社が2010年に中国と米国で発売するEV「e6」。
中国BYD社とドイツDaimler社は2010年5月27日、中国でのEV(電気自動車)
開発拠点となるShenzhen BYD Daimler New Technology社を設立することで
合意した。新会社を通して、中国向けのEVを早期に開発する。2010年3月の両
社の発表内容を受けたもの(関連記事)。 →
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/EVENT/20100305/180853/
新会社の資本金は、6億元(1元13円換算で78億円)で、両社が折半出資する。
開発するEVは、新ブランドを採用することが決まっており、Daimler社のEVに関
する車両技術や安全技術とBYD社の電池・駆動システムを組み合わせる。
Daimler社は、2010年に2種類の電動車両を実用化する計画で、これらは燃料
電池車「B-Class F-CELL」とEV「A-Class E-CELL」である。一方のBYD社は
2010年3月に、ハイブリッド車「F3DM」を個人向けに発売しており、2010年中に
EV「e6」を米国と中国で発売する計画である。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100528/183016/
この関連記事によると、今年の3月のジュネーブショーで、両者は技術提携を
発表している。そしてBYDの電池技術とダイムラーの電動車両技術とを組み合
わせて、中国市場向けのEVを早期に開発し、独自ブランドで市場投入すると言
う。そしてその車は多分、Aクラスのプラットフォームを使うと言う。ダイムラー社
はもともと2010年にAクラスのEVモデルを実用化する計画であったので、それに
はBYDのバッテリーを搭載することになるとしている。
テスラ・ロードスターは380km、モデルSは先のp-9の記事によると483kmだ
から6掛けすると、夫々228km、290kmとなる。事ほど左様に現在のところ公表
されている航続距離は当てにならないものなのである。それだけバッテリーの性
能が無いのである。だからトヨタとしては、近距離は電気自動車、遠距離は燃
料電池車としているのである。電気自動車でも遠距離まで航続距離が伸びて、
バッテリーの充電が短時間で(例えば30分以内で)出来るようになり、かつ、充
電スタンドが各地に設置されている様にならなければ電気自動車の用途は限ら
れてしまう。トヨタもこれを何とか打破したいのであるが、ただし積極的には行動
はしていないのであろう。トヨタはテスラと何をするのか、見ものである。
日経ビジネス オンライン 2010年5月28日(金)
浜田基彦の「走る 曲がる 止まる」 2010年5月27日(木)
p96トヨタがテスラ・モーターズに出資、気になる「ベンチャー6掛け説」の行方
浜田 基彦 【プロフィール】
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「6掛け、いや7掛け、やっぱり6掛けかな」。迷いながら教えてくださったのは、
「ベンチャー系の電気自動車(EV)の航続距離は割り引いて評価している」とい
う大メーカーの技術者だった。確か昨年のデトロイトモーターショーの会場だった
気がするから、1年半も前のことになる。
トヨタ自動車が米テスラ・モーターズに出資した。この6掛けがどうなるか、気に
なってしょうがない。電気自動車「テスラ・ロードスター」の航続距離は380キロ、
「モデルS」はいろいろ仕様があり、長い方で483キロだ。
(Photo)テスラ・モーターズのEVセダン「テスラ モデルS」
ベンチャー系をもう少し挙げておくと、ノルウェーTHINK社の「TH!NK City」が
170キロ。「TH!NK City」については同社のCEOであるリチャード・キャニー氏
が、弊社主催のセミナー「AUTOMOTIVE TECHNOLOGY DAYS 2010
summer」で6月1日に解説することになっている。
話を戻そう。ベンチャー系3車の航続距離を6掛けすると、それぞれ228キロ、
290キロ、102キロになる。大メーカー系ではドイツ・ダイムラー「smart ed」が
115キロ、日産自動車「リーフ」、三菱自動車「i-MiEV」がともに160キロだ。この
関係をどう考えるか。本当に6掛けなのか。
航続距離は「言ったもん勝ち」の数字である。10・15モード、LA4モードなどの
燃費は各国や各州の監督官庁がきちんと試験法、定義を決めて測るが、航続
距離にはそれがない。どんな走り方をした数字かさえ公表しないメーカーがある
ほどだ。
航続距離をとるか、寿命をとるか
例えば電池をちょっとだけ傷めてよければ、航続距離は簡単に、そして大幅に
伸びる。もちろん寿命を縮めてはいるのだが、その影響が定量的に分かるのは
電池が寿命を迎えたあと、つまり今から何年も先だ。
加速試験という方法があって、先のことを占える。10年分、20年分の負荷を与
えて早い時期に結果を出している。しかし、EV用電池のような新しいものに対し
ては、当然なことながら加速試験と実物との突き合わせができていない。加速試
験はあまり信用できないのである。
(続く)