次世代エコカー・本命は?(10)

しかしトヨタダイムラーテスラの株式をかなりの部分売却しているから、果たしてRAV4EVなどの電気自動車で、この規制に対応出きるのかも不明である。

 

尤(もっと)も全米で12州にこのZEV規制が適用されている(される)ので、たったの400台程度では不足する。偏見と独断で判断して他の11州でのトヨタ車の販売は加州の6割とすると、400×0.6×11=2,640台のFCVミライを追加でトヨタは販売する必要が出てくる、加州と併せると400+2,640=3,040台と3,000台以上の販売が必要となると見立てる事が必要なのではないのかな。この米国でのZEV2018年規制がどんなものなのか詳らかでないので、この考え方・計算の仕方は的外れなのかもしれないが、いずれにしてもトヨタをはじめ、特に量産型のEVFCVを持たない車屋は大変なのである。

 

ダイムラー、米テスラ株を売却 資本提携解消

2014/10/22 10:46 ニュースソース 日本経済新聞 電子版
 

 【フランクフルト=加藤貴行】ダイムラー21日、米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズとの資本提携を解消したと発表した。保有するテスラ株約4%を約7.8億ドル(約830億円)で売却した。テスラ製のリチウムイオン電池の採用など現行の業務提携は続けるが、ダイムラー電池の内製化を進めており、今後はテスラと距離を置くことになりそうだ。

 

 ダイムラー2009年5月にテスラに約9%出資した。車載用電池の開発ノウハウなどを吸収する一方で、ベンチャー企業のテスラ事業の立ち上げを支援。その後、出資比率は低下したが、小型車「スマート」のEVの初期モデルや、今年から独国内で生産を始めた小型車「メルセデス・ベンツBクラス」のEVにテスラ製電池を使ってきた。

 ダイムラーは今年に入りリチウムイオン電池関連の合弁会社の全株式を取得し、基幹部品のセルから電池システムまで一貫生産できる体制を築いた。同社はドイツメーカーの中ではハイブリッド車やEVの発売で先行しており、17年までにプラグインハイブリッド車を新たに10車種投入する方針。電池製造段階から自前で手がけ、開発の効率化とスピード向上を狙う。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM22H03_S4A021C1EAF000/

 

トヨタテスラ株を一部売却EV協業一服

2014/10/24
ニュースソース
日本経済新聞 朝刊

 トヨタ自動車が米電気自動車(EV)メーカー、テスラ・モーターズ保有株の一部を売却していたことが23日分かった。引き続き少数株主として資本・業務提携は維持するが、EV開発など協業を進める動きは一服しそうだ。22日には独ダイムラーテスラとの資本提携を解消しており、大手メーカーの「テスラ離れ」が進んでいる。

 トヨタ2010年にテスラと資本・業務提携した。5千万ドルを出資し、14年3月末時点で約2.4%のテスラ株を保有していた。この一部を市場売却したもようだ。売却割合は明らかにしていない。足元の株価は出資時の10倍以上になっており、仮に1%分を売却したとすると100億円規模の売却益が出た計算になる。

 テスラトヨタへのEV用リチウムイオン電池の供給を年内に打ち切る方針を示している。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ2302P_T21C14A0TJ2000/

 

 

これもトヨタFCVミライの量産化への目途がたったからではないのかな。一部には、ZEV規制のために、トヨタは焦って燃料電池車の市販化を急いだのではないのか、と言った論調もあるがトヨタとしては当然焦ってはいるのであるが、だからと言ってFCVの市販を必ずしも焦って急いだわけでもないだろう。FCVの量産化の目途がたったから、テスラ株の売却に踏み切ったと見ても良いのではないのかな。

 

トヨタ、「ミライ」に透ける焦り 米国規制で揺らぐ立場

2014/11/21 7:00  ニュースソース 日本経済新聞 電子版

 「ハイブリッド車HV)『プリウス』を超えるイノベーションだ」。トヨタ自動車の加藤光久副社長は、20141118に開催した燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」(1215日発売)の発表会で、力を込めてこう発言した。

