馬鹿な韓国、頓馬な朴槿恵(37)

117年振りに韓国を取り戻した中国
韓国がネギをしょって転がり込んだ中韓首脳会談(2)

2013年7月5日(金)  鈴置 高史

 朴槿恵大統領の
6月末の訪中で中韓関係は一気に深まった。注目すべきは両国が、

全保障
経済の関係強化に加え“人文同盟”も結んだことだ。「文化の同質性を手がかりに

連帯を図る
」と説明されるが、この「中韓協商」には冊封体制復活の臭いがする。


中国重視の“新思考外交”

 韓国研究者が今、注目しているのが「
人文紐帯(ちゅうたい)」という韓国語だ。6月27日

表の中韓共同声明でも「安保」、「経済」に続いて3番目に「両国間の人文紐帯の強化」がう

たわれた。

 具体的には学術や伝統芸能の交流事業を実施するようだ。だが、なぜ専門の「交流共同

委員会」を作るほど「人文紐帯」が重要なのだろうか。そもそも「人文」とは何を指すのだろ

うか。

 答えは朴槿恵政権がスタートする直前の東亜日報の記事「韓米が価値同盟なら、韓中

は人文同盟
」(2013年2月22日付)にあった。内容は以下の通りだ。


米国との関係は市場経済
民主主義といった共通の「価値同盟」がベースにある。同様に

中国とも、何かをベースにした確固とした同盟関係に引き上げる必要がある――

朴槿恵・次期政権は考えている。


・韓中両国は政治や経済、社会システムは大きく異なる。一方、歴史文化哲学を長い

間、共有してきた。それだけに人文分野では通じるものが多い。


・そこで次期政権は「人文同盟」という概念をもとに、中国との協力を強化することを決め

た。知らされた中国政府も歓迎した。


 荒っぽく解説すれば「これから中国重視政策に踏み出す。経済でも安全保障でも、米国よ

りも中国に助けてもらうことが多くなるからだ。ただ、60年間に及ぶ米国との同盟の下で、

社会の仕組みはもとより価値観まで米国式になってしまっている。これでは中国を頼みと

する“
新思考外交
と齟齬をきたす。それを避けるため中国文化を再評価し、身を寄せる

かない」――と韓国人は考えたのだ。


中国の価値観を再び受け入れる


 「同盟」という単語は米国からの疑いを招くからだろう、次第に「紐帯」という言葉に置き換

わった。しかし今や「人文」という言葉は毎日のように韓国紙に登場する。

 朴槿恵政権発足以降、韓国の大学やメディアが「人文紐帯」=「中国との共通の価値」を

求め、相次ぎシンポジウムを開催しているからだ。

 中韓首脳会談を前にした6月下旬、北京に両国の学者が集まって今後の2国関係を論議

した。それを報じた中央日報の見出しが「韓中、新たな20年に向け人文紐帯の強化が必

」(6月24日付)だった。


 この記事によると、中国共産党中央党校の韓保江・国際戦略研究所所長は「両国関係の

根本に人文の紐帯がしっかりと定着すれば、両国間の間に発生するいかなる風波も乗り

越えられる
」と、その意義を強調した。

 韓国のイ・ヒオク成均中国研究所長は「韓中両国の国民は今後、韓国人や中国人として

だけでなく東アジア人として生きていく訓練が必要だ」と主張した。

 孫英春・中国メディア大学教授は「両国民の心の距離を縮めるために北東アジア文化共

同体
を建設しよう」と呼び掛けた。

 「人文紐帯」の正式な定義はいまだないものの「韓国人が中国人と同じ価値観や発想を

持って生きていく
」というコンセプトに集約されつつある。

 この言葉を使わずとも、中国との文化的絆(きずな)を強調し、連帯をうたうシンポジウム

が一気に増えた。


韓国では左派が中国を軽視


 同じころソウル大学アジア研究所は「世界の中心のアジア、普遍的価値を探して」と題す

る討論会を開いた(中央日報6月21日付)。

 ここでは西欧が造った発展モデルに代わる「アジアモデル」について議論が交わされ「ア

ジア全体のための普遍的文明を構想すべきだ」といった主張がなされた。

 異なる国や民族の間でお互いの文化を知れば国際関係が円滑になる――という発想は

今や、ごく当たり前のことだ。

 だが、韓国で始まった「文化連帯」運動は少々異なる。相互理解というよりも「欧米とは異

なる価値観
中国と韓国が共有したうえ、広めるべきだ」――という結論に傾くのが特色だ。

 ここまで来ると、朝鮮半島の歴代王朝が中国の暦を使い、衣服を真似ることで恭順の意

を示した冊封体制を想い出してしまう


 木村幹・神戸大学大学院教授がネット上で“発見”し、ツイッターでつぶやいたために日本

の研究者の間で少々有名になった論文がある。

 韓国の左派系ネットメディア、プレシアンが6月17日に載せた「韓国の進歩派はなぜ、中

国から目をそむけるのか」だ。筆者は肩書から見て、
在米韓国人研究者と思われる。

 ちなみに、韓国では保守派よりも進歩派――右派よりも左派に中国を軽く見る人が目立

つ。民主化の歴史に誇りを持つ左派は、西欧的な価値観に重きを置くあまり、独裁国家

る中国を上から目線で見がちだ。

(続く)