日韓併合100年(94)

バルチック艦隊の砲弾は、「三笠」以外にはいまだ一発も当っていない。

バルチック艦隊主力は、次の12隻。戦艦8隻、装甲巡洋艦1隻、装甲海防艦

3隻。

スウォーロフ(戦艦)(沈没)、アレクサンドル三世(戦艦)(沈没)、ボロジノ(戦

艦)(沈没)、アリョール(戦艦)(捕獲)


オスラビア(戦艦)(沈没)、シソイウェリーキー(戦艦)(降伏)、ナワリン(戦艦)

(沈没)、ナヒモフ(沈没)(装甲巡)、ニコライ一世(戦艦)(捕獲)、アブラキシン

(海防)(降伏)、セニャーウィン(海防)(降伏)、ウシャーコフ(海防)(沈没)

バルチック艦隊第3艦隊、5/28,10:34降伏。

インペラートル・ニコライ一世(旧式戦艦)、アブラクシン(旧式海防)、セニャービ

ン(同)、ウシャーコフ(同)

  
そして「三笠」の第3弾目が敵第1戦艦隊旗艦の「スウォーロフ」の中央部に命中

する。次の1発は艦長室に命中し、甲板を貫通し士官室で炸裂し火災を発生さ

せている。敵第2戦艦隊旗艦の「オスラビア」にも、命中弾が集中している。


14:20、「スウォーロフ」も「オスラビア」も大火災に見舞われ、戦闘力を失い戦列

外によろめいている。そして「アレクサンドル三世」、「ボロジノ」、「アリョール」も

火炎に包まれている。


この時日本連合艦隊は、鉄鋼榴弾を使用していた。この鉄鋼榴弾には「下瀬

火薬
」が充填されている。これは海軍技師下瀬雅充の発明したものでピクリン

酸系のもので、高速爆発と高熱を発生し辺り構わず粉々に破壊し火災を発生さ

せた。下瀬は鋳物の弾体に内部に漆を塗ることでピクリンさんと鉄との化学反応

を抑えることに成功した。それでもわずかな刺激で爆発したので、海面に落ちて

もすぐ爆発し、その爆風と高熱で多大な被害を与えたと言う。そして巨大な砲

弾を、ロシア兵たちは日本の「トランク(鞄)」と言って恐れたと言う。


14:20、「オスラビア」は完全に破壊され、左舷に12度傾斜し戦列外にいた。

14:26、「スウォーロフ」は、至近弾により舵が効かなくなり、戦列を離れ始める。


戦闘開始から、わずか18分で敵旗艦が戦闘力を失ったのである(14:08~14:26)。

(続く)