日清戦争開始120年に考える。(2)

習近平は、2012.11.8~14の中国共産党第18回全国代表大会と翌15日の第18期第1次

中央委員会全体会議で、総書記中央軍事委員会主席に就任し、習近平政権を始動さ

せた。2013.3月の全国人民代表大会で、国家主席に就任し完全に中国を牛耳ることにな

ったが、「中国の夢」は「中華民族の偉大な復興」であり、中華民族の夢を実現して初めて

個人の夢が実現できるとした。そしてその方法として「中国の特色ある社会主義」の実現で

あるとした。中華民族と言うナショナリズムと中国の特色ある社会主義を中心として、国家

運営を図ることにより中国共産党への支持を高めようとしている。


中国の特色ある社会主義」とは、共産党一党独裁を維持しながら、経済の対外開放

市場経済を推し進めて、中国社会の近代化を図ってゆく、と言うものである。いわゆる鄧小

平理論の継承である。しかしながら経済の対外開放と市場経済の導入は個人の自由な発

想と努力、それに法の支配により発展するものであり、自ずと共産党一党独裁政治とは

相容れないものではないかと、小生は感じている。その行き着く先には、何があるのか見物

である。


そのためできるだけその摩擦をなくすために、または中国にとって都合の良いように処理で

きる態勢を作るために、造り上げてきている概念が「中華民族の偉大な復興」であり、「

国の特色ある社会主義
」(共産党の一党支配による発展)の実現である。そしてこの「特色

ある社会主義」を支えるものが、「海洋強国の建設」になるのである。

 

習近平総書記「海による富国と強国」を強調
更新時間:11:05 Aug 01 2013

 中共中央政治局は7月30日午後、海洋強国の建設について第8回集団学習を行なった。

集団学習を主宰した習近平総書記は「海洋強国の建設中国の特色ある社会主義事業

重要な一部だ。第18回党大会は海洋強国の建設という重大な計画を打ち出した。この計

画の実施は、持続的で健全な経済発展の推進、国家の主権、安全保障、発展上の利益の

維持、小康(ややゆとりのある)社会の全面的完成という目標の実現、そして中華民族

偉大な復興の実現
にとって重大かつ計り知れない意義を持つ。一段と海洋を重視し、海洋

について認識し、海洋を経略し、わが国の海洋強国建設が絶えず新たな成果を上げるよう

にしなければならない」と強調した。

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http://j.people.com.cn/94474/8349029.html

 

これらが何を意味しているか小生は詳らかではないが、要するに科学的発展をベースに

備近代化
をはかり海洋強国に邁進する、と言うことではないかと推察している。


科学的発展
軍の近代化海洋強国の建設特色ある社会主義中華民族の偉大な

復興
個人の夢の実現
、とつながってゆくと習近平は理論付けているようだ。ここには個

人の自由な発想、基本的人権の尊重や民主主義と法の支配は影が薄い。影が薄いから腐敗

がはびこることになる。


だから甲午戦争120年を契機として、国家主権の防衛力を高めるために海洋強国たるべ

く大規模な軍事演習を始めると中国政府は宣言している。そして当然のこととして、海洋強

国を目指して突き進む先には、近隣諸国との衝突が生ずることになる。南シナ海では、現

に衝突が発生している。その衝突を排除するためには国家主権の防衛力を高めて、摩擦

を排除することになる。即ち準軍事力や強力な軍事力行使による、力の解決を目指すこと

になる。さしずめ日本固有の領土である沖縄県尖閣諸島への侵攻などは、南シナ海に次

ぐ次の最有力となる対象となろう。

 

 

【国際】日清戦争開戦120年 海洋進出 中国強調
2014年7月26日 朝刊

 【北京=白石徹】日本と清国が戦った日清戦争(甲午戦争)開戦から120年を迎えた25日、

中国海軍山東省威海
(昔の威海衛)の戦跡で記念行事を開いた。中国各紙は同日、日清

戦争に関する特集記事を掲載し「現在の中国は責任ある大国として世界の中央に躍り出

た」(人民日報)と国威を発揚。一方で敗戦の原因を分析し海軍力の強化腐敗の一掃

訴え、習近平政権の「海洋強国」建設と「反腐敗」キャンペーンを後押しした。


 人民解放軍の雑誌「国防参考」の最新号は「甲午戦争の警告-中日の安全危機と衝突

への対応
」と題した論文を掲載。日清戦争の経過を冷静に振り返った上で「世界二位の経

済大国となった中国は、総合的な国力や軍事力を絶えず増強しており、百二十年前とは全

く異なる」と指摘し、中国の安全を脅かす勢力とは断固戦う姿勢を示した。


 また、日本海軍の倍近い艦船を保有し、アジア最強といわれた清国の北洋艦隊が敗れ去

った理由については「軍内部の不和と不完全な組織、官僚の腐敗」と分析。「海洋力は『戦

うならば必ず勝つ』ような強い海軍建設の目標を掲げるべきだ
」と主張し、東シナ海

南シナ海への進出を加速させる習近平政権の政策を擁護した。


 共産党機関紙・人民日報(海外版)は「大国が強国と同じ意味ではなく、財力も実力とは違

うことは、甲午戦争が残した重要な教えだ」とし、「海軍を基本とする強大な海洋力を築き、

国家主権の防衛力を高める必要がある」と訴えた。


 一方、国営新華社通信(電子版)は「甲午戦争の教訓は何か」とのアンケートを実施。

(1)腐敗を除かなければ、戦う前に敗れる(28・5%)(2)発展の遅れは敗戦につなが

る(16・9%)(3)強国は必ず強軍をもつべきだ(15・9%)-などの回答が多く寄せられ、

共産党幹部や官僚の汚職・腐敗を一掃することを求めている。


日清戦争
 1894~95年にかけ日本と清国が朝鮮半島の支配をめぐって争った戦

争。中国は甲午(きのえうまの年に起きたため甲午戦争と呼ぶ。94年7月25日にソウル

に近い豊島沖で衝突した後、日本の連合艦隊は同年9月、黄海海戦で清国の北洋艦隊に

大勝。95年4月に下関条約を締結し、戦費を上回る賠償金を受け取り、朝鮮独立を認めさ

せて台湾・澎湖諸島を割譲。清国敗戦の主因は光緒帝の後見役だった西太后の浪費と官

僚腐敗とされる。戦後は欧米列強による中国の分割、日本の軍備拡張が急速に進んだ。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014072602000113.html
(続く)