スタジオジブリ、おかしいぞ(1/2)

スタジオジブリの「熱風」の憲法改正論議について少し論ずる。先ずそれをご覧ください。

スタジオジブリ」の小冊子『熱風』より http://www.ghibli.jp/shuppan/np/

特集憲法改正

 自民党へ政権が戻って、半年以上が経ちました。

 首相就任当初から、いやそれ以前から憲法改正に意欲を燃やしている安倍総理は、着々

とその準備をしています。考えてみれば、自民党自体が、結党以来「憲法改正」を党の使命

として掲げているので、これは自然と言えば自然の流れです。

 しかし、自民党の出している新憲法の草案を、また安倍総理が描いている、憲法96条改

正の流れ、そして本丸であろう憲法9条改正を、どれだけの人が正確に理解しているでしょ

うか。もしかすると最大の問題は国民の無関心かもしれません。これはメディアの責任も大

きいと思います。今後の日本の方向性を決めることにもなるので、この問題について主張

を明確にしていくのは大切だと思います。

憲法第9条
  第二章 戦争の放棄
  第九条
 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際
紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2
 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを
保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

特集憲法改正http://www.ghibli.jp/docs/0718kenpo.pdf
憲法を変えるなどもってのほか  宮崎 駿   

(抜粋、詳しくは上記URLを参照のこと。8,9,10は本文における始りの頁数示す。数字はブログ筆者が付けたものです。)

