日清戦争開始120年に考える。(15)

中国共産党中央紀律検査委員会周永康を規律違反で処罰すれば、周りの大物もひょっ

としたら次は自分かもと、習近平には逆らえなくなる。


これが狙いの第二である。元政治局常務委員周永康を逮捕・処罰することは、他の強烈

な見せしめ
となる。

 

さてここで中国共産党指導組織に触れてみたい。ご承知の通り、中国では自由と民主主

義の国家圏での国民国家と言う概念はない。あるのは「共産党が国家を領導する」(中国

憲法)と言う概念である。ここで言う国家とは「人民」の集団である。


その中国共産党の最高指導機関は「全国代表大会」と言う党大会であり、通常5年に一度

の開催である。共産党の組織形態を、2012.11.8に開催された第18回党大会をもとに、偏

見と独断で紐解くと、概ね次のようになっている。(遠藤誉氏の「チャイナ・ギャップ」、

Wikipediaを参照している。)

 

(1)、中国共産党全国代表大会(5年に1回)、代表2,270人(全国40選挙区)、党大会
↓↓(選出する)

↓(2)、中国共産党中央紀律検査委員会、検査委員130人(候補者141人)
↓↓
中紀委・書記、自動的に中央委員となる。

(3)、中国共産党中央委員会(年1回)、中央委員205人(候補者224人)
↓↓

↓ (4)、中国共産党中央軍事委員会、主席(総書記が兼務)、副主席2人、委員8人
↓     前副主席・徐才厚は2014.6.30に汚職容疑で党籍剥奪処分されている。

(5)、中国共産党中央政治局・会議(毎月1回)、政治局委員18人(全体25人)


(6)、中国共産党中央政治局常務委員会(毎週1回)、政治局常務委員7人(China7)
    →中央書記処→中央政法委員会、他5組織

 

全国代表大会で中央委員205人を選出し、その中央委員会はそこから中央政治局委員を

25人選出する。この25人の中から政治局常務委員の7人が選出される。いわゆるChina7

である。

このChina7が、中国共産党の最高意思決定機関であり、中国と言う人民集団(国)を指導

して行くことになる。


そしてこの中国共産党中央政治局、特に常務委員(China7)の7人が、中国と言う人民集

団(国)を夫々の職権に分かれて指導して行くことになる。

その指導の組織は次のようになる。
 

 


(7)、全国人民代表大会(年1回、全人代)、いわゆる国の最高権力機関で、立法・行政・

司法。  国会に相当する機関。代表は中国共産党の指名候補者より選抜、3000人以内。


(8)、同常務委員会全人代の常設機関)、委員はほぼ200人、委員長(1人、国会議長に

相当)、 副委員長(若干名)、秘書長(1人) 下記の国家機関を監督する。


(9)、国務院、国家中央軍事委員会最高人民法院最高人民検察院

 

China7の夫々の役割をWikipediaにより下記する。

習近平 – 序列第1位 中国共産党中央委員会総書記中国共産党中央軍事委員会主席、
               中華人民共和国主席中華人民共和国中央軍事委員会主席

李克強 - 序列第2位 国務院総理

張徳江 - 序列第3位 全国人民代表大会常務委員長 

兪正声 - 序列第4位 中国人民政治協商会議全国委員会主席

劉雲山 – 序列第5位 中国共産党中央書記処常務書記、中国共産党中央精神文明建 
               設指導委員会主任、中国共産党中央党校校長

王岐山 - 序列第6位 中国共産党中央規律検査委員会書記 

張高麗 - 序列第7位 国務院常務副総理

 

(10)、中国人民政治協商会議(年1回)、共産党・同以外の党派、他の人民団体、少数民

族の代表、各界・各団体(Ex.台湾同胞、華僑など)代表などで全国委員会を構成する。

重要な政治方針の下位伝達と討議・提案を行う。全国委員会主席1人、副主席23人

・・・・・・といったところか。

 

だから常務委員会とは中国共産党の最高権力機関で、China9時代の常務委員であった

周永康は、中国共産党中央政法委員会書記の任にも当たっていた。この委員会は、「公

安、検察院、裁判所、治安維持」などを司っている。


「群体事件(集団抗議)」と言う暴動が多発している中国では、これを取締るのが主な任務と

なり、当然理不尽な弾圧や拘束が多くなり、それに対する抗議運動「群体事件」が更に輪を

かけて多発する。そのため治安維持費は軍事費を上回るまでに膨れ上がった。権限の乱用

による国家予算の消費である。これなども周永康が立件される理由であった。

 

狙いの第三は、“虎”も“ハエ”も一緒に叩くと明言した虎は他にも沢山いる。しかし他の大

勢の虎は周永康止まりにするということで、これ以上腐敗をのさばらせないと言うことを、他

の虎たちに暗黙の内に、約束させたものであろう。

(続く)