先に水素ステーションについては、以前にこんな数字を提示した。上の記事と比較してみる。
先回設置数 2013年度(19カ所)、2014年度(40)、2015年度(40)、2030年度(5,000カ所)
(2013.11.30付け) 2015年度中に100カ所程度。
今回設置数 2014/6(19カ所)、2014年度(累計30、新設11)、2015年度(累計60,新設30)
(2014.7.2付け) 2027年(100カ所)、2037年(1,000カ所、FCV200万台)
2015年度中に100カ所の水素ステーションが、60カ所と減ってしまっている。このようにいまだにはっきりとした水素ステーション設置に関する計画は出来上がってはいないのだ。
事ほど左様にいまだ「水素社会」と言うものは、掛け声だけに終わっているようだが、これも致し方ないことであろう、なんと言っても「燃料電池車」と言うものはいまだ市販されていないからだ。
だから2014.12.15にトヨタが燃料電池車「ミライ」が発売されて、周囲の道路で少しは見かけないとどうしようもない。
まあトヨタの計画でも、
日本では、2015年までには400台(以後も400台/Yと推定する。)
米国では、2015年夏~秋から2017年末までに3,000台
(この3,000台の生産を次のようにかってに推定する。 '15/150台、'16/1,250台、'17/1.600台)
欧州では、2016年から50~100台程度/Y(推定、2016/50台、2017/100台)
以上の11/18の記者発表での数字から、我流で次のように生産台数を類推する。
2015年 2016年 2017年
550台 1,700台 2,100台 累計4,350台
と大雑把にトヨタFCV「ミライ」の生産台数を勝手に、推定してみた。この数字でゆくと、この3年間で4,350台ほどになろう。まあ適当に見繕っても3年間では、高々5,000台程度の生産で国内では1,200台を超える程度の数字となる。但し記者発表では200台の確定受注があると言っていたが、このブログの最初に載せた2014/10/16付けの記事では、購入希望者が「1千台近くにのぼっているもよう」とあるので、国内向け生産が400台/Yよりも大きくなるであろうから、もっと大きな数字となろう。
それに2018年以降になるとZEV規制によりカリフォルニア州をはじめ全米他州にもFCV「ミライ」を配車しなければならなくなるので、2018年は少なくとも4,000台/Y以上は生産しなければならないであろう。相当の生産能力のアップを図らなければならなくなるであろう。
と書いていたら、2014.12.6付けの日経新聞に、トヨタの燃料電池車の生産能力は700台だと書かれていた。これでは先の数字の「ミライ」は生産できない。2015年中にも能力増強を図る必要がある。3倍(2,100台/Y)にすると書かれていたので、2017年までは何とか持ちそうだが、2018年の推定4,000台以上の生産には能力がない。3年後には更なる能力増強が必要となろう。トヨタの社内では当分は休む暇もない忙しさとなっていよう。
トヨタ、燃料電池車増産へ200億円 国内2工場に
生産能力3倍 VWは20年にも投入
- 2014/12/6付 ニュースソース 日本経済新聞 朝刊
トヨタ自動車は燃料電池車(FCV)「ミライ」の年産能力を2015年末に現在の3倍に引き上げる。国内2工場に200億円程度投資する。国内での引き合いが強いほか、米国などへの輸出にあてるため、増産体制を早期に整える。独フォルクスワーゲン(VW)も20年にも日米欧で投入する。世界2強の増産や参入でFCVの普及期が早まりそうだ。
現在、トヨタのFCVの年産能力は700台。走行時に二酸化炭素(CO2)を一切出さないため、企業や官公庁などから注文が相次いでいる。販売店によると15日の発売までに年産能力を超える受注が見込まれ、「納期を確定できない状況」(トヨタ幹部)になっている。
15年夏から始める米欧への輸出のための台数も確保する必要がある。特に米カリフォルニア州では販売台数の一定割合を排ガスの出ない車とするZEV規制(総合2面きょうのことば)があり、トヨタもこれに対応するためミライの販売を伸ばす計画を立てている。現状の生産能力では日米の需要に応じることが難しくなっている。このため、トヨタは水素と酸素の化学反応で動力源となる電気を起こす「燃料電池スタック」と、水素を貯蔵するタンクを本社工場(愛知県豊田市)で増産する。15年末までにさらに2ラインを加えて年産能力を3倍に増やす。車両を組み立てる元町工場(同)も設備増強する。
ミライは国内では15年末までに400台の販売を計画。米国では17年末までに累計3千台以上、欧州では16年ごろに年50~100台の販売を見込む。米国を最大の市場と位置づけ、輸出台数も増やしていく。
トヨタに次ぐ世界2位のVWは20年にもFCVを日本を始め、世界で発売する。今までVWはエンジンを小型化し排ガスを減らす「ダウンサイジング車」をエコカー開発の軸に据えてきた。しかし、先進各国の環境規制の強化に対応するため、FCV開発を加速する。
スタックを自前で開発、フル充填した場合の航続距離を500キロメートルとしている。VWは日本は水素ステーションの増設が早いペースで進むとみており、今後、投入車種や価格などを詰める。
FCVを巡っては、ホンダが5人乗りのセダンを15年度中に発売する計画だ。FCVの共同開発で米ゼネラル・モーターズ(GM)と提携、開発コストを負担し合い安価にFCVを提供できるようにする。日産自動車も資本業務提携している独ダイムラーや、米フォード・モーターと17年にも市販する計画だ。
今回のトヨタのFCV増産で水素ステーションや燃料電池など国内関連メーカーの投資意欲も高まりそうだ。デロイトトーマツコンサルティングによると、FCV関連の国内での経済波及効果は30年には4兆4000億円に達するとしている。
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDZ05HE0_V01C14A2MM8000/
(続く)