先に習近平は胡錦濤と結託して周永康を追い詰めたと書いた(2014.8.20、NO.10)。その
故錦濤は中国共産主義青年団(共青団)出身である。だから習近平と共青団はどちらかと
言うと仲良しだと思っていたらそうでもなく、習近平はその共青団潰しを企てている、といっ
た書き物もある。
それはSAPIO9月号のウィリーラムの北京探題「腐敗撲滅キャンペーンが権力闘争に発
展か?カギは共青団幹部への波及」と言う解説だ。
それは北京に近い山西省の政治協商会議の副主席である「令政策氏」が、「重大な規律違
反の疑い」で取り調べを受けている、と言うもの。しかもこの「令政策氏」の弟は「令計画氏」
と言い、胡錦濤時代の中国共産党中央委員会の事務方のトップを務めた大幹部だった
のだ。
事務方のトップとは、2014.8.27で紹介した組織の「中央書記処」の下部組織・中央弁公庁の
主任(トップ)で、日本で言えば官房長官に相当する、とそこには書かれている。
この令氏兄弟はすべて山西省の幹部を務めており、「令計画氏」の権力基盤となっている。
令氏兄弟は次の通り。
父・令狐野(山西省古参幹部)-長男・路線、次男・政策、長女・方針、三男・計画、四男・
完成の5人で、計画氏(中央政府の幹部)以外は山西省の幹部である。
ニュースにもなったのでご存知の方もおられると思うが、この計画氏の大学生の息子は、
北京市内でフェラーリを暴走させて事故死している。同乗の女性2人は大怪我で入院した。
このスキャンダルのもみ消しに、令計画氏は周永康氏に頼んだとされる。
そしてこの令氏は周永康氏に近く、嘗て令計画氏は、周永康、ハクキライ、徐才厚らと共に
習近平総書記就任に反対していたと言う。
習近平政権発足後、山西省では23人の幹部が腐敗容疑で逮捕されていると言う。
そしてこの習近平政権では胡錦濤派(共青団)は人事では惨敗しているのだ。胡錦濤の総
秘書役(中央弁公庁主任)の令計画氏も政治局委員が確実視されていたが、習政権で左遷
されてしまっている。
だから習近平は共青団閥にも腐敗摘発の手を伸ばして、共青団閥潰しの権力闘争を始め
ている、と言った見方もあるといわれている。
ただ遠藤誉氏によれば、Cina7(常務委員)の人事こそこの5年間だけは共青団出身者は
李克強1人だが、役職定年制があり5年後には政治局委員には共青団の有力者が多く
共青団閥が復活するような人事が仕組まれていると言っている。
まあこのように山西省の例にもあるように、ハエもしっかりと叩いているようだが、裏を返せ
ばそれも「権力闘争」でありお国のためでは無さそうである。主題はあくまでも「権力闘争」
なのか。
だから共産党中国は、日清戦争開始120年の記念日を使って「腐敗撲滅」を叫び始めたの
ではないのかな。この日清戦争を使えば、共産党上層部への人民の不満を外に逸らすこと
ができる、と考えているのであろう。しかもその矛先は日本である。日清戦争をネタに
「反日」と「腐敗撲滅」を掛け合わせれば、当座の人民の不満は党には向かってこない、と
踏んでいる。
だから反日をあおる口実に中国空軍のSU27が、日本や米軍の情報収集機に嫌がらせも
仕掛けているのであろう。
東シナ海上空で中国、米軍機に異常接近か15メートルと報道
2014.8.22 23:05
米軍の対潜哨戒機P8に異常接近したとみられる中国軍の戦闘機=19日(米国防総省
提供・AP=共同)
米ニュースサイト「ワシントン・フリービーコン」は21日、中国沿岸の東シナ海上空で18日に
中国軍のSU27戦闘機が米軍の対潜哨戒機P8に異常接近したとの米国防総省当局者の
話を伝えた。約15メートルまで近づいたという。
P8は通常の偵察活動をしていた。中国空軍が東シナ海で実施していた演習が監視対象
だった可能性があるとしている。米国防総省の報道官は「22日に説明する」と述べたという。
中国は昨年11月、東シナ海上空に防空識別圏を設定。米軍は同年12月にP8を嘉手納
基地(沖縄県)に配備した。
東シナ海の公海上空では今年5月と6月、中国軍のSU27戦闘機による自衛隊機への異
常接近が相次ぎ、日本政府が中国側に厳重に抗議した。(共同)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140822/chn14082223050007-n1.htm
この中国軍機による日米の哨戒機への異常接近も、人民の目を外に向ける手段なので、
ある意味、習近平の「反腐敗運動(権力闘争)」と明らかに関連があると思われる。
(続く)