2014ワールドカップサッカー・ブラジル大会(3)

【特別版】
サッカーW杯予想!日本はベスト8
君は「3964」のジンクスを知っているか

【第10回】 201469日 宅森昭吉 [三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト]

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12日(現地時間)から、4年に一度のサッカー・ワールドカップ(W杯)が始まる。「日本はどこまで勝ち上がるか」、編集部から依頼を受けて、サッカーW杯と景気・株価などの関係を調べていく中で、いくつかの面白いジンクスが発見できた。そのジンクスによれば、日本代表はベスト8進出に希望が持てる。そうなれば、株価や景気にもいい影響が出るだろう。

NHKも新聞テレビ欄で
日本代表を応援

 いよいよ612日(現地時間)のサッカー・ワールドカップ(W杯)開幕が迫って来た。これに関して、「日本はどこまで勝ち上がるか、の予想」の執筆依頼を、編集部からいただいた。

 サッカー日本代表がW杯で活躍することは国民的関心事であり、これまでも景気や株価に影響を及ぼしてきている。

62日の朝刊各紙のテレビ欄には同日午後10時からNHK総合で放送される、「プロフェッショナル 仕事の流儀」の放送内容紹介の「縦読み」が注目された。この日は、サッカー日本代表・本田圭佑選手の特集だったが、紹介の文章の一番左端を縦に読んでみると「日本ガンバレW杯」となっている。民放では過去にドラマ「半沢直樹」に絡んだ野球中継での例があるが、NHKでは珍しいことだ。それだけサッカーW杯が注目されていることの証拠だろう。

 これまで日本が出場し海外で開催された大会の国内のW杯の経済効果は、電通総研などにより概ね30005000億円規模と試算されてきた。日本代表の活躍は消費などを刺激する。

 さらにサッカーや野球など国際的な試合で日本が勝つと、日経平均株価も上がる可能性が高い。日の丸を背負って戦う選手を見た人たちは、『自分も頑張らなければ』と仕事へのやる気がアップし、物事の見方も前向きになるようだ。それが端的に株価にも表れるのだろう。

なでしこアジア杯初優勝で
視聴率、株価ともにUP

 顕著だったのは971116日、サッカーW杯の初出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」だ。深夜のテレビ中継にもかかわらず47.9%と50%近い視聴率を記録し、日本中が熱狂した。しかし、翌朝に飛び込んできたのは、北海道拓殖銀行の破たんのニュース。株式市場が混乱してもおかしくないほどのインパクトだが、そこはW杯初出場の効果だった。なんとその日の日経平均は、1200円も上昇した。

12年のロンドン五輪の男子サッカー。初戦で下馬評を覆し強豪スペインを倒し、その翌日は日経平均株価123円高となった。準々決勝でエジプトに勝った試合の翌日は171円高だった。男子・女子とも勝利した3試合の翌日はすべて日経平均株価が上昇した。

 最近では526日夜の「なでしこジャパン」のアジアカップ初優勝が国民の関心を呼んだようだ。女子のアジアカップは視聴率からみると、予選リーグでは10%台前半であまり注目されていなかったものの、中国との準決勝では視聴率が18.5%になり、翌日の日経平均124円高、オーストラリアとの決勝は視聴率20.6%、翌日は140円高である。

195020143964」のジンクスが
成立するとブラジルの優勝はない

 サッカーW杯と景気・株価などの関係を調べていく中、でいくつかの面白いジンクスが発見できた。

 

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 今回で20回目となるW杯だが、アメリカ大陸で開催されるのは8回目だ。アメリカ大陸で開催されたW杯では、これまで7回ともアメリカ大陸の国が優勝している。このジンクスからは、前回優勝国のスペインの連覇は難しいだろう。

