番外編・プリウス急加速問題(92)

先に示した論考の中の「加州内の次世代車の普及予測図」をもう一度ここに掲げてみよう。
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これで見ると加州では電気自動車は2030年前後からやっと普及し始めるようだ。

そこのコメントでは2020年代から電気自動車の普及が始まる、とあるが確かに'20年代か

らだがそれも '20年代の後半からだ。重ねて言うが、車にバッテリーだけ搭載しても駄目

だ。何らかの動力で発電機を動かして充電しながら走るのか、さもなくばガソリンスタンドで

ガソリンを簡単に補給できるように簡単に急速充電が出来なければならないのだ。それ

水素燃料電池ではないかとこの表は予測しているのであろう。ガソリンの代わりに水素

を積んで、その水素と空気中の酸素で化学反応を起こさせて、電気を取り出す。その電気

リチウムイオン2次電池に貯めて、その電気でモーターを回して車を動かす、というの

であろう。いわゆる水の電気分解の逆の反応である。そしてガソリンでなくて、水素がなくな

れば、水素スタンドで水素を補給すればよい。


その前にプラグインハイブリッド車の時代が存在している。プラグインハイブリッド車

は、出来るだけガソリンを使わないようにして2次電池への充電もAC200VかAC100Vか

ら行える。だからガソリンを車としては使わないことになる。もっとも充電に使う電気は石油

を使って作ってはいるが、それでもその方が効率がよいそうだ。即ちCO2の排出なども少

ないのだ。


しかしバッテリーの電気はそこそこのボリュームしかないから(コストの関係上)電気だけで

長距離は走れない、そのときは発電のためにガソリンを使わざるを得ない事になる。車の

使われ方からすると日常的には十分それで電気自動車として機能するのである。そんな車

トヨタははじめて今年の一月に発売をした。

  

トヨタ プリウスPHV 発売】燃費は使い方次第で無限大…開発責任者
2012年1月30日(月) 19時32分

トヨタ自動車30日プラグインハイブリッド車(PHV)の『プリウスPHV』を発売した。家庭

用電源などから充電することができ、EV走行距離26.4km以内であれば、ほぼEVとし

て利用することができるという。


プリウスPHVの「EVモード」とHV車の『プリウス』にある「EVドライブモード」は全くの別物と

いっていい。プリウスにある「EVドライブモード」は、車速55km/h以下、航続距離は数百m

から2km程度、主に早朝や深夜の住宅街でのエンジン始動を抑えるものとして存在して

いる。一方のプリウスPHVの「EVモード」は、100km/hまでEV走行が可能で、EVで走行で

きる距離は26.4kmと、近距離の移動であればほとんどEVとして利用することができると

いったものだ。

そのプリウスPHVの開発責任者、田中義和氏に話を聞いた。

●環境車は普及しなければ意味がない

プリウスPHVの開発の狙いは?

トヨタでは、環境車というものは多くのユーザーに乗ってもらい、広く燃費効果が出ないと

意味がないと考えています。今回のプリウスPHVに関しても、“いかに早く普及させるか

というのを目標に開発を進めてきました」。


「限定発売したリース車のプリウスPHVは実証試験の意味合いが強かったのですが、今

回のモデルは普及車種としてお客様に乗って頂けることを念頭に開発しております」。

「具体的には、価格面や収納などの使用性について、リース車からかなり発展させていま

す。バッテリーはまったく新しいものになっており、リースで提供していたプリウスPHVより

も100kg程度の軽量化を実現し、現行プリウスとの比較で約50kgの重量増に納めていま

す。結果、EV走行距離はリース車両を超える26.4km、HV走行燃費もプリウス以上

の31.6km/リットル(JC08モード)を実現しました」。


プリウスPHVのEVモードは、町乗りで普通に加速する分には、100km/hまでエンジンは

いっさいかからずEVで走行可能です。もちろんHV車なので、アクセルをベタ踏みしてしま

いますとエンジンがかかってしまうのではありますが…」


●燃費は使い方次第で無限大

…一充電で走る走行距離が、EV走行距離の26.4km以内であれば、ガソリンは一滴も使

わなくてすむ?