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これだけ嘘をついてきたんだから、つき続けたほうがいい

 憲法を変えることについては、反対に決まっています。選挙をやれば得票率も投票率

低い、そういう政府がどさくさに紛れて、思いつきのような方法で憲法を変えようなんて、

もってのほかです。本当にそう思います。

 法的には96条の条項を変えて、その後にどうこうするというのでも成り立つのかもしれな

いけれど、それは詐欺です。やってはいけないことです。国の将来を決定していくことです

から、できるだけ多数の人間たちの意見を反映したものにしなきゃいけない。多数であれば

正しいなんてことは全然思っていないけれど、変えるためにはちゃんとした論議をしなけれ

ばいけない。

 それなのに今は、ちょっと本音を漏らして大騒ぎを起こすと、うやむやに誤魔化して「い

や、そういう意味じゃないんだ」みたいなことを言っている。それを見るにつけ、政府のトップ

や政党のトップたちの歴史感覚のなさや定見のなさには、呆れるばかりです。考えの足

りない人間が憲法なんかいじらないほうがいい。本当に勉強しないで、ちょこちょこっと考え

て思いついたことや、耳に心地よいことしか言わない奴の話だけを聞いて方針を決めてい

るんですから。それで国際的な舞台に出してみたら、総スカンを食って慌てて「村山談話

基本的には尊重する」みたいなことを言う、まったく。「基本的に」って何でしょうか。「おまえ

はそれを全否定してたんじゃないのか?」と思います。

きっとアベノミクスも早晩ダメになりますから。

 もちろん、憲法9条と照らし合わせると、自衛隊はいかにもおかしい。おかしいけれど、

そのほうがいい。国防軍にしないほうがいい。職業軍人なんて役人の大軍で本当に9くだら

なくなるんだから。今、自衛隊があちこちの災害に出動しているのを見ると、やっぱりこれ

はいいものだと思います。隊員たちはよくやっていて、礼儀正しい。イラクに行かざるを得な

くなっても、一発も撃たず、ひとりも殺しもせず帰って来ました。僕は立派だったと思いま

す。湾岸戦争後にペルシャ湾掃海艇を出さざるを得なかったけど、機雷のなさそうな海域

を黙々と掃海して、小さな船です、大変だったと思いますが、静かに帰って来ました。僕は

だまっていましたが、感動していました。もし本当に戦火が起こるようなことがあったら、

ちゃんとその時に考えて、憲法条項を変えるか変えないかはわからないけれど、とにかく自

衛のために活動しようということにすればいいんです。立ち上がりは絶対遅れるけれど、自

分からは手を出さない、過剰に守らない。そうしないと、本当にこの国の人たちは国際政治

に慣れてないからすぐ手玉に取られてしまいます。もし戦争になるとしても、そのほうがまだ

ましだと考えます。

 かつて、スイスやスウェーデンという中立国に憧れたことは事実でした。平和の国があっ

てハイジが走り回ってるんだっていうイメージしかなかったから。でも、実際は違うわけで、

非武装中立ということは現実にはあり得ないです。だからリアリズムで考えても、一定の武

装はしなきゃいけない。ただ、それ以上は「ちょっと待て」っていうのがやっぱり正しいと思う

んです。だから馬鹿げてるけど、最新式の戦車ぐらいは多少造っておけばいいんですよ。

本当はガンダムでも造って行進させりゃいいんじゃないかと思っているんだけれど(笑)。

「実際の能力は秘密だから白状しない」とか言って、これは冗談です。

 とにかく、今までこれだけ嘘ついてきたんだから、つき続けたほうがいいと思ってます。

整合性を求める人たちはそうすることで「戦前の日本は悪くなかった」と言いたいのかもしれ

ないけれど、悪かったんですよ。それは認めなきゃダメです。慰安婦の問題も、それぞれの

民族の誇りの問題だから、きちんと謝罪してちゃんと賠償すべきです。領土問題は、半分に

分けるか、あるいは「両方で管理しましょう」という提案をする。この問題はどんなに揉めて

も、国際司法裁判所に提訴しても収まるはずがありません。かつて日本が膨張したように、

膨張する国もあります。でも、その度に戦争をするわけにはいかない。そんなことよりも、

今は、日本の産業構造を変えていこうというまじめな取り組みをすべきだと本当に思いま

すよ。こんな原発だらけの国で戦争なんかできっこないじゃないですか。中国が膨張して

いるのは中国の内発的な問題です。そして、中国内の矛盾は今や世界の矛盾ですから、

ただ軍備を増強したり、国防軍にすれ10ばけりがつくなんていう問題じゃないと僕は思い

ます。


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これは「スタジオジブリ」が毎月発行する小冊子「熱風」2013年7月号特集「憲法改正」(緊

急PDF配信)からの抜粋である。詳細は上記記載のURLを参照して確認願いたいが、一読

して違和感を感じたので、ここにそれを載せる。小生なりの違和感を感じた箇所は数字で

示してある。

違和感①どさくさに紛れて、思いつきのような方法で憲法を変える、とは何を言いたいの

かな。


国の将来を決定することなので、多数で議論して行かなければならない、と仰っておられる

が正にその通りである。だから議員がおり、国会がある。そして選挙がある。小生も多数が

必ずしも正しいとは思わないが、ドサクサに紛れてもいないし、思いつきだとも思われない。

自民党も以前から憲法改正を言っていた筈である。何がドサクサで思いつきなのでしょうか。

きっと宮崎駿氏の意図と異なることなので、気に入らないのでこのような表現をしているの

ではないでしょうか。気に入る、入らないで憲法を議論しては間違うことにならないでしょうか。

憲法9条の条文を掲げていることから推察すると、これを変えることは悪いことだと端から

思い込んで居られるのでしょう。だから9条は議論すべきではないと暗に言っている様で、

これでは議論をしなければならないと言っていることに、反しないですか。


違和感②
歴史感覚のなさや定見のなさには、呆れる、とはどう言う事ですか。


半藤一利氏の「昭和史」をお読みになっておられるようですが、『日中戦争』や『大東亜戦

争』はすべて日本が悪いといった(宮崎駿氏の)感覚なのではないかと、小生は推察する。

満州事変にしても支那事変にしても(小生は)必ずしも日本が悪かったとは思えない。小生

のブログを読めば、(少なくとも)半分以上は中国(共産党)や当時の米国に非がある。頭か

ら日本が悪かったとの凝り固まった意識では、議論になりませんよ。

(続く)