次世代エコカー・本命は?(71)

これらの記事から、EVの比較表を作成してみた。

 

         e-up!      e-Golf        B class electric drive

・航続距離    150km        190km        200km

LWH    3,545×1,650×1,520mm  4,265×1,800×1,480mm  4,400×1,785×1,545

Wheel B   2,420mm      2,635mm      2,700mm(←↑↓B180)

・最小回転半径  4.6m        5.2m         5.2m

・ベース車両  up!      ゴルフ7(7代目ゴルフ)  B-class

・電池   18.7kWh(LIB)      24.2kWh(LIB)    28kWh(テスラ18650)

・モーター  max 60kW(82ps)    85kW(115ps)     132kW(180ps)

・最高速度   135km    140km(リミッター作動)   160km(リミッター作動)

0-100km加速  14″        10.4″         7.9″

・急速充電   3080%       ←

・運転モード    -         エコ/エコ+         

・回生制動モード  -       D1,D2,D3,B

100km充電コスト 3.02ユーロ     3.30ユーロ      


 

B180の諸元については、http://www.mercedes-benz.co.jp/content/japan/mpc/mpc_japan_website/ja/home_mpc/passengercars/home/new_cars/models/b-class/w246/facts_/product_table.html より引用している。)

 

ヒーターなどもついていると言うので、かなり電気を使う。この航続距離190kmも、理想的な状態でのものであり、普通はこの半分もゆけば恩に字なのではないのかな。(これらの装置はe-up!にも装着されているようだ。)

 

事実VWのホームページでは、「燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。実際の走行時には、この条件(気象、道路、車両、運転、整備などの状況)が異なってきますので、それに応じて燃料消費率は異なります。」と言う但し書きが、ハイライト付きで記載されている。

 

事実、そこに記載されている航続距離は、

e-up!185km(←150kme-Golf215km(←190kmとなっており、上記の航続距離とは相当の乖離がある。e-up!150kmには、「NEDC計測」と注書きがしてあった事を追記しておこう。


 

この190kmの航続距離は、ドイツの都市部の住民の一日の平均の航続距離が50kmから算出した航続距離だという。上記にも指摘したように諸々の電装品が装着されているので、190kmの航続距離だと言っても、実際は50km程度を走行するのに精一杯と言ったところなのかも知れない。


 

さて2015.2.20NO.60では、ダイムラーの「Bクラス エレクトリック ドライブ」と言うEVの記事を載せているが、このダイムラーVWは、既存のモデルにバッテリーを乗せてEV化している。

 

これに対して先に紹介したBMWi3」は、車もその工場も全く新設してEVを作り出している。同じドイツ車でも、アプローチの仕方がこれらの2グループでは、全く対照的だ。ただし既存のエンジン車をべースに電気自動車を作り出している事ではVWダイムラー全く同じ考えで、BMWテスラは全くの新設車だ。ただしテスラは、もともと自動車メーカーではなかったので、新設車となるのは当然のこと、しかしながらBMWは環境問題を考えて、工場から環境にやさしい作りに挑戦したのであり、その意気込みはテスラとは相当かけ離れて高尚なものである。

 

“多様化”が加速する電気自動車の可能性を探る

@DIME2014/11/25 22:01DIME編集部、金子浩久

【連載】金子浩久のEクルマ、Aクルマ

http://newsbiz.yahoo.co.jp/series?name=【連載】金子浩久のEクルマ、Aクルマ)

f:id:altairposeidon:20150309001231j:plain

メルセデス・ベンツBクラス』もEVを投入。リチウムイオンバッテリーは二重床ではなく、リアシートの下に収められている。 

 

最近、立て続けに新型の電気自動車(以下、EV)に乗る機会があったので、そのことをレポートしたい。まず最初は、メルセデス・ベンツBクラス』のEVから。ガソリンとディーゼルエンジンを搭載する既存の『Bクラス』にマイナーチェンジが施されたのに併せて、EVが発表されたため、一緒に試乗してきた。

「コンパクト・メルセデスは、12月に写真を発表する『CLAシューティングブレイク』でラインアップが完成します。その次の戦略としてパワートレインを拡充し、その第1弾がEV天然ガス車となります」(メルセデス・ベンツ開発担当取締役トーマス・ウェーバー博士)

