日韓併合100年(115)

ロシア側の考え方は、ロシアの「名誉と尊厳」に関する項目は絶対に譲歩しな

いが、それ以外は譲歩し、もし談判決裂した時は日本側に責任を押し付ける、と

言うものであった。

 
この考えで日本の提示した講和条件を分類してみると、先の箇条書きの項目の

末尾に、その分類を追記しておく。

 
ウィッテはロシアの物は、船一艦でも与えるべきものではなく、ましてやロシア領

土は一寸たりとも与えるわけにはいかない。戦費も同様である。ただし、ロシア

兵の
捕虜の給食費などは負担してもよい、と言う考えであった。

  
日本もロシアの考え方をすばやく感知して、ロシア人捕虜に関する諸費用を吹っ

かけて請求するなどの知恵出しをしなければならなかったのであろうが、当時は

そこまで知恵が回りかねたことであろう。外交とはお互いに腹の探りあいであり、

ロシア側には自国内に一兵も入れずに、まだ継戦能力は十二分に保持してお

り、敗戦国ではないとの認識であった。そのため、重ねて言うが、北韓作戦を遂

行し、その続きで、ウラジオストクを陸と海から攻めて占領しておくべきであっ

た。そうすれば、浦塩樺太というロシア領を日本は容易に占領出来た筈で

あった。しかもロシア国内の政情は混沌として、何時反乱が起きてもおかしくな

い状況までに日本はもっていったではないか。何のために
明石元二郎が活躍し

ていたのか。惜しいことをした。ロシアは大東亜戦争のドサクサに紛れて、沢山

の日本人をシベリアに抑留しているではないか。日本人は、この恨みは、金輪

際忘れてはならない。事実、現在は日露戦争で負けたカタキを北方領土でとっ

ているではないか。尤も民主党政権のだらしなさのお陰で、日本領土である択

捉、国後と言う日本固有の領土を、現在ロシアに蹂躙されていることを忘れては

ならない。だから日本は、国防に注力しなければならないのである。核武装

して、国防軍を保持していれば、こんなにロシアやチャイナに馬鹿にされること

は無かったのである。更には福島原発問題も、これほど悪化させることはなかっ

のではないか、とも思うのである。

      

日露戦争の戦場は満州であり、ロシア領には一寸たりともは入っていない。もち

ろん樺太を除いてだが、従って樺太を除いては、日本とロシアには直接関係は

ないところが戦場だったのである。もっぱら直接関係してくるところは、満州

即ち両国にとっては外国である清国なのである。

  
そのためウィッテは、まさかの時のために、日露友好の促進も考えていたと言

う。即ち日露戦争の原因のひとつには、清国で発生した義和団の乱が関係して

いることは先に述べている。この講和談判も満州が対象となっているため、清国

側から何らかの日露に対する暴動が発生するかも知れない、そのときは日露両

国で対応する必要があり、日露が友好関係にあれば好都合であろう、と深読み

していたものであった。

(続く)