次世代エコカー・本命は?(12)

イーロン・マスクからケチを付けられた訳でもないが、「水素供給インフラ」に移る前に、テスラのモデルSの発火問題に触れてみよう。

 

3テスラ「モデルS」炎上

 

テスラの「モデルS」はテスラ社の2車種目の電気自動車だ。

 

1車種目は2008年発売の「ロードスター」だ。このロードスターは英国のロータスエリーゼの部品をかなり使って、英国のロータスの工場で組み立てられている。バッテリーはパナソニック製のノートパソコン用の円筒形のリチウムイオン二次電池18650」を6,831搭載している。その重量は450kgにもなると言う。そして充電時間は公式ホームページによると1hr20kmの走行が出来るようなので、公称394kmの航続距離なので394÷20=19.7hrと約20時間ほどの充電時間となる。まあ完全にバッテリーを使い切る事はないと思うので、このロードスターの充電には十数時間は掛ると思っていた方が良いであろう。しかも重量は半端ないものとなっている。

 

モデルS」は20126にアメリカでは販売が開始され、日本には20149に導入されていると言う。バッテリーはロードスターと同じくパナソニック製の「18650」型リチウムイオン二次電池推定8,000個から10,000ほど搭載しているのではないかと、以前書いた事がある(2012.4.25,番外編・プリウス急加速問題NO.101参照の事)。現在は年間2万台程度は売っていると言うから、かなりの量販EVとなっている。

 

ちなみにモデルSの航続距離はバッテリーの搭載量により次の通り。
http://www.teslamotors.com/jp/models/design

 

航続距離

60kWhバッテリー、345km 充電4.6hr 823万円

85kWhバッテリー、460km 充電6.1hr 933万円(スペシャル仕様は1,081万円)

 

そして充電方法により異なるがテスラH.pageによれば、1hrの充電で75kmの走行が出来るとしているので、345km÷75=4.6hrとなりまずまずの充電時間だがそれでも長すぎる。しかしながら仕様の欄には、肝心な航続距離は記載されていないので、この75kmもかなり水増しした数字であろう。(http://www.teslamotors.com/jp/charging#/highpower、但し別URLにはあり。)

 

と思ってこの表現に裏はないのかとNETで探していたら、それはあった。

 

そこにはこれは「虚偽記載と言っても良い」とまで書かれていた。

 

そこに記載されている数字類には若干の違いがあるが、日本での家庭ではアンペアの上限があるから、200Vで1時間に供給できる電力ではたったの12kmの走行にしかならない電力だと、と言っている。このテスラのホームページに記載されている1hr75kmと言う数字は正にまやかしの何者でもない。当然米国本土でそれ相応の設備と電力事情ではかなりの充電が出来るかもしれないが、日本で「モデルS」を売るとなれば日本仕様で何事も考えてもらわなくてはならない。

 

ちなみに1hrの充電で12km分にしかならないとすれば、460km÷12km=38.3hrとなり一日半以上、2日近くも車を寝かせて充電させなければならないことになる。まあこれは満充電のケースであるが70%~80%を充電しなければならないケースでも、フルに一日以上掛ってしまう。急速充電も出来ると言っているがそれでも1hr以上の時間を必要とするのではないのかな。

何はともあれ、その内容をよく読んでみて欲しい。


 

テスラ・モデルSとトヨタ・ミライ    09.14.2014
         これらに弱点はないのか、また、この車のオーナーになる人は?http://www.yasuienv.net/ModelS_Mirai.htm

 米国テスラモーターのテスラモデルSが日本で発売になった。同社のCEOであるイーロン・マスク氏は、将来、米国の産業界を支える逸材だと言われていることもあって、話題性が高い。

 日本のメディアも、フル充電で502kmも走る、という点を強調しているだけでなく、賞賛しているように見えるが、果たして、この車に弱点は無いのか。どうも、買っても後悔が無い人の条件はかなり限られるように思えるのだが。

 トヨタのFCV車は、ミライMiraiと命名されたようだ。今年度中に発売されると言われるこの車のオーナーになる人は誰か。

 

C先生:本日の話題は4つに分かれるだろう。

1.テスラのモデルSは、最近、米国を中心にかなり売れている。しかしといって、日本で確実に売れるとは言えない。さて、どうなるか。買って後悔しない人の条件は?
2.今年度のどこかで、トヨタは水素燃料電池車の販売を始める。価格は700万円台で、補助金がかなりあるようなので、現実的な価格になるかもしれない。年産700台のこの車は果たして売れるのだろうか。誰が買うだろうか。
3.電気自動車と水素燃料電池車の環境負荷はゼロと主張されるが、本当のところは?
4.最後に、東京オリンピック2020で使われる自動車は何か。
 ただし、3.の話題は、まとめて語るのではなくて、様々に散りばめられて語られている。

1.テスラモータースのモデルSは日本で売れるのか

A君:まずは、テスラのモデルSの仕様から。日経新聞の9月9日号の12面からの引用。
税込み価格:823~1081万円
フル充電時の航続距離390kmタイプと502kmタイプがある
充電時間:200Vのコンセントでは、1時間で85km走行分を充電
充電方式:家庭用電源プラグでも可能。チャデモ方式も可能。
電池容量:60kWh あるいは 85kWh
サイズ:497×218×143cm
重量:この肝心のデータがないので、テスラモータズのカタログを見ると、2108kg(電池の少ないモデルだろう)

B君:さて、燃費ではなく電費はどのぐらいなのだろう。60kwhの電池で390kmだから6.5km/kWh。電池の多い方は85kWhの電池で502km/だから、5.9km/kWh。やはり、電池を多くすると重くなって、その分、電費が下がるようだ。

A君:C先生のプリウスPHVは、車重が、1410kg。これで、実用的な電費は約6km/kWh。車重と電費はほぼ比例するだろうから、まあ、実用燃費は4km/kWhぐらいでしょう。60kWh分をチャージできると仮定しても、まあ240km(=4km/kWh×60kWh)走れば良い方ではないですか。85kWhチャージできれば、340kmぐらいでしょう。

B君:日経新聞が掲載している上記のスペックだけれど、記述の1箇所が確実に誤解を与えている。それは、充電時間:200Vのコンセントでは、1時間で85km走行分を充電というところ。これは日本向けの情報としては、虚偽記載と言っても良い。85km走行分というと、電費を4km/kWhとして21kWh(=85km÷4km/kWh)。これだけの電力を200V単相のコンセント経由で1時間で供給するということなので、100A以上の電流(=21000Wh÷200V)を供給することになってしまう。日本での家庭用のコンセントであれば、200V単相なら、普通、15Aが上限。ということは最大3kW(=200V×15A)。となると、200V単相で1時間で供給できる電力で走行可能な距離は、たった12km(=4km/kWh×3kWh)ぐらいということになる。(注、青字( )はブログ筆者の記載したものです。)
(続く)