さてこの宮古島島民遭難事件の交渉では、当初日本は「台湾は化外の地」として清国と交
渉を始めたが、清国は前言と裏腹に「台湾は清国の属地である」として、譲らなかった。そ
のため土壇場にきて大久保は賠償金を引き出すためことに論点をかえて、台湾は清国の
属地であるとして賠償金を請求する。そして駐清英国大使のウェードの調停により、「日清
両国互換条款」の調印に漕ぎ着ける事が出来た。
条約の内容は前述の通りだが、この条約により、日清両国は、琉球は日本の領土であり、
また台湾は清国の領土であることを認めることとなった。
以上の交渉経過からも判るように、そもそも台湾の帰属も不明確で必ずしも清国に帰属し
てはいなかったのであり、清国自身も台湾は「化外の地」として、清国の統治の及ばない地
と主張していたほどである。
だから清国の統治の及んでいなかった台湾に、付属する島嶼などについての知識なども、
なかったのである。増してや台湾より東に170kmも離れたところにぽつんと存在する尖閣
諸島などが、台湾の付属島嶼であったなどの主張は、それこそ中国の得意とする虚偽と
偽造・捏造以外の何ものでもないのである。
以上のことを頭に入れて、中国側の主張を検証してみよう。
Han-yi Shaw氏と言う人物を挙げているが、彼は台湾の国立政治大学の学術研究員だ
とWikipediaにはあったが、それ以外はどこの馬の骨かは小生は知らない。
その彼が明代の「日本一鑑」にある「釣魚嶼 小東小嶼也」の文言に注目して、「釣魚嶼(魚
釣島)は台湾島附属の小島である(魚釣島は小東の小さな島)」とする解釈が正しいものだ
として、台湾のものだと主張したのである。
ここでは「小東」を「台湾」と解釈しているが、これが間違いである。彼は態と曲解して都合
のよいように解釈している。「小東」とは、正しくは「小東洋」のことで「大東洋」に対する言葉
なのである。意味は、「大東洋」(太平洋)の端にある海域(小東)を意味するものである。
大西洋に対する大東洋なのである。
文中でも「小東」と「小東島」(台湾のこと)とは区別して使われている、と言っている。
即ち「小東島」又は「小東之島」は小東海域にある大きな島、即ち台湾である。
これに対して「小東小嶼」は小東海域にある小さな島、即ち魚釣嶼(島)なのである。
この文言が載っている「日本一鑑」は明代の書である。清国ですら台湾を「化外の地」と称
していたほどであるから、明の時代には台湾をはじめ尖閣諸島などには殆ど時の政府の
関心は無かった、否知らなかったのである。
『 かくして、文理解釈からも時代背景からも『日本一鑑』の「釣魚嶼 小東小嶼也」の文言より
「尖閣諸島は台湾附属の島嶼である」という解釈を引き出すことはできない。』と言う、
尾崎重義(おざき・しげよし)筑波大学名誉教授の結論は、真っ当なものである。
だから、「尖閣諸島は、明・清代を通じて中国の領土であったことはないし、また、台湾の付
属島嶼として見なされてもいなかった」のである。だから楊潔ちの言う「日本が尖閣諸島を
盗んだ」などと言う戯言(たわごと)は、戯言以外の何ものでもないのである。
だから中国はどろぼうの国柄なのである。他人のものは自分のもの、なのである。だから
馬賊・匪賊の国なのである、中国は。皆さん気をつけましょう。福沢諭吉の言った「脱亜入
欧」の意味がわかったことと思います。
初めて尖閣諸島が話題に上ったのは、1970年2月に在米台湾留学生が『琉球は台湾の
領土』とデモをしたことがはじめである。(2013.6.28,NO.26参照のこと。)
そして続いて、1971(S46)年12月30日、中国は外交部声明と言う形で、尖閣諸島の領有
を主張し、台湾も同年6/11に外交部声明で尖閣諸島の領有権を主張したのである。(2013.7.6、 NO.32参照)
言ってみれば、1895年に日本が閣議決定して尖閣諸島の領有を宣言してから、1970年の
76年間も中国は、何ら異議を唱えずに、尖閣諸島の日本領有を黙認してきたのである。
繰り返すが、日本は、国際社会に「尖閣諸島の日本領有の正当性」と「中国の違法性」を
積極的に発信して行くべきである。そして尖閣諸島には灯台を作ったり船だまりを作ったり
して、実効支配を強化してゆくべきなのである。
【15】なぜ中国は、嘘をついてまで、執拗に尖閣を狙うのか。
以上みてきたように、何を見ても、何処をとっても、尖閣諸島は日本固有の領土である。
然るに中国は、2012.9.27の第67回国連総会で、「尖閣諸島は日清戦争のドサクサに紛
れて日本に盗まれた」などと、捏造話を演説をして世界にプロパガンダまでした。
その上「カイロ宣言」や「ポツダム宣言」まで引っ張り出して、偽造話を吹聴した。
しかもその後「琉球諸島まで中国のものだ」と、中国共産党系のメディアを動員して、日本
に圧力を掛けてきた。琉球諸島とは、南西諸島の南半分の列島で、沖縄諸島と尖閣諸島
を含む先島諸島からなっている。南西諸島の北半分は、薩南諸島(大隅諸島、トカラ列島、
奄美諸島)で、この南西諸島が、九州から台湾近くで延びているのである。
もっとも中国は明確に琉球諸島とは言っていない。沖縄全体が中国のものだといっている
ので、南西諸島全体を盗ろうとしているものと、構えていなければならない。日本全体を属
国化しようと企んでいる中国のことである。日本は早急に国防体制を整えなくてはならない
のだ。
皆さんご承知の通り、この列島線は中国の言う「第一列島線」の一部なのである。この線を
延長してフィリピン、ブルネイ、ボルネオ、マレーシア、ベトナムと続き、東シナ海、南シナ海
を囲む地域を、中国は第一列島線で囲み自国の海としようとしているのである。即ち世界
の公海であるにも拘らず、九段線とか牛の舌とか言って中国の内海と嘯いているのである。
(2012.8.8,NO.17及び8.23,NO.28などを参照のこと)
(続く)