1カイリとは1.852kmであるので、排他的経済水域(EEZ,Exclusive Economic Zone)
とは基線より200カイリ・370.4kmの水域で、国連海洋法条約に基いて設定される自国の
経済的な主権の及ぶ水域の事で、資源の開発権利を独占できる。
従って120カイリは222.24kmで、明らかにベトナムのEEZ内となり他国が勝手に石油掘削
などは出来ない。中国の傍若無人振りが目に浮かぶ。
東シナ海の場合は日米安保があるので、それでも日中の中間線ぎりぎりで中国は石油掘
削を実施している。これとて日本側にある石油を吸い取ることになり、野蛮な不法行為で
ある。
中国企業がベトナム近海で石油探査、ベトナムは「違法」と非難
By VU TRONG KHANH 2014 年 5 月 6 日 12:10 JST
Cnoocの石油リグ981(南シナ海) Associated Press
【ハノイ】ベトナム外務省報道官は5日、中国最大の沖合石油探査会社、中国海洋石
油(CNOOC)がベトナムの排他的経済水域で違法に探査活動を行っていると非難した。
これにより、南シナ海をめぐる両国間の紛争が激化する恐れがある。
中国海上安全当局は3日、CNOOCが石油リグHD―981を搬入した地点を公表した。
ベトナム外務省報道官は4日政府のウェブサイトで、同地点はベトナムの排他的経済水域内
にあると主張し、「ベトナムの水域内での外国企業のあらゆる活動は、ベトナム当局の同意
がなければ違法であり無効である。ベトナムは(こうした活動に)強く抗議する」との声明を
発表した。声明によれば、CNOOCの操業地点はベトナム沿岸から120カイリしか離れてい
ないという。
これに対し中国外務省報道官は5日、石油リグは中国の水域内にあると主張、「中国海
上安全当局は981リグについて3日に搬入通知を発行した。関連作業は完全に中国の西
沙諸島の水域内で行われている」と述べた。
ベトナム外務省によると、国営石油会社(ペトロベトナム)は4日、CNOOCに書簡を送り、
石油リグの地点についてベトナムの水域にあると抗議した。ベトナムなど一部東南アジア
諸国は、南シナ海の帰属をめぐり長年にわたり中国と紛争を繰り広げている。
ベトナム政府は4月に、漁民を監視するとともに、同国の水域を守るために漁業監視部隊
を正式に発足させた。これは、中国が1月に西沙諸島近くの水域を含めた南シナ海で操業
する外国漁船に対し、中国政府の事前許可を求める新規則を発効させたのを受けた動き。
CNOOCは2012年に、ベトナムが同国の排他的経済水域と一部重なると主張している
区域での石油探査の入札を決定し、ベトナム側はこれに抗議している。
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304555804579544753368547412
この中国の石油リグは、2014.7.16には撤収され海南島方面へ移動した。これは中国が
米国との対立を避けるために、早めに作業を中止させたとの見方もあるが、それは甘い考
えであろう。単に台風シーズンになったための避難撤収に過ぎないのではないかとも思わ
れる。またはそれほどの資源が見つからなかった可能性も捨てきれない。
中国、南シナ海パラセル諸島の掘削施設を撤収 米との対立回避狙いか
2014.7.16 12:40
【北京=矢板明夫】中国外務省の洪磊報道官は16日、中国の大手国有企業、中国海洋石
油のグループ会社が、ベトナムと領有権を争う南シナ海のパラセル(中国名・西沙)諸島付
近で行っていた掘削活動を15日に完了したと発表した。
ベトナム沿岸警備隊のゴ・ゴック・トゥー副司令官も16日、掘削施設が撤収され、中国の
海南島方面に移動していると確認した。
中国国営新華社通信は、掘削施設が今後、海南陵水計画と呼ばれる作業に使われる予
定と伝えた。陵水は海南島の沿岸部に位置する場所とみられ、他の国が領有権を主張す
る場所ではない可能性が高い。
中国側は当初、パラセルでの掘削活動を8月中旬まで継続する意向を示していた。中国
の国際問題専門家によれば、米上院本会議が10日、東シナ海と南シナ海における中国拡
張主義を非難する決議を採択したことを受け、米国との本格的な対立を避けたい中国が
態度を軟化させ、作業終了を前倒しした可能性がある。
中国側は5月2日、中越がともに自国の排他的経済水域(EEZ)だと主張している海域で
一方的に掘削作業を開始。ベトナム側も公船を派遣し、中国船と衝突を繰り返していた。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140716/chn14071611510004-n1.htm
このように米国の上院が7/10に中国の拡張主義を非難する決議を採択したためか、7/16
には石油リグを自国領に移動させて西沙諸島では小康状態となったが、もう一つの紛争海
域の南沙諸島ではどうなっているのであろうか。こちらでもベトナムとフィリピンが、中国に
痛めつけられている。
(続く)