世の中、何だこれ!(WBC敗退、38)

マー君休日返上トレの日に東尾コーチはギャンブル
2013年03月21日 11時00分

WBC連載:侍はなぜ負けたのか(上)

A7cf121e48cddaf7c9c1b6a9aa8db40e219

侍ジャパンが19日、失意のなか成田空港着のチャーター機で帰国した。ワールド・ベース

ボール・クラシック(WBC)3連覇を期待されていたが、結果は準決勝敗退。メジャーリーガ

ー不在の陣容で「健闘した」との評価がある一方、現場では「選手任せ」でノーテンキな首

脳陣
暴発寸前だった。約1か月間、日本代表に密着してきた本紙が「侍はなぜ負けた

のか」と題し、裏ネタ満載で3回にわたって緊急連載する。

「僕が全部壊してしまった。申し訳ない気持ちでいっぱいです…」。プエルトリコとの準決勝

に敗れ後、致命的な走塁ミスを犯した内川(ソフトバンクは、号泣しながら言葉を絞り出

した。まるで“戦犯”。その痛々しい姿が、今回の侍ジャパンの全てを表していた。


 敗軍の将となった山本監督は「素晴らしい選手たちとできて幸せだった」とのんきに語った

が、そう思っている選手は誰一人としていない。


 指揮官は問題の重盗失敗の場面について「いってもいいというサインだった」と説明した。

8回に1点を返し1—3と2点のビハインド。なおも一死一、二塁のチャンスで打席には4番

の阿部(巨人)。一発逆転が期待できる場面でベンチが選択したのはまたも「選手任せ」の

指示だった。


 選手は一様に憔悴しきっており、29日開幕のペナントレースへの影響が心配されてい

る。侍たちの心中を代弁して、あるスタッフはこう吐き捨てた。「
監督もコーチも、責任選手

に押し付けっぱなし。こんなチームが日本代表だと考えると、悲しくて仕方がなかった


 後味の悪さが残る今回のWBC。最大の敗因は首脳陣と選手たちの信頼関係が崩壊

ていたこと。それを象徴する出来事が福岡での1次ラウンド中にあった。


 キューバ戦前の3月4日の休養日。福岡工大グラウンドでは、田中(楽天)と大隣(ソフト

バンク)が休日返上で調整練習を行っていた。だがそれを見守ったのは、与田投手コーチ

だけ。チーフ格の東尾投手総合コーチは何をしていたかというと…。なんとレース場にいた

 ただでさえ、東尾コーチは宮崎合宿中の休養日(2月19日)にイベント出演のため、一時

帰京
して現場のひんしゅくを買ったばかり。田中をはじめとした投手陣との関係は、これを

機に修復不可能になった。息抜きのギャンブルをしたっていいが、せめて選手に分からない

ようにすべきではなかったか。選手が「オレらが休日返上でベストを尽くしているときに

なぜ?」と不信感を抱いても仕方ないだろう。


 ちなみに同日、山本監督は親しい記者を連れ、福岡市内の映画館で時を過ごしていた。

 与田コーチについても「東尾さんよりマシなだけで、不調の投手に対してのフォローが一

切ない
のは同じ。内海(巨人)やマー君がボロボロになったのはコーチのせいですよ。

だから最後は誰もまともに話を聞かなった」(主力投手)。


 選手と首脳陣とのわだかまりが深刻化する現場で唯一、気遣いを見せていたのが立浪

打撃コーチ
だった。「宮崎からアメリカまで、裏方さんたちは一度も決起集会に呼ばれなか

った。チームの結束を強めるための会なら、メジャーの選手を誘う前に、普段支えてくれて

いる人を呼ぶべきでしょう。それを知った立浪さんが『申し訳なかった』と頭を下げて、裏方

さん全員に500ドルほど手渡し、食事会も開いて労をねぎらってくれたそうです」(主力野手)

