続・戦後70年談話はヒストリーで!(5)

寛容でない国もある


 韓国に対する「嫌味」と受け止められる部分もあります。先ほど引用した「私たちは、心に留めなければなりません」の少し後に続く部分です。

  • 米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。

  • 戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか。

  • そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。

  • 寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。戦後七十年のこの機にあたり、我が国は、和解のために力を尽くしてくださった、すべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。

韓国にはもう、謝らない


---なるほど!「寛容な人々には感謝する」――つまり「寛容ではない国もある」ということですね、日本側として戦ったのに。


鈴置:そして、安倍談話は以下に続くのです。

  • 日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命背負わせてはなりません


---「そもそも謝らなくてもいい韓国には、何度も謝罪している。もう謝らないよ」ということでしょうか。


鈴置:そう受け止めるのが自然でしょう、普通の日本人の感覚から言っても。もちろん韓国は「歴史」という外交上の武器を失いたくないので「永遠に謝るべきだ」と言うでしょうが。


---よく分かりました。結局、安倍談話は韓国を徹底的に無視、あるいは韓国に触れてもあてこすった、ということですね。


鈴置:厳密に言えば、こうです。韓国が3つのキーワードを提示し「これを必ず談話に入れて謝れ」と日本に言い渡した。日本はそれらを全部使いながらも、韓国とは全く関係のない談話を発表した――ということです。

ではそれに対し、韓国紙はどう反応しましたか?

(次回に続く) ※821日公開

早読み 深読み 朝鮮半島

朝鮮半島情勢を軸に、アジアのこれからを読み解いていくコラム。著者は日本経済新聞の編集委員。朝鮮半島の将来を予測したシナリオ的小説『朝鮮半島201Z年』を刊行している。その中で登場人物に「しかし今、韓国研究は面白いでしょう。中国が軸となってモノゴトが動くようになったので、皆、中国をカバーしたがる。だけど、日本の風上にある韓国を観察することで“中国台風”の進路や強さ、被害をいち早く予想できる」と語らせている。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/226331/081800008/?P=1


 

この最後の質問事項(結局、安倍談話は韓国を徹底的に無視、あるいは韓国に触れてもあてこすった、ということですね。)が、鈴置氏の解説の真意なのであろう。

 

結局は韓国は打っちゃられてしまった、と言うことなのである。2014.5.19の小生のブログ「馬鹿な韓国、頓馬な朴槿恵(120)」では、「ここ当分は、でなくて今後は、朝鮮・韓国なんぞには、一切行かないことだ。朝鮮・韓国が反日教育をやめない限り、放韓(放っておく)や脱韓(一切関わらない)を心がけること、であろう。」と述べたわけであるが、安倍談話では見事にそれを実現させている。誠に快哉(かいさい)である。拍手喝采である。

 

アメリカはこの「安倍談話」を、ベタ褒めである。


 

戦後70年談話を米国はどう受け止めているか
米政府は歓迎、米メディアはネガティブ

2015816日(日)高濱

 安倍晋三首相が814日、「戦後70年談話」を発表した。これに対して米国の政府とメディアは異なった反応を見せている。

 談話が発表されてから数時間後、国家安全保障会議NSCのネッド・プライス報道官は次の声明を発表した。最大限の「歓迎」を表わした声明だ。

 「我々は、安倍首相が次の2つを表明したことを歓迎する。1つは歴代首相が出した歴史認識に関する談話を継承するとのコミットメント。もう1つは、第二次大戦中に日本が(近隣諸国に)与えた苦しみに対する痛切な反省だ。また我々は、国際社会の平和と繁栄に対する貢献を日本が今後いっそう拡大していく意志を確認したことを評価する。戦後70年間、日本は平和、民主主義,法の秩序への変わらぬコミットメントを具現化させてきた。これは世界中あらゆる国とってのモデルである」
"Statement by NSC Spokesperson Ned Price on Japanese Prime Minister Abe's Statement on the 70th Anniversary of the End of World War II," Office of Press Secretary, The White House, 8/14/2015

 一方、米メディアはまずAP通信の東京特派員が「Stop short of WWII apology 」(謝罪は思いとどまる)と速報。これを追ってニューヨーク・タイムズワシントン・ポストなど主要紙は「歴代首相の謝罪に共鳴したが、新たな、自らのパーソナルな謝罪a new, personal apology of his own)はせず」など異口同音のネガティブな報道に終始した。
"Shinzo Abe Echoes Japan's Past WWII Apologies but Adds None of His Own," Jonathan Soble, New York Times, 8/15/2015

 米メディアは、安倍談話に対する米政府や議会の反応についてはいっさい触れていない。その一方で、中国と韓国の政府がどう出るか、「安倍談話の内容を両政府ともに慎重に精査するだろう」と予測している。

米政府と米メディアの間にある落差

 米政府米メディアの「落差」はなぜ生じたのか。その理由は3ある。

 その一つは、一般論だが、米政府はよほどのことがない限り、同盟国の言動について公の場では批判はしないことだ。批判したり、異議を申し立てたりしたい時には「ノーコメント」としてコメントを避ける。

 2つ目は、安倍首相の歴史認識についての米政府の立場がはっきりしていることだ。日米政府間において歴史認識については、今年429に安倍首相が米議会で行った演説で決着済みとの認識だ。

 首相が明言した「痛烈な反省」と「戦没米兵への鎮魂」は米議会だけでなく、一般米市民の琴線にも触れた(「安倍首相の議会演説で米国の『歴史認識問題』は決着」参照http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20150507/280770/?rt=nocnt)。このため米政府は、戦後70年談話が「この米議会演説のトーンをそのまま反映するのであれば、歓迎する基本姿勢を固めていた」――米主要シンクタンクの上級研究員の一人はこう見ている。


(続く)