「第二列島線とは、伊豆諸島、小笠原諸島、マリアナ諸島(サイパン、グアムなど)、カロリ
ン諸島、パプアニューギニアに至るラインである。中国は現在は第二列島線内へ進出し
て、台湾有事の際にはこの海域で米海軍の増援を阻止・妨害することを目指している。
その完成時期は2020年までとしており、そのための空母「遼寧」なのである。即ち沿岸海軍
から「外洋海軍」への変革なのである。米軍を第一列島線内に入れないことを絶対的条件
とし、そのために第二列島線内で米海軍の行動を阻止する作戦を遂行できる中国海軍の
戦力整備計画なのである。
中国海軍建設のタイムスケジュールは(Wikipediaによると)次の通りである。
「躍進前期」 2000~2010年 第一列島線内(近海)の制海権の確保。(2015年に延びそう。)
「躍進後期」 2010~2020年 第二列島線内の制海権の確保。航空母艦の建造。
「完成期」 2020~2040年 米海軍による太平洋、インド洋の独占的支配の阻止
「覇権国家期」 2040年~ 米海軍と対等又はそれ以上の海軍の建設
2007/5月の中国海軍高官の「太平洋分割管理」の提案は、この海軍発展戦略の「完成
期」の姿を想定した提案なのである。
そして1994年の李鵬の「日本などは20年も経てば地球上から消えてなくなる」との発
言(2012.9.25,NO.51などを参照)は、丁度海軍発展戦略の「躍進後期」の真ん中の時期
に該当する。だから中国は本気でこの第二列島線内の制海権の確保を実行してくる、とい
うよりも既に実行に移しているのである。そのための尖閣諸島の奪取作戦なのである。
アメリカも中国のこの作戦行動に対して(2012.10.2までに)、2つの空母打撃群を西太平洋
に展開したのである。アメリカのこの対応からして、中国の本気度が判るというものである。
のほほんとしているのは、日本人だけである。どうするつもりか、日本人よ。
中国はこれらの「海洋領土」の奪取作戦を実行に移すための法整備が1992年の「領海法」
なのである。そしてそのベースとなるものが、1985年頃の「戦略的国境概念」の創出であり
現在はこれらのストーリーに従って中国は行動をしているだけなのである。西沙諸島や南
沙諸島の軍事行動による強行奪取を見れば、このことは明らかである。
(2012.7.18,NO.12~7.20,NO.14、2012.8.6,NO.15~8.8,NO.18辺りを参照のこと。)
そしてそのための行動指針が、昭和47年に世に出た中国共産党「日本開放第二期工作
要綱」なのである。これら、即ち中国の地理的国境を戦略的国境として拡大させることを実
行出来るように日本のすべてをそれに奉仕させるために中国共産党工作員が動くための
要綱である。これらの中国共産党の行動様式を中国政府が公式に認めていたと思われる
ものが、元中国国防大臣で退役軍人の遅浩田が2005/4に中国共産党中央軍事委員会
拡大会議で講演した「戦争が正に我々に向ってやって来る」なのである。その目的は「米
国打倒・日本殲滅」なのである。
何と恐ろしいことか。ボンクラな日本人はこのことを判っているのであろうか。」
これが中国の世界戦略なのである。中国は世界で覇権を確立しようとしているのである。
当然中国の意図するところは、世界征服(BIG2)思想である。世界には、中国とアメリカし
か存在しない、とする考えである。当然その時の日本は、中国の属国となっているのであ
る。こんな状態は、当然許せるものではない。太平洋2分割統治論が、そのことを如実に物
語っている。
中国のこの世界征服思想「米国打倒・日本殲滅」の成り立ちを整理してみよう。
先ず第一に、第一列島線、第二列島線概念の導入である。当初この概念は防衛的な要素
が強かったが、そのうちに攻撃ラインへと変貌して行く。それが戦略的国境概念であり、
その国境を守り拡大して行くために、海軍発展戦略を発表したのである。この戦略を補完
するために領海法を制定する。
このように中国は着々と世界征服戦略を実行して言ったのである。自信を持った中国は
日本消滅を公言し、米国打倒・日本殲滅路線をひた走りだしたのである。その行き着く先
の帰結が、太平洋2分割統治論だったのである。
次に2012.10.2~3、尖閣諸島問題その2(57~58)の一文を載せる。
「遅浩田の論には平和共存と言う概念は一切無い。中国一国の地球専有支配を目論んで
いる。そのための「米国打倒・日本殲滅」論なのだ。そのためには核の使用も肯定してい
る。だから上記にある様に「中国は核戦争の準備を怠ってはいないぞ」と、常日頃からアメリ
カを恫喝しているのである。
そして当座の問題として、台湾・尖閣諸島・南海諸島(南沙・中沙・西沙諸島)を如何に攻め
取るかと言うことだとしている。西沙諸島は完全に中国がベトナムから略奪しているので、
主な目的は南沙諸島の完全な領有だ。中国は現時点では南沙諸島の全岩礁などの15%
程しか専有していない。中沙諸島では現在スカボロー礁を、フィリピンから奪い取りつつあ
る。フィリピンが根負けした感じである。2012.8.6の当ブログNO.15などを参照のこと。
そして現在(2012.9.20記入)が東シナ海の尖閣諸島を奪い取ろうとしているのである。
中国は本気である。日本は生半可な気持ちで対応すると、酷い目の遭う筈だ。野田政権の
本気度が確かめられる。多数の漁船が尖閣諸島の領海を侵犯してきたらどうするか。日本
巡視船が体当たりしてでも、違反漁船を追っ払ったり拿捕して行くことである。中国公船が
邪魔をすれば、中国公船にも体当たりして排除して行くことである。気持ちをしっかり持っ
て、毅然と国益を追求して行く、今のところこれしかない。尖閣諸島の棚上げ論なんぞは、
2010.9.7に中国漁船が巡視船に体当たりした時から、(中国が自ら)反故にしてきたので
ある。
そして尖閣諸島、そしてその他の離島を占領して南西諸島そのものを、中国は我が物とし
て行く。そして九州、四国、本州そして北海道へと中国の魔の手が伸びるのである。この時
期は、中国が航空母艦を実用化する2030年から2040年にかけてのこととなろう。これが中
国の言う「海軍発展戦略」の第二段階から第三段階に至る過程となろう。
(続く)