番外編・プリウス急加速問題(51)

思い立って、一旦終了させた「番外編・プリウス急加速問題」を引っ張り出して、

少し続けてみようと思っている。


今年の4/20,4/21の当ブログのNO.14、NO.15で、レクサスの急加速

問題の解明にアメリカはNASANASまで動員して調査を始めた、と報告し

た。あれから4ヵ月が経過している。まあ、トヨタやレクサスの電子制御システム

に何らかの欠陥があれば、レクサスの急加速事故が頻繁に発生している筈なの

だが、そんな話はとんと聞かなくなった。しかしレクサスHS250hやLS460やGS,

ISなどのリコールのニュースは、6月、7月と続けて発信されているが、あれほど

賑わした急加速事故は一向に聞かなくなってしまった。


NASAやNASまでも動員してトヨタをいじめている割には、メキシコ湾でのBP

の油井から石油漏れは一向に止まっていない。いくらイギリスの民間会社のBP

の仕事とは言え、アメリカへの悪影響は計り知れない筈だ。だからオバマもレク

サスの急加速問題なんぞに関わり合っている暇はないんではないかな、と思っ

ていたのだが、案の定なかなか解決出来ない事にアメリカ国民もそろそろ堪忍

袋の緒が切れはじめ、オバマの評判が急落していると言う。さもありなん。

NASAの力は、メキシコ湾に注ぐべきではなかったかな、オバマよ。

      

Newsweek プリンストン発 新潮流アメリカ by 霊泉彰彦
p102メキシコ湾原油流出、オバマのダメージは?

2010年06月11日(金)11時22分

 メキシコ湾の原油流出事故は、発生から50日が経過しました。漏出を抑える

ために様々な手段が講じられましたが、全て失敗しており、一部の回収には成

功したものの、漏出の勢いは止まりません。原油の帯は、メキシコ湾からフロリ

ダ半島周辺の複雑な海流に乗ってしまい、フロリダ東岸からカロライナ、更には

遠くニューヨーク州ロングアイランドまで到達するのも時間の問題と言われて

います。現時点では、ルイジアナミシシッピアラバマ、フロリダで顕著な被害

が出ています。



 流出現場に近い、ルイジアナ州のミシシッピ川三角州では事故直後から、必死

にオイルフェンスを築いていたのですが現在では自然の宝庫とされる三角州地

帯にどんどん原油が流れ込んでいます。目立っているのがペリカンなどの鳥類

や、カメの被害で、原油で真っ黒になったペリカン、油まみれの無残な亀の死骸

といった映像は、毎日のようにTVニュースで流れているのです。



 湿地帯に入り込んだ原油は、掃除機のようなポンプで吸い込むなどといった

手作業で取り除くしかなく、大勢の人々が人海戦術で対応しています。それを指

揮しているのが、ルイジアナ州のボビー・ジンデル知事で、TVレポーターの「こ

んなポンプみたいなローテクで意味があるんですか?」という心ない質問に対し

て「これでもハイテクなんです。コツコツやるしかない」と睨みつけていました。彼

の必死の形相は、宮崎県の東国原知事と全く同じ表情でした



 漏出を止めるために事故直後から、様々な「作戦」が試みられています。大型

の「フタ」をしてそこから原油を汲み上げる作戦は、結晶化した成分が「目詰まり」

して失敗、逆に小型化した「フタ」も浮き上がってしまいダメ、セメントを流し込む

作戦も失敗ということで、現在は油田の奥深くに別のパイプを掘り、そこから原

油を汲み上げて漏出箇所の圧力を下げてから金属のフタをするという作業が続

けられています



 当初は情報公開が遅いとか透明性がないという批判を浴びたBP社は、漏出

箇所に海底カメラを設置してリアルタイムで原油漏れの状況を全世界に配信し

ています。これが先週あたりからHD画像になっており、CNBCなどニュース専

門局は一日中リアルタイムで「漏出状況の画像」を画面に出しているのですが、

とにかくどす黒い原油が勢い良く噴き出している画をずっと見ていると暗澹とし

た気持ちになってきます



 9日には、BP社の株が暴落して、事故前の半分の水準まで下げましたが、こ

れは賠償責任が拡大した場合にはBPの資産を全て処分しても対応不能にな

る、つまりBPが破産するという可能性が取り沙汰されはじめたのが理由です。

10日のNBC朝の「トゥディ」にはCNBCのトリシャ・レーガンが出てきて「破産の

可能性は40%から60%」という説明をするなど、BPを取り巻く状況は更に緊迫

してきています



 問題は、深海の更に海底の高深度にある油田からの噴出圧力を甘く見たとい

う一点に尽きます。事故を起こした油田は、そもそも海底まで1500メートルとい

う深海から更に3000メートルの地底へと深く掘って、ようやく掘り当てたもので

す。そんな大深度の油田というのは、ものすごい圧力を持っているのです。報道

によれば、地表の気圧の1000倍前後という猛烈な圧力で噴き出しているよう

です。この圧力に対して、安全対策も十分でなければ、流出を止める技術も確立

されていなかったというわけです



 さて、今週はそんなわけでBP社に法律上の上限を越えて損害賠償と、原油回

収コストの負担をさせる動きとなっているのですが、被害がこれだけの規模とな

り、しかも流出を止める作業にメドが立っていないことから、徐々にオバマ大統

領の立場が悪化してきています。事故直後は冗談めかして言われていた「
オバ

マにとってのカトリーナ
」という比喩が、ジワジワと「洒落にならない」ような雰囲

気になっているのです。とにかくオバマ大統領は、民主党の方針である「環境懸

念のため沖合油田開発には反対」という立場に反して「中道路線」としての「掘

削推進派」だったわけで、この点が政治的に問題になっているのです



 その大統領は先週は激しくBPを非難したかと思うと、今週は最初の爆発事故

で亡くなった犠牲者の遺族を慰問するなど、批判が自分に向かないように必死

です。ですが、ここへ来て共和党の中に新しい動きが出てきました。沖合油田掘

削の「超推進派」である「ティーパーティー」だけが元気であれば、オバマとして

は怖くないのですが、「ティーパーティー」とは一線を画したIT長者の女性軍団が

突如としてカリフォルニアで旋風を巻き起こしています。前回お話した、カーリー・

フィオリーナ元HP会長と、メグ・ウィットマン元イーベイ会長は、共に上院と知事

の予備選を制して政治的に急浮上してきています。彼女らが、オバマの「失態」

を攻撃してくるようですと、政局は分からなくなるかもしれません

http://newsweekjapan.jp/reizei/2010/06/post-160.php

      

しかし7/15に海底の流出口の上に新しい75tのキャップを設置し事故以来初

めて原油流出が停止したと言う。そして現在は油井を封鎖する作業にかかって

いる様だ。そのためオバマも、多分喜んで、「原油流出も終わりに近い」と演説し

ている。

(続く)