「おっしゃるとおりで、きちんと充電管理をされている状態で、毎回EV走行距離以内で使い

続けた場合の燃費は無限大になります。実証試験でも、累積走行距離3000kmで燃

費250km/リットルを記録した方もおりますし、現在は無料で充電設備が使えることから、主

婦の方などは外出先でもこまめに充電するなど、今後はEVモードを多用した使い方をされ

る方が増えるのではないかと思います」


●急速充電器はEVのためのセーフティーネット

急速充電器の「CHAdeMO」に対応しなかったのはなぜ?(プリウスPHVは、AC200V

かAC100Vでの充電となる)


「急速充電器はEVのためのセーフティネットとして必要なものなので、ガソリンを入れれば

走るPHVが急速充電器を利用していて、EVが急速充電器を使えないというのは問題です

よね。仮にPHVが急速充電器を利用することになると、これは社会問題になると予想して

います」


「また、急速充電器というのは5万ワット位の電気を瞬間的に使うため、設置費用も相当か

かりますし、電気の基本料金も月額約10万円というため、何カ所も設置できるという性質の

ものではないのです。政府方針でも200V充電器を増やしていこうということなので、PHVに

は必要ないと考えました」。


●ライバルはやっぱり、リーフ?

…価格はリーフを意識した?

「あまり関係はありませんが、リーフと比べると相当お安いと思います。Lグレードが設定で

きればもう少しお安く提供できますが、今回はSグレード以上しか設定がないため、若干高

めとはなっています」


…どういった人が購入する?

「ごく一般的なユーザーの方が買われるのではないでしょうか。一日の走行距離が20km以

下というのは、日本の平均的な自動車ユーザーで過半数をカバーできますし、EVと違い収

納性や航続距離に制約はないので、普通のプリウスを検討されていて充電環境がある人

であれば、選んで頂けるのではないかと思います」


プリウスPHVは、急速充電を使用しなくてもAC200V電源での満充電時間は90分と割合

短時間で充電が完了する。現状ではEV走行距離は26.4km以内となっているが、今後、外

出先での充電インフラが整ってくると、EV走行での活動領域広がっていくことになりそ

うだ。《椿山和雄》

http://response.jp/article/2012/01/30/169179.html

  
さて電気自動車としては日本が世界をリードしている。日本には「iミーブ」と「リーフ」という2

車種も量産型電気自動車が、町を走っている。当然ガソリン車がガソリンを入れるように、

電気自動車には電気を充電しなければ電気自動車は走らない。そこでどのように充電す

るかが、大変問題になる。日本はすでに電気自動車が走っているので、他国よりもそこら

当たりは進んでいる。即ち、日本での充電方式は、チャデモ方式標準化されてい

る。Charge de Mobile と言う造語だそうだ。充電中には、「お茶でも、どうぞ」と言うことら

しい。


アメリカ
はこのことが気に入らないらしい。日本のこの規格が世界標準になることを、根底

から排除しようとしている。トヨタGMを凌駕すると、トヨタをいじめ出して潰しているし、更

には日本が電気自動車で頭角を現すと、今度はその充電規格の排除に乗り出したので

ある。「ドロドロした駆け引き」は、すでに始まっているのである。


日本の電気自動車が世界に雄飛できるように、日本の自動車メーカーは全社一体となり、

更には日本政府も陰になり日向(ひなた)になり、日本の自動車産業をバックアップしなけ

ればならない。

 
 

【第104回】 2012年3月1日 桃田健史 [ジャーナリスト]
19電気自動車の充電方式標準化で世界大戦争勃発!牙をむく欧米メーカーvs迎え撃つ日産・三菱連合軍 トヨタは援護射撃するのか、しないのか?
http://diamond.jp/articles/-/16371

日本の存在を無視した
欧米メーカーの強硬姿勢に場内緊迫


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カリフォルニア州サンディエゴで開催された、SAEのハイブリッド車、EVのシンポジウム会場入口。講演中、場内での撮影、録音は禁止。Photo by Kenji Momota