02年W杯日韓大会で優勝したブラジルのロッカールームの壁の落書きは有名である。すなわち「ドイツ197419903964、アルゼンチン197819863964、ブラジル197019943964」に続き「ブラジル196220023964」と書いてあったという。優勝チームの優勝年の合計が不思議なことに「3964」になるのである。「合計で3964のジンクスが成立するなら、今回2002年は、1962年に優勝している我々ブラジルが優勝するのだ」と、気持ちを奮い立たせてドイツとの決勝戦にのぞみ優勝したのであろう。ジンクスは新たなパワーを生み出す源泉になることがある。

 なお、このジンクスはその後の2大会(ドイツ、南アフリカ)では成立しなかった。今回も開催国ブラジルにとっては、このジンクスは不成立が望ましい。今回3964となるのは396420141950年。ジンクスが成立すると、50年ブラジル大会での事実上の決勝戦(当時は決勝リーグ)となったブラジル対ウルグアイ戦で12と逆転負けした「マラカナン」の悲劇につながるからだ(50年大会の優勝はウルグアイ)。

4」のつく日に強い日本代表
過去最高の成績を示唆するジンクス

 日本代表に関するジンクスからは今回のブラジル大会では、ザックジャパンに追い風が吹いているように思える。初のベスト8に希望が持てそうだ。

 今回の日程をみると、日本はC組で、初戦のコートジボワール戦は614日(現地時間)、3試合目のコロンビア戦は24日だ。日本男子代表は末尾に「4」がつく日に試合をすると、勝率は9割と高い。1936年のベルリン五輪で「ベルリンの奇跡」と呼ばれたスウェーデン戦も、ロンドン五輪4強入りを決めたエジプト戦も、4のつく日だった。黒星は、98年のフランスW杯の1回だけだ。予選リーグを突破する可能性は高そうだ。そうなれば初のベスト8進出はグンと近づく。

 日本代表メンバー23人のメンバーの中でサプライズ選出とされたのが川崎フロンターレのFW大久保嘉人選手だ。メンバー発表の512日は彼のお父さんの命日だったという。彼は壮行試合のキプロスでは途中出場した。なお、壮行試合で日本が勝利したのは初めてのことだ。これまでより良い成績が期待される。

 日本が出場した過去4度のW杯で、02年はチュニジア戦で森島選手が、10年はデンマーク戦で岡崎選手が、ともに途中出場で得点をあげている。どちらも予選リーグを突破した。逆に、98年と06年は途中出場者の得点はなく、決勝トーナメントに進めず敗退している。大久保選手ら途中出場の選手が得点を決めて、決勝トーナメント進出を決めてほしいところだ。

 C組の日本は、決勝トーナメントに出れば、初戦はD組と戦うことになる。D組で決勝トーナメントに進出しそうなウルグアイイングランド、イタリアの3ヵ国は、いずれも日本より予選リーグの移動距離が長い。特にイングランドはイタリアとの初戦を予選リーグ開催全12都市の中で最も赤道に近いマナウスで行う。中4日で2戦目はサンパウロになる。6月の平均最高気温はマナウスサンパウロでは約10℃の気温差があるという。こうした点は決勝トーナメント初戦で対戦するC組のチームに有利だ。

 そして俗に言われる中継テレビ局との相性も、初のベスト8がかかる決勝トーナメントの初戦まで良さそうだ。

 さらに、日本がC組1位で決勝トーナメントに出て初戦を突破すればベスト4をかけた準々決勝は現地時間74日と相性の良い末尾4の日になる。その場合はA組1位とB組2位の勝者なので、ブラジル、メキシコ、スペイン、オランダ、チリなどの強豪との対戦になろう。日本時間土曜日の朝になるので、このケースでは日本中が大いに盛り上がることは間違いない。

http://diamond.jp/articles/-/54224

  

壮行試合で日本が勝利したのは始めてのことだ」と書かれているが、FIFAランクが142位のチームに、しかも1点しか得点せずに勝利してもなんの自慢にもならないのではないのかな。

(続く)