番外編・プリウス急加速問題(80)

そんなトヨタではあるが、テスラとの提携のメリットをすぐさま世に問うている。

テスラタイプのバッテリーを搭載したRAV4EVを早速発表している。

  

トヨタ自動車、2010年LAオートショーで
テスラと共同開発の電気自動車コンセプトモデル「RAV4 EV」を発表
   2010年11月18日

―Ev航続距離は、実走行環境で100マイル程度を目指す―

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トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は、11月17日(水)から28日(日)まで米国ロサ

ンゼルスで開催される2010年LAオートショーに、テスラモーターズ(以下、テス

ラ)と共同開発を進めている電気自動車のコンセプトモデル「RAV4 EV」を出展

した。


  「RAV4 EV」は、ユーティリティー性の高いRAV4のボディをベースに、テスラ

のEVシステム
を搭載し、実走行環境で100マイル(約160km)程度のEV航続

距離を目指したコンセプトモデルである。今後は、2012年米国での市販化に向

けて、米国が中心となって車両の開発をさらに加速させていく。


  テスラトヨタは本年5月、電気自動車とその部品の開発、生産システム、及び

生産技術に関する業務提携を行うことで基本合意。トヨタベンチャー企業であ

テスラから、電気自動車技術やチャレンジ精神、意思決定のスピード、

柔軟性
を学ぶことを狙いとしている。

  またテスラトヨタのもつ車両の開発・生産に関するノウハウを学ぶことを狙い

としている。


  トヨタでは、1997年世界初量産ハイブリッド乗用車プリウス」を発売し、

これまでの累計販売台数は200万台を突破。また、1996年にニッケル水素電池

を市販車として世界で初めて搭載した「RAV4 EV」(初代)を発売し、2003年まで

に約1,900台を販売。このように、トヨタでは電気をはじめとした代替エネルギー

の利用促進により、石油消費の抑制、CO2排出量の削減に取り組んでいる。

以上

http://www2.toyota.co.jp/jp/news/10/11/nt10_1105.html

   

このRAV4EVのバッテリーは、当然テスラ製のものだ。例の18650と言う、その

ソニーが開発したパソコン用の円筒形(Φ18×65mm)の電池を(テスラロードス

ターの場合は6,831個も)束ねて使っている。これに対して、トヨタプラグイン

イブリッド車に使われているリチウムイオン2次電池は、(パナソニックから社名

変更した)プライムアースEVエナジー社製の角型電池だ。テスラはここからも2

次電池の供給を受けることにしている('10/6/1,NO.43参照)から、少々話はやや

こしくなる。


この記事によると、このテスラ社製のバッテリーを搭載したRAV4は、アメリカで

開発してアメリカで売るだけ?と言っているので、トヨタ本社の技術開発計画の

中での位置づけがそれとなくまとまったのであろう。


トヨタテスラのチャレンジ精神、意思決定のスピード、柔軟性を学びたいと言っ

ているが、そんなものと言っては失礼ではあるが、一朝一夕では学べるものでは

ない。そんなことよりも、世界最高のバッテリー開発を目指して、社内が一致団結

してわき目も振らずに邁進することこそが、一番の良薬であろう。今までトヨタ

は、そのことをやってきたから、十分わかっていることであろう。


テスラとの提携によるトヨタ社内でのバッテリー開発への撹乱要因を、トヨタはど

のように解決して行くか注目していたのではあるが、これでけりを付けたもので

あろうか。このトヨタでのバッテリー開発の行方にはまだまだ目が離せないもの

があるのであろう。2012年が楽しみである。


ただしもうひとつ気がかりなことがある。それはアメリカ政府が今後どのような動

きをしてくるか、である。オバマは米国内のあらゆる企業から金を工面して大統

領に当選している。


(続く)