次世代エコカー・本命は?(54)

この記事は2013.7月のものであるが、アメリカでの日産リーフはティッビングポイントとやらをそろそろ(現在は2015.1月だが)超えつつあるのではないのかな。

 

それにしても先のデータでは、プリウスPH(E)Vが世界(USA,カナダ,日本,,,ノルウェイの6カ国)で、月2,100台も売れているとは少し驚きである。

 

まあ日産リーフが3年半で、世界で115,000台、アメリカで50,000台も売っているとも、一種の驚きである。トヨタEVを単なる近距離用途の簡単な車などと思わずに、普通の車として開発していく必要があろう。

 

トヨタのホームページでプリウスPHVの性能を確認すると、EV走行距離は相変わらず26.4kmに留まっている。まだ2次電池を増量していない。しかも、プリウス1.31kWh相当のニッケル水素電池に比べて、プリウスPHV4.4kWhと3倍もの電力量を誇るリチウムイオンバッテリだと説明している。これを見ると、トヨタプリウスPHVEV走行距離をこれ以上伸ばす気はないようだ。

 

まあ燃料電池車「MIRAIミライ」を発売したから、プリウスPHVのバッテリーの容量を増やさなくても、中長距離用はミライでどうぞと言う事たろうが、それには一寸無理がある気がする。いわゆる近距離(20~40km)中長距離(70km~)の間の近中距離用(40~70km)EVも必要となるのではないのか、と言う考え方だ。まあ必ずしも近距離と近中距離を分けて考える必要はないが、車と言う特性から考えると、近距離用途などと独立させて考えるのではなくて、近距離用途も近中距離に含めて考えてみる必要がある、と言う事ではないのかな。

 

しかしながら、トヨタ中長距離用環境車FCVミライを充てて、そして近距離用環境車としてはトヨタは開発を進めているが、近中距離用環境車としてのピュアEVを売り出す気は、今のところ持っていないものと推察される。このジャンルの環境モバイルとしては、現在ハイブリッドビークルHVPHVが存在しているから、トヨタとしてはそれほど危機を感じていないものと思われる。

 

トヨタはこのプリウスPHVについては、「HVに次ぐ次世代環境車の柱として位置付けています。買い物や家族の送り迎えなどはこまめに充電して電気自動車の機能で、週末などの長距離ドライブでは電池残量を気にせず安心してHV自動車として使う。そんな使い方をすれば経済性の向上や環境負荷の低減につながるのでは」(同社広報部)と言っている。


これは下記のものに掲載されていたものである。

 

試乗記:電気自動車の性能を向上させたプリウスPHV

20140707

(略)

トヨタプリウスPHVについて「HVに次ぐ次世代環境車の柱として位置付けています。買い物や家族の送り迎えなどはこまめに充電して電気自動車の機能で、週末などの長距離ドライブでは電池残量を気にせず安心してHV自動車として使う。そんな使い方をすれば経済性の向上や環境負荷の低減につながるのでは」(同社広報部)と言っている。

(略)

http://mainichi.jp/feature/car/news/20140705mog00m020005000c.html

 

この時点ではまだFCVミライは発売はされていない。しかし本ブログの2014.11.26NO.2で紹介しているように、この直前の5月末から6月初めには2014年内にFCVが発売されるニュースが流されている。それにFCVの普及には相当の時間が必要である事は十二分に理解されているので、プリウスPHVはそれまでの環境対応車として位置づけられているのであろうか。

しかしだとしたら、26.4kmの走行距離は短すぎないのかな。まあ現行プリウスのボデーを使っているので、搭載するリチウムイオン二次電池の置き場所には相当苦労しているはずで、ちっとやそっとでは電池の数を増やせないのであろう。


ちなみに日産リーフリチウムイオン電池の写真を次に掲げるが、相当大きいものである事がわかるであろう。だから日産は専用ボデーLEAFを開発したのである。

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日産リーフの「リチウムイオンバッテリー」 重量294kg1,188mm×1,570.5mm264.9mm

 

このバッテリパックを製造しているAESC(Automotive Energy Supply Corporation)によると、このパックは、セル・モジュール・バックと言う構成になっている、とそのH.Pageには記載されている。

http://www.eco-aesc-lb.com/product/liion_ev/

 

4セル×48モジュール=192セル=1パック:High energy battery pack である。そしてこのバッテリパックは、リーフの中央部の床下に搭載されている。この写真に見える白い薄い弁当箱状のものが、モジュールであろう。これが48収まっていると言うと、このパックには次のように詰まっているのであろう。公称電圧360Vで容量は24kWh

 

写真左側に縦に、22

写真手前に横に、3+3+4+4=14

写真の奥に横に、2+2+4+4=12


合計モジュール48=22+14+12、となっているのであろう。

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これは下記の日産自動車LEAFバッテリーの取り外しマニュアルに載っていたものである。

 

リチウムイオンバッテリー 取り外しマニュアル 日産リーフ 201012

http://www.nissan-global.com/JP/ENVIRONMENT/A_RECYCLE/BATTERY/PDF/nissan_leaf_manual.pdf


この通り日産LEAFの中央部の床下に、約300kgリチウムイオンバッテリーは搭載されている。


この絵を見ると、先に示したFCV「ミライ」のFCVスタックの搭載図と似ているように見える。

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ミライのスタック搭載図は、2015.1.13~NO.32~で示しているので参照願う。FCVも一種のEVなので、リーフのバッテリーが燃料電池に置き換わったものと思えば、構造的には全く同じものだと思われる。ただFCVは水素を燃料としているので、水素タンクを積んでいるところがPureEVとは異なっている。これがFCVが航続距離と充電(填)時間で、EVに勝っている所以である。

(続く)