 事件は、2012年2月22日(水)、午後2時55分に起こった。現場は気温摂氏20度を超え

たポカポカ陽気の米カリフォルニア州サンディエゴ。同地のタウン&カウンティーコンベン

ションセンターで開催された、米自動車技術会SAE・2012ハイブリッドヴィークル/エレ

クトリックヴィークルシンポジウム
2日目の会場内だった。


 その日の午後は、独ボッシュ等のサプライヤー7社が講演。その後に、主催者のSAEイ

ンターナショナル
のグランドヴィークルスタンダード・テクニカルプロジェクトのマネージャ

ー、キース・ウイルソン氏が講演した。題目は、「SAE Standards to support Electro

-Mobility」。電動車両の規格標準化に関するものだ。SAEにはアメリカで自動車を製造販

売している世界各国の自動車メーカー、自動車部品メーカー、電気機器メーカーなどが参

加しており、SAE規格はISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)の規格に対し

て強い影響力を及ぼす。


 講演のなかでウイルソン氏は、SAEではハイブリッド車プラグインハイブリッド車、EVな

どの電動車関連の規格標準化活動の詳細を紹介した。それによると現在、24の関連部会

が開催中で、そこに774人が参加。52の規格が承認済み、または審議中だとした。その審

議中の規格として、非接触充電、スマートグリッド関連、さらに急速充電用の“SAEコンボ

コネクタ
”が紹介され、今年の第2四半期での承認を目指しているとした。製品について

も今月中に量産型第一号が完成する予定だ、という。


 これに対して、現時点で世界で最も認知されている急速充電方式日本が推奨す

CHA de MO(チャデモ)
については、同講演のパワーポイントファイル内に活字の表記

も写真もなく、さらにウイルソン氏の口からも一度も「チャデモ」という言葉が出ることはな

かった



 講演中、筆者のふたつ前のテーブルに座った大柄のアメリカ人は終始、苛立っていた。

後ろから見ていても、そのイライラの大きさがハッキリわかるほどだった。そして講演終了

後の質疑応答時に、彼は最初に手を上げ、質問用に設置されたマイクの前に仁王立ち

し、強い口調でこう質問した。「どうして、チャデモについて全く触れないのか!?」。


 その瞬間、会場内に一瞬、緊迫した空気が流れた。対して、ウイルソン氏の回答は歯切

れが悪かった。同講演後の休憩時間に、筆者は質問した彼に直接話を聞いた。彼は、

日産ノースアメリカ・燃料電池/バッテリー研究所のシニアマネージャー、ケブ・アドジャ

ミエン氏。同日に開催される、各自動車メーカー関係者による蓄電池関連のパネルディス

カッションでの日産側の代表者で、翌日のEVシンポジウムでの日産EVビジネスについて

の講演者だった。


ついに牙をむいた欧米勢の
あまりに強引な意思決定

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SAEはコンボコネクターの標準化を強行に推進。パンフレットを作成し、その存在感をアピール。 Photo by Kenji Momota

 筆者「先程の件、一体どういうことなのか?」

 アドジャミエン氏「SAEは我々をignore(無視した)のだ

 筆者「その原因はどこにあるのか?」

 アドジャミエン氏「GMのSAEに対する影響力があまりに強いからだ」

 筆者「それにしても、あまりに強引な意思決定プロセスだと思うが」

 アドジャミエン氏「その通りだ。弊社の『リーフ』が世界で最も実績の高いEVであり、チャ

デモも実際に世界中に普及し始めている
。対して、コンボコネクターはまだ量産品がな

い状態だ。しかも、通信方式にPLC(パワー・ライン・コミュニケーションズ/電力線通信)

を使うというが、その具体案もまだ明確でない」

 筆者「では、日産としてこれからどうするのか?」

 アドジャミエン氏「Fighting (戦っていく)しかない。妥協案として、ひとつの急速充電機

器に、二つの充電方式を使うことなども検討されるが…」

 その後同氏は、SAE幹部らと厳しい表情で意見交換していた。

 その翌日、EVに関するシンポジウムで、午後4時30分から30分間行われる予定だった

三菱自動車工業講演が中止。プログラムには講演名「Application of Electric Vehicle

Technology at Mitsubishi」とある。講演の中止についてSAE側から全く説明はなく、参加

者の多くがプログラムを見ながら首を傾げていた。また、EV製造メーカー関係者によるパ

ネルディスカッションでも、プログラムに名前のある三菱自動車の米国人関係者は欠席した。

 また、今回の講演は場内での撮影と録音は禁止。各社の発表内容は後日、SAEのウェ

ブサイト内
で、同シンポジウム参加者専用のIDとパスワードを使ってPDFファイルとして公

開された。そのなかに、前述のSAEウイルソン氏の発表、またBMW関係者が発表したコ

ンボコネクター規格のSAEにおける協議内容の発表(詳細は後述)は掲載されていたが、

日産関係者が行なったチャデモの実情についての発表データは見当たらなかった


 このように、SAEが急速充電の規格化でここまで強硬な姿勢を取ることに、この分野の

取材を続けてきた筆者自身、かなり驚いている。それほどまでに、事態は急速に進行して

いるのだ。


 日本の自動車産業界にとっての“未来への大いなる希望”であるEV分野で、欧米勢力

が日本に対して、ついに牙をむいたのだ。このままでは日本は、世界のなかで完全に孤立

してしまう。完全に負け組になる。世界市場での量産型EV事業で多大な先行投資を行なっ

ている日産と三菱自動車にとって、大きな痛手となってしまう。そして、経済産業省と日系

自動車メーカーがこれまで描いてきた、次世代自動車戦略のロードマップが根底から崩れ

てしまう。
(続く)