次に「あかつき」投入成功の記事を掲げる。
2.5【H2A】金星探査機「あかつき」打ち上げ成功
2010.5.21 07:25 このニュースのトピックス:宇宙・天文台
(Photo)金星探査機「あかつき」を搭載し、打ち上げられるH2Aロケット=21日午前6時58分、鹿児島県・種子島宇宙センター
日本初の金星探査機「あかつき」を搭載した国産大型ロケット「H2A」17号機
が21日午前6時58分、鹿児島県の宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島
宇宙センターから打ち上げられた。約27分後、あかつきを分離し、予定軌道へ
の投入に成功した。
あかつきは約半年間の飛行を経て、今年12月に金星へ到着。金星上空を1
周約30時間で周回し、約2年間にわたり大気の観測などを行う。
打ち上げは当初、18日の予定だったが、天候不良で3日延期された。あかつ
きの開発費は約146億円、H2Aの打ち上げ費(打ち上げ延期による追加分を
除く)は約98億円。
あかつきは赤外線や紫外線などで異なる高度を観測する5台のカメラを搭載。
金星全体を覆う硫酸の雲や秒速約100メートルで吹き荒れる暴風などを調べ、
謎に包まれた大気のメカニズムを解明する。
日本が惑星探査機を打ち上げたのは平成10年の火星探査機「のぞみ」以来
2度目。のぞみは打ち上げ後の不具合などが原因で火星周回軌道への投入
に失敗した。
17号機はあかつきのほか、小型ソーラー電力セイル実証機「イカロス」など
計5基の小型衛星を搭載した。イカロスは宇宙空間で“帆”に相当する約14メー
トル四方の樹脂膜を展開。太陽光が持つ微弱な圧力を受けて飛行する“宇宙
ヨット”で、成功すれば世界初の飛行技術になる。
H2Aの打ち上げは今回で11回連続の成功。信頼性を一段と高め、商業衛星
打ち上げビジネスの新規受注に向けて前進した。
http://sankei.jp.msn.com/science/science/100521/scn1005210705000-n1.htm
そのイカロスは、6月10日、帆の展開に成功している。この写真は「あかつき」か
ら分離されたカメラ衛星から撮ったものである。14mの帆が完全に広がってい
る。この帆に、イカロスは太陽光を受けて進んでゆくことになる。「イカロス」は、
そのことを実証するための衛星なのだ。そしてちょうどその3日後の6月13日夜
には、小惑星イトカワに着陸して地球に帰還した「はやぶさ」が大気圏で燃え尽
き、カプセルを無事オーストラリアのウーメラ砂漠に軟着陸させている。「はや
ぶさ」の7年に渡る宇宙旅行は、海外でもかなりの注目度でもって報道されて
いる。「あかつき」や「イカロス」のことを話す前に、海外での報道の一部を次に
紹介しよう。これは、岩谷文太氏の下記のものから拝借している。岩谷氏は米
国在住の歴史検証者のようにお見受けする。海外での反応が数多く載ってい
るが、そのうちのひとつを掲載する。是非このURLを訪問して、確認してほしい。
http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-228.html
日本の宇宙プログラム Economist.Com
18.5栄光の炎
日本は宇宙で二つの成功を達成
エコノミスト 2010年6月15日
先々週にファルコンが宇宙に打ち上げられた:イーロン・マスク氏の民間融資
のファルコン9ロケットである。
そして今週は別なファルコンが宇宙から戻って来た。6月13日にはやぶさ(ファ
ルコンの日本名)がオーストラリア南部の夜空を疾走した。それが小惑星の表
面から採集された初の岩石サンプルを運んでいると研究者達は願っている。
写真が示すように再突入で宇宙船の大部分は燃え尽き、炭素フェノール樹脂
製の耐熱シールドでプロテクトされた小さな部分が残りウーメラの近くの砂漠に
着地した。このカプセルには地球と軌道が交差する全長500mの小惑星イトカワ
の物質が入っている事が期待されている。
(Photo) 火球となったはやぶさ、右下の光点は射出されたカプセル
それがまず第一点で、日本の宇宙局のJAXAは実に、第二点として6月10日に
地球を周る軌道のソーラーセイル小型衛星のイカロスの打ち上げに成功して
いる。
この2つのうち、短期的にはイトカワ任務がより壮観であるが、それは太陽フ
レア、ボルダー上の着陸、そして地球帰還の3年延期など災難続きであった。し
かしその帰還は、JAXAの筑波宇宙センターの地球司令部チームのトラウマ的
経験により成し遂げられた。
それでも長期的にはイカロスがより重要な任務になるかもしれない。ソーラー
セイルは宇宙旅行の高速手段ではないが低燃費である。それは日光からエネ
ルギーを得るため燃料が必要ない (反射光が僅かな圧力を帆に加え前進する)。
それでもこのソーラーセイルは薄く巨大なものであり、打ち上げ時に折り畳まれ
ている必要があるため装備が難しい。従って200平方メートルのイカロスの帆を
拡げるのはかなりの偉業である。
それは現在どれだけの光量子の風を提供出来るかの腕前を試されている。
イカロスは5月21日に打ち上げられた (それはJAXAの金星ミッションにリフトを
繋いだ)。
2003年に打ち上げられたはやぶさは2005年にイトカワの軌道に乗った。その
意図は表面に接近し発射体を撃ち込んで幾らかの粉塵を得る事だった。それは
上手く行かなかったようであるが、探査機は小惑星の表面に約30分停止してい
たため、数ミリグラムの粉塵でも採集して回収カプセルに入っている可能性が
あり、検査を待っている。
もしそうであるなら、それは宇宙船によって地球に持ち込まれた4番目の地球
外物質になる。前例はアポロ任務や3回のロシアの無人月面機に持ち帰られた
月の岩石、2004年のスターダスト計画でワイルド2彗星から収集された物質、そ
して2001-04年のジェネシス計画で収集された太陽風サンプルである。
もちろん地球外物質は隕石の形で毎日地球に来ているが、その大半は事実
上小さな小惑星であり、はやぶさの収穫品に本当の新発見があるかどうかはま
だ分らない。
皮肉な事に、JAXAがカプセルの着陸地点として選んだ場所は、1950-70年代
に行なわれた英国の廃止された宇宙プログラムのロケット『ブラックナイト』『ブ
ラックアロー』『ブルーストレーク』の打ち上げ地である。
日本の宇宙計画は今のところかつての英国よりも遥かに成功している。自国
の負債を見て何を仕分けするか悩んでいる思慮深い日本人は、この偶然の一
致を悪い前兆と見るかもしれない。しかし一国が落としたバトンをもう一国が拾
い上げるのはむしろ運の良い事である。
[訳=岩谷]
The Economist. "A blaze of glory", Jun 15th 2010.; Updated: "A blaze of glory", Jun 17th 2010.
(続く)