番外編・プリウス急加速問題(76)

<価格/販売台数比較>

「ボルト」
価格:4万280ドル(1ドル83円換算で約334万円)。36ヶ月・頭金2500ドル(約21

万円)、毎月350ドル(約2万9000円)のリース契約。7500ドル(約62万円)の税

務控除は、新車購入、リース契約ともに有効。

発売時期と予定販売台数:2010年11月中旬GMの株式市場への再上場に

合わせ)発売開始
。2010年中は、カリフォルニア州テキサス州、ニューヨー

ク州、ニュージャージ州、コネチカット州ミシガン州、ワシントンDCで限定的に

販売。予定台数は3000~5000台。その後12~18ヶ月で全米50州で販売予

定。2011年は1万台、2012年は4万5000台の販売予定。

「リーフ」
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LAオートショーの日産ブースに展示された電気自動車の「リーフ」。

価格:3万2780ドル(約272万円)。7500ドル(約62万円)の税務控除。

発売時期と予定販売台数:2010年12月から日米発売。日米での予約台数は

約2万台。そのうち半数以上が米国受注。
  
  
<外観比較>


「ボルト」
全長x全幅x全高、ホイールベース=4500mmx1788mmx1438mm,2685mm。

「リーフ」
全長x全幅x全高、ホイールベース=4445mmx1770mmx1550mm,2700mm。

 パッと見た目の印象は、上記実寸そのままのイメージ。「ボルト」の方が低く、

長く、ドッシリと見える。「リーフ」はミニバンっぽい箱型の印象が残る。 「ボルト」

はいかにもアメ車、いかにもシボレー顔。「リーフ」は中性的で、日本車というより

ヨーロピアンな雰囲気が先行する。

  
<内装比較>

「ボルト」は、ダッシュボード周りに各種スイッチ類がゴチャゴチャある印象。イン

パネ内のデジタル表示もゴチャゴチャ。総じて、飛行機のコックピットのイメー

ジ。「リーフ」は、近未来的。シンプルで使い易さを優先のイメージ。
  

<数値による性能>


「ボルト」
モータ最大出力/112kw、最大トルク/370Nm。バッテリー容量/16kwh。

電気自動車として航続距離/GM発表値40マイル(64km)、GM関係者は「実

用では25~50マイル(40~80km)」と説明。1.4リッターガソリンエンジン(最大

出力60kw)が発電用、及び走行中に駆動を補助。満充電までの時間/交流240

Vで4時間、交流120Vで10時間。
  
「リーフ」
モータ最大出力/80kw、最大トルク/280Nm。バッテリー容量/24kwh。

※航続距離/100マイル(約160km) 、米LA4モード走行による。最高速度

/140km/h。満充電までの時間/交流200Vで8時間、直流急速充電で30分間

(リチウムイオン二次電池の特性上、満充電の約80%)。
  

<走行性能>

  
「ボルト」
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「ボルト」のボンネット内部。ガソリンエンジンは、小型車「クルーズ」などでも搭載している1.4リッター直列四気筒ユニット。
  
・スタートボタンは、ブレーキを踏んだ状態で行う。車内のシステムが起動すると

同時に、ブレーキがジンワリと柔らかくなる。これは回生ブレーキが準備段階に

入ったことを示すが、慣れないと違和感がある。
 
・走行モードは、ノーマル、スポーツ、マウンテンの3段階。これをセンターコンソ

ール(ダッシュボード中央)内のスイッチで切り替える。これら3モードを切り替え

ながら走行したが、動力性能が極端に変わるイメージではなかった。
  
・アクセルを踏み込んだ際の押し出し感は緩やか。スポーツモードでも、「リーフ」

より出足は緩やか。
  
・全体として車全体の重さ(3718ポンド=1715kg)を強く感じた。端的に言って、

ボッテリとした動き。乗り心地はソフト過ぎず、硬過ぎず、ほどよい。パワーステア

リングは停止状態から低速走行ではかなりソフト。だが、走行速度が上がり、車

線変更時など走行条件に応じてガッチリとした操舵感に変わった。
  
 走行中の雰囲気は、いかにもアメ車、いかにもシボレー。試乗中、エンジンが

作動することはなく、電気自動車として走行していたが電気自動車という特

殊性を感じず、通常のガソリン車、またはハイブリッド車のような運動特性のイ

メージが強い。
  
・ブレーキのタッチ感に特殊性あり。ストローク(踏みシロ)が大きい。これは、トヨ

タの初代「カムリハイブリッド」で感じられた回生ブレーキの感覚。現在の「プリ

ウス」、「カムリハイブリッド」ではこうした感覚はなくなっている。
  
インバータやモータからの高周波音は、車内(運転席)でも車外でもほとんど

なし。後席乗車の場合、車体後部から若干の高周波音があった。

       

このボルトの航続距離は、電気自動車として/GM発表値40マイル(64km)、

GM関係者は「実用では25~50マイル(40~80km)」と説明していると言う。ご

承知の通り、車を乗るときには「エアコン」を使ったり、「カーナビ」を使ったり、「テ

レビ」や「DVD」を使ったりしている。それらは電気で動いているため、バッテリー

の電気を使うことになる。すると走行可能距離は当然短くなってしまう。だから運

転者は、そのつど走行可能距離を確認して、バッテリーが空にならないかビクビ

クしていなければならない。GMはそれがいやで、小型のエンジンを積んで、発

電させることにしたものと思う。しかしバッテリーだけでは、どうも心もとないの

で、トヨタのパテントに触れない程度に「スプリット方式」のハイブリッドを採用し

たのであろう。するとこのトヨタのパテントが、とても気になるのである。

(続く)