[絶対的条件]--政治的条件
(1)韓国を全然我が自由処分の任させる。
(2)一定期間内に日露両軍の満州撤兵。
(3)遼東半島租借権及びハルビン、旅順口間鉄道の譲渡。
[比較的条件]--経済的条件
(1)軍費の賠償。ただし、最高額を「十五億円」として、談判の様子でそれ以内に
適当にまとめる。
(2)中立港に逃げこんだロシア艦の引渡し。
(3)樺太およびその付属諸島の割譲。
(4)沿海州沿岸の漁業権。
[付加条件]--軍事的条件
(1)極東におけるロシア海軍力の削減。
(2)ウラジオストク軍港の商港化。
そして、もし談判決裂の恐れある場合には、必ず電報報告し指示を受けること、
と追加された。
要するに、ロシアの韓国、満州からの撤退が絶対的な条件であり、これこそ
が日露戦争を始めた目的でもあった。今までも度々言及した事であるが、朝鮮
から列強など他国の侵食を排除することが一番の目的であり、これこそが朝鮮
の保全と日本の独立を強固に保障するものであった。だから日清戦争では、
真っ先に朝鮮の独立を謳ったのであり、日露戦争では、朝鮮に食い込んだロシ
アの毒牙をへし折り、抜きさらなければ戦争の目的は達成されないのである。
そして朝鮮の発展と独立を維持するために、日本は朝鮮の経営に乗り出さざる
を得なかったのである。朝鮮は日本人が作ったのであり、決して朝鮮は朝鮮人
が作ったものではない。今でも朝鮮の半分は中国の植民地に戻ってしまってい
るではないか。そして後の半分はアメリカと日本が共同で作り上げたものである。
7/7、樺太(南部)攻略部隊が亜庭岬に上陸し、コルサコフ(大泊)に進撃し占領
する。亜庭岬は二股に分かれた東側の岬である。コルサコフは亜庭湾の奥に位
置する。
7/8、小村全権委員と随行一行の渡米の日である。新橋から横浜に向かい、米
客船「ミネソタ」に乗り込んだ。その道中は、見送りの市民でごった返した。そし
て第4回の外債募集が広告され、この募集とコルサコフの占領が、一行の餞(は
なむけ)となった。しかし小村の耳に響く「万歳」の声は、談判の先行きの重さを
暗示したものであった。
講和を有利にする四つの条件のうち('11/6/30,NO.104参照)、(4)が実施され
(3)が半分が達成されただけである。
(1)ロシア満州軍主力の撃破
(2)北韓作戦の実施
(3)樺太島の占領
(4)三億円の外債の新募
樺太の占領などは、ロシアにとっては痛くも痒くもない。外債発行は日本の借金
漬けを示すだけである。だから(1)と(2)があってこその講和談判なのである。
(続く)