次世代エコカー・本命は?(79)

想定以上に拡大する可能性のあるEV市場にトヨタが目をつけた」と言った主旨のことが書かれているが、まあそんなところであろう。何と言ってもFCV510年かけて普及が進む車であるからして、ここでは20~30年と書かれているが、その間、当然ある程度EVが幅を利かすことになる。燃料電池車は将に全くの新技術なので、インフラ整備や低コストの水素の生成にはそんなに時間が掛るのである。

 

そんなこともあってトヨタ小木曽聡常務役員燃料電池車は(数ある中の)一つと言った主旨のことを言ったものと思われる。小木曽聡常務役員は初期からハイブリット車の開発に従事してきた方であるが、この6月にはトヨタのブレーキ事業を統合した「アドヴィックス」と言う会社の社長に栄転することになっている。


 

アドヴィックス社長に小木曽氏 トヨタ常務役員

2015/3/6 2:00
ニュースソース
日本経済新聞 電子版

 アイシン精機子会社でブレーキ事業を手掛けるアドヴィックス(愛知県刈谷市)は6月の株主総会後にトヨタ自動車の小木曽聡常務役員(54)を社長に迎える人事を固めた。川田武司社長(67)は顧問に就く見通し。

 トヨタグループ内の部品再編でトヨタデンソー、アイシンのブレーキ事業アドヴィックスに集約される。同社がトヨタから直接社長を迎えるのは初めて。小木曽氏は1983年にトヨタに入社し、製品企画などの部門を経て2013年に常務役員に就いた。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO84023860W5A300C1TJ1000/


 

まあ航続距離が短くて、バッテリーへの充電に時間が掛るEVは、ある意味誠に不便である。特にマンションなんぞときたら、精々一基しか充電設備は設置されていない。戸建住宅であれば、寝ている間に充電が出来るので、家持ちにしかEVは売れないことになる。マンションの住民は出勤先の近くか会社でしか、満足な充電が出来ないことになるが、アメリカでは「リーフ」が静かなブームになっていると言うし、ノルウェイでは国の施策もあってか電気自動車が非常に普及していると言う。

 

電気自動車普及に成功した国は何をしたのか?
1回 ノルウェーはなぜ電気自動車普及に成功したのか

国吉 浩=独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構

2014/10/29 00:00

f:id:altairposeidon:20150316003903j:plain

 20148月、Global Smart Grid FederationGSGF)は、電気自動車EV)のインタフェースの世界的な政策動向と提言を取りまとめた白書EVの系統相互作用とインタフェース(Grid Users Interactions and Interfaces)」を発表した。この白書は、GSGFに設置された作業部会(WG)において、約1年を掛けて情報収集、議論を重ねた成果だ。WGには、アイルランド、オーストラリア、カナダ、韓国、台湾、デンマーク、日本、ノルウェー8カ国が参加。日本からは、WGの議長を務めた筆者(写真)をはじめ、日本自動車工業会トヨタ自動車)の汲田邦彦氏、三菱総合研究所の志村雄一郎氏などが参加し、白書の取りまとめをリードした。同白書は、EVの普及政策について、課題や優良事例を示すとともに、EV本格普及に向けた充電インフラ整備の必要性などを提言している。世界の産業界の見解として、今後のスマートグリッドに関する政策に影響を与えることが期待されている。ここでは、この白書に示された電気自動車普及のポイントについて紹介したい。

 第1回目は、電気自動車EV)普及先進国として知られるノルウェーの事例を見てみよう。ノルウェーは政府の手厚いEVに関する支援策によって、急速にEVが普及している国である。GSGFの白書を取りまとめた時期には、2万台程度のEVノルウェーの道路を走っていたが、この記事の執筆時には34千台まで増えており、その伸びはとどまることを知らない。今年8月には新車販売台数の実に15%近くがEVだった。

 

f:id:altairposeidon:20150316004042j:plain

ノルウェーにおけるEVPHEVの普及の推移

ノルウェーNPOGronn Bil (緑の車)Webサイトより

 

 ノルウェースカンジナビア半島の北西に位置し、冬の寒さが非常に厳しい国である。電力のほぼ全てが水力発電で賄われており、電気代は安いものの、冬期のヒーター使用によりEVの電費(ガソリン車の燃費に相当)はあまり良くない。実は、ノルウェー北海油田を擁する世界有数の産油国でもある。化石燃料に事欠かないノルウェーで、なぜEVがここまで普及したのだろうか。

f:id:altairposeidon:20150316004125j:plain
ノルウェーの急速充電スタンド

f:id:altairposeidon:20150316004213j:plain

大学キャンパスの駐車場には多数のEVが並ぶ

 

 ノルウェー政府は2020までに二酸化炭素の排出量30%削減2050までにカーボンニュートラルな社会の実現を目標としている。運輸部門もその例外ではない。すでに2020年までに新車のCO2排出平均を85g/km以下にすることを目標としており、その達成のために水力発電をエネルギー源とするEVが有望視されているのだ。このため政府は、2000年代からノルウェーEVの普及先進国にするという政策目標を掲げ、EVユーザを厚遇する政策を長期にわたって提供してきた(下表参照)。

表 電動車向けの優遇施策の例

施策例

概要

税制上の優遇

・自動車登録税の免税(VWゴルフは75-125万円)
・消費税免税(25%

有料道路料金免除

EVは有料道路料金から免除されている

バス専用レーン利用

EVのナンバープレートに「EL」の記号があり、バス専用レーンを走行できる

充電インフラの補助金

・急速充電インフラと普通充電インフラの補助金がある

公共駐車場の無料開放

EVノルウェー全土の公共駐車場に無料で駐車できる


(続く)