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トヨタ自動車20141215日に発売する、燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」

 HVの成功に安住せず、「水素社会」という新たな時代を切り開く――。エコカーだけでなく自動車産業の覇者としての地位を磐石とするためのメッセージを随所にちりばめ、攻める姿勢を鮮明にした。

 だが、発表の細かい内容を吟味すると、ミライを通じてトヨタの焦りも透けて見えてくる。それは地域ごとの販売目標に表れている。米国の販売目標2017年末までに3000台以上国内が2015年末までに400、欧州が2016年頃までに50100と、日本から半年遅れて発売する米国が最も多い。

 しかもわざわざ「以上」との言葉をつけ、米国で最低でも3000台を販売する意思を明確にした。そこには規制対応上、米国でFCVを売らなければならないトヨタの事情がある。

エコカーの先行指標で苦境に

 ひっそりと公表されたデータに重要な意味が込められていた。20141017日、米カリフォルニア州大気資源委員会は、20149月末までの1年間の自動車各社による「ZEV規制」対応の状況を公表した。

 カリフォルニア州は、自動車メーカーに対して販売台数の一定割合を電気自動車EV)など排ガスゼロの車(ZEV Zero Emission Vehicle)とするよう義務付けるZEV規制を導入している。基準未達のメーカーは罰金を払うか、超過達成するメーカーから「ZEV排出枠(クレジット)」を購入しなければならない。

 トヨタプリウスの販売効果で、これまでクレジットを売り続けてきた。20139月末までの1年間のデータでは、トヨタ507クレジットを販売し、EV専業の米テスラ・モーターズに次いで全体の2位だった。しかし、直近1年で販売上位からトヨタの名前が消えた。

 

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排ガスゼロ車のクレジット売買の上位3社。左は2013年、右は2014

 2017年から規制が強化され、エンジンと併用するハイブリッド車ZEVの対象車種から外される。同州で販売台数の多いトヨタZEV規制の要求達成が難しくなるため、今からZEVクレジットを蓄えているようだ。

テスラからのクレジット購入を検討

 ZEVのクレジット売買はエコカー市場の先行指標とも言える。ZEV車は渋滞を避けるために同州の高速道路に設けられた「カープールレーン」を優先して走れるため、ユーザーの関心も高い。プリウスの快走はカリフォルニア州から始まり、トヨタエコカー戦略の基盤となった。その地で基盤が崩れる足音が聞こえ始めたのだ。

 苦境に立たされたトヨタは様々な手を講じていく。ZEV規制の未達で罰金を払うのは、長年培ってきた環境ブランドを損なうため何としても避けたい。そのため、大量のクレジットを抱えるテスラからZEVクレジットを購入する検討に入った。

 ちなみに、そのテスラZEVを収益源としている。同社は201313月期に約6800万ドル(約80億円)のZEV排出枠を販売した。固定費がほとんどかからず大半が利益になり、テスラの四半期としての初の黒字化に寄与した。ZEV規制はニューヨークやメリーランドなど全米各州でも導入の動きがある。

ZEV規制対応の意味合いが強い」

 トヨタZEV規制対応の切り札として期待するのがミライだ。トヨタテスラのようにEVの量販車を販売していないため、FCVに頼らざるを得ない

 プラグインハイブリッド車PHV)もZEVの対象となるが、EVFCVより1台当たりのクレジット獲得ポイントが少ない。米国におけるミライの販売目標を2017年末までに3000台以上と発表したのは、「ZEV規制対応の意味合いが強い」(トヨタ関係者)のだ。

 トヨタはミライの発売を「変革への第一歩」と位置付けた。プリウスのような画期的な製品でイノベーションを主導する先進イメージを作り、ブランド価値を高める効果を狙う。しかし、実際にはZEV規制で苦境に立たされているトヨタは、FCVに「ZEV規制対応」という現実的な任務を課しており、販売増が急務となっている。

(日経エコロジー 大西孝弘)

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO79941190Q4A121C1000000/

(続く)