年央雑感(20)

2010年7月11日の参院選の結果が判明した。民主党議席を10も減らして

44議席へ減少し、全議席106。自民党は13議席も増やして51議席を獲得し

議席84。そして渡辺喜美代表の「みんなの党」が新たに10議席も獲得し、全

議席は11となる。さらに、国民新党は改選の全3議席を失い総議席は半減す

る。その結果、自民党の目標としていた与党の参院過半数割れを、見事達成す

る事が出来た。与党の110議席に対して、野党は132議席となる。121議席

半数であるので、与党は後12議席分を増やさなければ、過半数を達成する事

は出来ない。と言う事は、12議席以上の他党と連携する必要がでてきたので

ある。12議席だとすると一党でそれだけ確保するとすると、公明党の19しか

ない。さもなくば、共産6社民4と無所属3との連携しかない。これらの党は何れ

民社党とは連携しないと宣言しているから、先ずありえない。従って現在の与

党は、このままでは参院では絶対に過半数を確保できる事は無い、と断言でき

る。やれやれだ、これで民主党の横暴を阻止出来ることになる、と言うもので

ある。

参考までに、党派別の獲得議席数を示す。

        改選 非改選 合計
民主  44←54   62   106
自民  51←38   33   84
公明   9←11   10   19
みんな 10← 0    1   11
共産   3← 4    3    6
社民   2← 3    2    4
国民新  0← 3    3    3
たちあ  1← 1    2    3
改革   1← 5    1    2
諸派   0← 0    1    1
無所属  0← 1    3    3
合計 121←120 121 242

    
この表でわかる様に、渡辺喜美みんなの党がゼロから10議席と増えている。

この影響をまともに受けたのが民主党なのだ。民主党の10議席がそっくりその

ままみんなの党に移ったことになる。自民党の+13はその他の党から一つ二つ

と移ったものである。とまあ、この表からはこじつける事が出来る。従って、自民

党への支持が国民の間に広がった結果、自民党議席が増加したと言う事で

はない。自民党はこのことを良く弁えて、今後の国会運営をしてゆかなければな

らない。と言う事は、政策ごとに、真摯(しんし、熱心で正直)に検討を加えて国

民のためになると思われる形で与党と討議してゆく事が必要となる。その姿が

国民の信頼を受ける、と言う事だ。


例えば「消費税」の増税問題だ。誰もが、今後は消費税の増税が必要であると

言う事は、わかっている。そのためのプロセスが問題なのだ。あらゆる節約をし

た上で増税をせざるを得ない、と言うシチュエーションを、如何に造り上げるか

だ。その第一が、国会議員の歳費(議員に支給される手当)を減らすことだ。こ

れには議員数を減らすこと、と一人当たりの議員歳費を減らすことでも、減少さ

せることが出来る。差し当たり一人当たりの議員歳費を減らすことは、すぐにで

も出来るのではないかな。みんなとの党と自民党には、是非この提案をやって

貰いたいものである。


さて、みんなの党の躍進で、自民党がそのおこぼれを頂戴した格好になってい

るので、自民党は浮かれてもらっては困るのである。それは無党派層の投票行

動を見ればよくわかる。例えば、比例代表に対する出口調査による投票した政

党名がさる新聞に出ていたので、それを見ればよくわかる。次の数字を参照願

いたい。

   
      今回      2009衆院選  増減
民主   28.8%    51.6%   -22.8
自民   16.7      15.6     + 1.1
みんな  22.8       7.5      +15.3

   
結局これを見る限りでは、無党派層民主党からみんなの党とその他の新党

へと、その投票先を変えたことがわかる。その結果が、先に述べたみんなの党

の躍進なのである。それだけ民主党への信頼が低下した事が伺(うかが)える

のである。いくら短期間だとは言え、民主党の政策や政権運営に対する拒否反

応が強かった、と言う事ではあるまいか。だから小生は、単に消費税の10%へ

増税を言い出しただけで、民主党が選挙に負けたとは思えないのである。先

に掲げておいたが(6/26、NO6参照)、今年の一般会計国家予算で+3兆7,512

億円もの対前年度増加している内訳が、例のばらまきの結果であったこと、そ

してその結果消費税を10%に増加せざるを得なくなった事などを見れば、よく

わかる。消費税を10%にもせざるを得なくなったそのプロセスに対して、国民

は「ノー」
と言っているのである。この節約しなければならない折に、なぜ明確な

国家戦略も無く、こんなバラまきをしたのか。その結果が消費税の増税ではな

かったか。これは明らかに間違っている、我々国民を欺いている、なぜバラまき

のつけを国民に押し付けるのか、と。

 

従って、自民党民主党のミス、敵失に助けられただけなのである。ちなみに参

比例代表での投票先は、次の通りである。

   
投票先   男      女
民主党  36.5%  32.5
自民党  25.0    25.7
みんな  15.6    14.0

   
自民党は、まだまだ民主党から差をつけられていることがわかる。その差は約

10%と大きい。自民党はこれを縮めなければならない訳だ。この差を何で埋め

てゆくのか。それを考えて貰わなければならない。そのヒントはこの「ねじれ」に

ある、と思われる。衆参のねじれのために、自ずと法案・政策に対するまじめな

検討が必要となる。党利・党略でなく国民目線での法案審議が必要なのである。

この過程で、自民党が如何にその良識や能力を発揮して、国家・国民の為にな

る事をするか、に尽きるのではないかな。自民党には、その能力もあり国民から

の期待や信頼もまだまだ有るのである。選挙区選挙・一人区では、自民党が、

21勝8敗と大勝し、前回の2007年の6勝23敗から大幅に挽回しているではな

いか。さしあたっては、消費税論議である。逃げずにまじめに議論を進めて欲しい。

(続く)