日清戦争開始120年に考える。(18)

習近平“虎”も“ハエ”も一緒に叩くと明言した以上、中央の大物も地方の小物も一緒に

叩かなければならない。これも2年前の記事であるが、本当に習近平は更なるトラを叩ける

のか。先の解説では、もうこれ以上叩かないから静かにしていろ、と大物達に約束させたと

言われているのだが。

 

中国共産党を悩ます権力と富
2012年11月13日(火) The Economist

中国共産党幹部の家族巨額の蓄財をしているとの報道が相次いでいる。指導部の世代

交代を控え、当局はこうした報道の統制に躍起だ。だが新指導部の構成には、各地で抗議

行動を起こす中流階級が影響力を持つ。

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 中国では目下、街角に「反体制的な」スローガンが貼られていないか監視の目が光る。

インターネット検閲当局は時間を問わず活動し、警察は反体制派への見張りを強め、書店

では役人が地下出版物をチェックしている。


 この
(2012年)11月に予定されている10年に1度の指導部の交代を前に、中国共産党

部は、自分たちの動きについての噂を抑え、民衆が不満を抱える証拠を消し去ろうと懸命だ。


温首相の家族が27億ドルの蓄財


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ニューヨーク・タイムズは10月25日、温家宝首相の家族が27億ドルもの資産を築いたと

報じた  


 そんな時期に温家宝(ウェンジャーバオ)首相の家族が、温氏が指導部入りした後の10

年間に巨額の蓄財をしていたことが明るみに出たのは最悪だった。1980年代後半以降、

指導部交代の時期に党がこれほどスキャンダルと危機に見舞われたことはない。


 本誌エコノミストが印刷に回される時点で、共産党は総勢370人もいる委員からなる中央

委員会
を北京で開催、11月8日に開幕する大規模な世代交代の政治ショーに向けて最後

の準備を進めている。このショーは、2200人超の代議員が参加する全国代表大会(党大会)

で始まり、数日後の新政治局委員発表へと続き、温氏は政治局から退任することになる
*1。

*1=首相としての退任は来年3月


 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)10月25日に報じた調査報道記事は、温氏が築いて

きた質素で庶民的な「人民の首相」という世評を打ち砕いた。同紙は、温氏の家族が計

27億ドル(約2200億円)
財産を蓄えていた証拠を示したのだ。


 中国共産党にとっては、政治局委員の薄熙来(ボーシーライ)氏が殺人を隠蔽し、家族が

大規模な腐敗に関与していた疑いで、公職から追放するに至るという数十年ぶりの大醜聞

をさらけ出したばかり。


 6月には米通信社ブルームバーグが、習近平(シーチンピ)氏の家族が商取引により巨

額の蓄財
をしていたことを報道。習氏はこの11月胡錦濤(フーチンタオ)氏から総書記

の地位を、さらに3月には国家主席の地位を引き継ぐ人物である。


 中国では指導部入りした幹部の家族が蓄財していることはかねて噂されてきたが、一連

の報道はそうした噂を裏づけた格好だ(もっとも報じられた蓄財の規模は、こうしたことに慣

れた冷笑的な者でさえ驚くものだった)。


 薄氏は今年初めまで、今回の指導部人事で党の最高機関入りが予想されていた人物。

その薄氏を党自身が断罪したことを考えると、一連の調査は中国政治体制のまさに中枢

で、富と権力がつながっていることを裏づけている。


 そこに利害の抵触があることは明らかだが、NYTもブルームバーグも、家族の事業との

関係で党幹部個人に不正があると非難しているわけではない。


 だが、拡大を続ける貧富の格差に不満が広がる国内では、これらの報道が国民の間に

辛辣な空気
を生んでいる。


 中国では、6月からブルームバーグのサイトが閲覧できず、NYTの英語版サイトも中国語

版サイトも同じ措置が取られた。中国外務省の広報官は例によって、NYTには中国に汚名

を着せ、不安を扇動する「隠れた動機」
があると非難した。

(続く)