次世代エコカー・本命は?(103)

新型電池と言い、ワイヤレス給電と言い、今年はさらに進化した内容のものが出てくるものと思われる。このように技術は日進月歩しているのでEVにしろFCVにしろ、しばらく目を離していると、格段に進んだものに進化して世に出てくることにびっくりすることであろう。目を見張るようなことが起こることになれば良いのだが。


 

8FCV・白金触媒やその他の技術革新について

 

燃料電池にしても、いろいろな改良や新発明が行われている。そしてコスト低減が進んで、使い勝手もよくなってゆくものと思われる。

 

燃料電池車としては水素ステーションの設置がさしずめ最も緊急をするものではあるが、それよりも急がれるのは燃料電池車のコスト削減である。それには先ず、高価な白金触媒に代わる安価な触媒の開発が急務となる。しかしすでにその芽は伸び始めているようだ。何はともあれCO2フリーの唯一(?)の技術である、大事に育てていきたいものだ。


 

燃料電池 もっと安く東工大 触媒を節約/トヨタ 電極簡素に 車体価格下げ狙う

2014/9/30
ニュースソース
日本経済新聞 朝刊

 燃料電池車の動力源となる燃料電池のコストを下げる技術開発が相次いでいる。東京工業大学九州大学燃料電池で電子をやりとりする触媒で高価な白金の量を減らす。トヨタ自動車日産自動車パナソニックも電極を変えて簡単な構造の電池をつくる。東京大学は燃料の水素をためるタンクの材料を節約する。車体価格を下げ、普及につなげる狙いだ。

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 東工大山口猛央教授らは触媒に使う白金の量を3分の1に抑えた。白金触媒に鉄などを混ぜ、白金の原子間の距離を変えて触媒の効率を3倍にした。耐久性も従来より高い。10年の使用を想定した試験で検証済みで、5年後にも実用化する。

 燃料電池車には30グラム程度の白金を使う。安い金属を白金で覆う考えもあったが、耐久性が落ちる課題があった。

 九州大中嶋直敏教授らは小さな白金の粒をカーボンナノチューブ筒状炭素分子)に固定する方法を考案した。粒が小さくても塊にならず、電池の性能が下がらない。白金の量が10分の1になるという。

 トヨタや日産、パナソニックなどのチームは、燃料電池電極表面に並ぶ炭素の粒を柱の形に変え、触媒に効率良く酸素が届くようにした。反応でできた水を取り除く構造を研究し、電極1枚あたりの発電効率を上げ、数百枚は必要になる電極を減らし燃料電池のコストを1割以上削減する。

 燃料電池に水素を供給する設備のコストダウンも欠かせない。東大吉川暢宏教授らは日産と共同で水素タンクの製造コストを1割減らすめどをつけた。

 高い精度のシミュレーション(模擬実験)技術を使い、タンクに巻く炭素繊維強化プラスチックの無駄を省く。タンクを8500万カ所に分けて計算し、強度を保って使用量が少ない条件を探る。

 燃料電池車はトヨタ2014年度内に市販する予定だ。新エネルギー・産業技術総合開発機構は普及には燃料電池のコストを現在の100万円程度から50万円程度に下げる必要があると試算している。

http://www.nikkei.com/article/DGKDZO77721280Z20C14A9TJM000/


 

この記事では、触媒として使用される白金の量を将来的には10分の1に減らすと言う。次の記事は、その白金に替わる材料を使って触媒を作ると言うものである。だからこれが実用化されれば、相当のコストダウンとなろう。このようにFCVにおいても技術革新は進んでいるのである。


 

帝人燃料電池車の触媒安く白金使わず、10分の1以下狙う

2014/10/21
ニュースソース
日本経済新聞 朝刊

 帝人は自動車各社が市販を検討する燃料電池車向けに安価な触媒を開発した。高価な白金の代わりに割安な鉄と窒素を使う。今のところ性能は現在の約70にとどまるが、改良して白金以上の性能を目指す。触媒の価格を10分の1以下に下げるのが目標だ。サンプル提供の相談にも応じる。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構のプロジェクトで開発した。東京工業大学の協力も受けた。米電気化学会の国際会議で発表した。

 開発したのは燃料の水素イオンと電子、酸素から水を作る触媒の新材料。現在の触媒は炭素粒子に白金を付けているが、白金鉄と窒素に置き換えた。白金は産地が南アフリカやロシアに偏るが、鉄と窒素は入手に困らない。

 原料には塩化鉄などの鉄化合物、窒素を含む高分子のポリアクリロニトリル(PAN)を使った。鉄化合物とPANを溶媒に溶かし、アンモニアを入れた気体中などで熱処理すると、直径数百ナノ(ナノは10億分の1)メートルの粒子ができた。この粒子を触媒に使って燃料電池を試作し、1アンペアの電流で約0.4ボルトの電圧を発生した。

http://www.nikkei.com/article/DGKDZO78654240Q4A021C1TJM000/


 

トヨタもこのことは十二分に弁えている様で、現在必死に白金に変わる触媒の開発に取り組んでいるものと思われる。しかも白金の埋蔵量は、高々8万トン程度だと言われ、しかも南アとかロシア、カナダなどに偏在していると言う。とすると燃料電池車を普及させるには、この白金の確保が鍵となってくるが、このような状況であればFCVの普及はそんなに易々とは進まないものと思われる。

 

しかし次の記事を読むと白金に代わる触媒などが、次々と(は少し言いすぎではあるが)発明されている様だ。

(続く)