 合宿期間中からNPBの対応のまずさにも、選手やスタッフのイライラは募っていた。「荷

物が練習日に届かない、代表スタッフのパスがなぜか出ていない…。もう挙げればキリが

ありませんよ」と某選手。そうした現場のストレスを一身に受け止めていたのが、主将を務

めた阿部
だった。

 すでに自身は“代表引退”を表明しているが、親しい周囲には「このままでは次回参加する

選手たちがかわいそうだ。チームの在り方や運営方法について、ちょっと苦言を呈そうかと

思う」と語っているという。

http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/124294/


是非苦言を呈してもらいたいものだ。次の話を読むと、NPB山本浩二監督などのマネジ

メント能力も疑わざるを得ないだろう。「侍ジャパン」の統制も出来ない上に、世界の情報戦

にも完全に負けていた。だから反省点はない、などと言える筈はないのだが。


世界に笑われた“スモール・ベースボール”
2013年03月23日 16時00分

WBC連載:侍はなぜ負けたのか(下)

 3連覇を期待された第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は17日(日本時

間18日)の準決勝でプエルトリコに敗れ、夢はついえた。敗因として8回の重盗失敗が各メ

ディアで取り上げられているが、果たしてそれだけが原因だったのか――。

 指揮官の表情は明らかに疲れ切っていた。AT&Tパークで行われたプエルトリコ戦終

了後、会見場に姿を見せた山本監督は「敗因は相手の先発ピッチャー、投手陣のキレとデ

キが良く、なかなかチャンスがつかめなかったこと」と力なく述べた。

 この日の相手先発マリオ・サンティアゴ。昨季は韓国のSKに所属し、今季はドジャース

マイナー契約を結んだ技巧派タイプの右腕で、日本側は事前に入手した情報を入念にチ

ェックし「メジャー経験もなく、くみし易し」と見ていた。

 ところが、1点だけ見落としていた重要な事実があった。このサンティアゴは昨年2月、SK

の沖縄キャンプで来日し、日本ハムとの練習試合で登板していたのだ。

「ナカタ、イナバ、イトイ…。彼らとは対戦経験があったから、それぞれどんなタイプの打者

なのか分かっていた。とてもイージーだったよ。SKからもらったデータも含め、私が知って

いることは他の投手たちにもすべて伝えた」とはサンティアゴ。4回1/3を投げて2安打無

失点と試合をつくり糸井、中田、稲葉の3人から2三振を奪って無安打に封じ込んだ。さら

に日本を苦しめたのが、マスクをかぶったメジャー屈指の名捕手ヤディエル・モリーナ(カ

ージナルス)
だった。サンティアゴやスコアラーからの情報を生かして、テンポの速い投球

で侍打線を料理。試合後には、ご丁寧に「今後の国際大会で多くの代表国が我々と同じ攻

め方をすれば、日本はとても苦しめられるだろう」と侍ジャパンへの“警告”まで発した。

 いまだ日本国内でも物議を醸している8回一死一、二塁からの重盗失敗がターニングポ

イントとなったのは間違いない。ただ、ライバルたちが疑問視したのは作戦の成否ではな

く、それが「4番・阿部」の打席で起きたことだった。プエルトリコ陣営は「我々の野球ではス

ラッガーが打席に立っている場面で、重盗のサインを出すことはありえない」と首をかしげ、

米スポーツ専門局「ESPN」も「スラッガーを侮辱するかのようなミステリアスな作戦」と評

した。満を持していたはずの情報戦でお株を奪われ、日本が誇る“スモール・ベースボ

ール
”が大舞台で世界に笑われたのだ。

 誰が「戦犯」と断じることはできない。ただ、選手会による「参加拒否」に始まり、難航した

監督選考、合宿中に起きた数々のトラブルやボタンの掛け違いなど、最後まで侍たちの歯

車はかみ合わなかった

 =終わり=

http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/125223/
(続く)