 かつて、初代『Aクラス』が発表された際、二重になった床はEV用のバッテリーを収めるためにあるとし、その革新的なコンセプトが披露されてきた。だが、その計画は陽の目を見ることなく終わり、現実的にメルセデスEVは、こうして『Bクラス』をベースとして造られた。

 この『Bクラス』ベースのEVは、リチウムイオンバッテリーは二重床ではなくリアシートの下に収められている。その甲斐あってか、車内スペースを損なうことなく乗車定員5人を確保することができている。

「『BMW i3』が4人しか乗れないのに対し、『Bクラス』のEV5人乗れて、広いトランクスペースがあるのは大きなアドバンテージです」(ウェーバー博士)

 たしかに、『Bクラス』のEVは車内スペースを損なうことなく、パワートレイン部分だけを電気化しているため、ユーザーにとってもメリットが大きいだろう。実際に運転しても、車内スペース以外にも『Bクラス』のEVガソリンエンジンを備えた『B250 4MATIC』と何ら遜色なく走り、むしろ速いくらいに感じた。航続距離が短いというEV特有の宿命ともいえる弱点さえ克服できれば、十分、エンジン車の代替えとなり得るだけでなく、EV独自の魅力を発揮できる存在になり得ると感じた。

■5
ナンバーサイズのEV

 次に乗ったのが、フォルクスワーゲンe-up!』。こちらも『Bクラス』と同じように、既存の『up!』をEV化したものだ。元の『up!』が5ナンバーサイズに収まっていたが、そこは変わらず、EVになっても全長3.54mというサイズ感は変わらない。運転していても、停止から力強い加速を行なう電気モーターの特性と『up!』の軽快さがうまくマッチしており、小気味いい。できれば、もっとシンプルに仕立てて、リアシートを取り払って荷室を拡大し、2座席のコミューターにしても面白いだろう。シンプルな方向にまとめられたEVも存在意義が大きいことを気づせてくれた。

航続距離は2!?

Bクラス』のEVと『e-up!』は、既存のエンジン車をベースEV化されたという点においては共通している。

「コストを削減できるし、今までエンジン車に乗っていたユーザーにも違和感なく乗り換えることができるからだ」(『Bクラス』EVの開発担当者)

 しかし、その反面、2台は対照的でもあるところが面白い。『Bクラス』のEVは、元になった『Bクラス』が車内空間の広さを追求したコンパクトカーであることを踏襲しており、『e-up!』は5ナンバーサイズを打ち出している。どちらも、うまくまとまっていたし、どちらもアリだと思った。

 そして、『e-up!』に乗った直後に、日立がEV用の新バッテリーを開発しているというニュースを見た。なんでも今までの2倍の航続距離が実現できるようになったという。価格面での折り合いがつき、大量生産されることになれば、EVが急速な勢いで普及する可能性もある。

テスラも加えると3グループに

 上記の2台は、既存のエンジン車をEV化していることで共通。『i3』は、『Bクラス』のEVや『e-up!』などとは正反対のコンセプトで開発されている。専用のシャシーに専用のボディー。カーボンファイバーを用いたシャシー工場の電力はCO2ゼロの水力発電で稼働され、リアシートの表皮は27本のペットボトルをリサイクルして造られる。あらゆることが『i3』専用にオペレーションされており、その徹底ぶりは見事なものだ。

i3』のような“何でも専用”と、『Bクラス』のEVや『e-up!』のような既存車活用型EVには大きな隔たりがある。善し悪しの問題ではなくて、発展途上にある技術には必ず伴う二極化現象だ。現在、世界のEVは『i3』とその他に分けられるが、そこにテスラも加わると3つのグループに分けられるだろう。テスラは独自の専用シャシーとボディーを持ち、大量のバッテリーで長距離走行を可能にしているが、充電方式や高価格設定などで独自路線を貫いている。

 百花繚乱というにはまだ早いが、三菱『i-MiEV』や日産『リーフ』が発表された時よりもEVの選択肢は広がっている。あえて車名は挙げないが、他にもEVは登場しているし、海外のモータショーなどでは販売を前提としたEVのコンセプトカーが多く出展されている。僕は、シャシーとボディーの造られ方で分類してみたが、もちろん、他の分け方だってある。いずれにしても、様々な種類のEVが生まれてきている。それらを受けて、これからEVの多様化時代が始まるだろう。それにしても、日立のバッテリー技術のその後が、どうしても気になってしまう。

文/金子浩久

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20141125-00010007-biz_dime-nb

(続く)