直前の安倍・ケネディ会談の中身

 米政府関係者によると、バラク・オバマ米大統領は安倍談話発表前、キャサリンケネディ駐日米大使に安倍首相に会うよう訓令を出した。同大使は810日午後559から約30分間、首相官邸で安倍首相と会っている。

 話し合われた議題は2つ。1つは815日に首相が靖国参拝をするかどうか、いま1つは14日に発表される予定の「戦後70年談話」だったと言われる。安倍首相は前者については「ノー」、後者については談話の内容を示したという。

 安倍首相は靖国参拝には苦い経験がある。第二次政権発足直後の201312ジョー・バイデン米副大統領らの説得を振り切って靖国神社に参拝した。米政府は まず駐日米大使館名で「失望」を表明。その後、これを国務省声明に格上げした。米政府が「失望感」を表明したのは、A級戦犯を祀る靖国神社に対する中韓の反発が米国の極東戦略を混乱させる要因を孕んでいるからだ。さらに、安倍首相やその周辺にある「極東裁判史観」に対する反発があった。米国にとってこれは譲歩できない一線だった。

 米政府は、今年の終戦記念日に安倍首相が靖国参拝しないことがはっきりすれば、安倍談話については出来うる限りのポジティブな反応を示す――安倍首相の議会演説を受けて米政府の腹は決まっていた。村山談話や小泉談話を継承する姿勢を示せば、「謝罪」とか「植民地主義」とか「侵略」といった個々のキーワードについてとやかく言う必要もない。

 「村山富市首相、河野洋平官房長官が(談話で)示した謝罪は、日本が近隣諸国との関係を改善しようと努力する中で重要な第一章を刻んだというのが我々の見解だ」(201515サキ米国務省報道官

 「我々は、日本が戦後、平和のために行ってきた貢献とともに、安倍首相が過去1年間に行なった、歴史認識に関するポジティブなコメントを歓迎している。我々は、『過去に関して歴代首相が表明した見解を堅持する』とした安倍首相のワシントンでの発言に留意している。また、我々は、東アジア地域の諸国間の強固で建設的な関係は同地域の平和と安定を促進すると信じている。このことは米国の国益のみならず諸国間の利益に資するものと考えている」(201586日、トーナー米国務省副報道官)

安保法制、普天間問題で汗を流す安倍首相へのエール

 米政府が安倍談話について最大限の「歓迎」を表明した3つ目の背景はオバマ政権が直面する対日外交上の懸案がある。

 安倍首相は、野党や一部世論の反対を押し切って安保法案の成立を目指している。同法案は日米新ガイドラインに直結する法案だ。普天間飛行場の移設問題をめぐって、日本政府と沖縄県の確執が続いている。米国は安倍首相に恩義を感じている。

 まだある。ウイキリークスが暴露した、米政府による安倍政権への盗聴問題だ。沖縄県で起きた米軍ヘリコプターの墜落事故もある。オバマ政権にとっては安倍首相に負い目を感じる話ばかりだ。安倍談話について重箱の隅をつつくような反応は示せない。「歓迎」にはこうした直近の政治問題も絡んでいる。

米メディア報道に投影する「米国のホンネ」

 中国、韓国は案の定、安倍談話に物言いをつけている。米政府は「想定内の展開」と見ている。

 ある米国務省OBの一人が筆者にこう指摘した。「中国も韓国も、自分たちが望む文言や表現を安倍首相がしないことぐらい最初から分かっていたはずだ。何をどう言おうとも反発するだろう。だから安倍談話を受けて直ちに日中首脳会談や日韓首脳会が行われるような状況ではない」。

 「正直言って、米政府は安倍談話によって日本と中国・韓国との間にある歴史認識問題をすべて決着し、前に進むことを願っている。歴史認識をめぐる日中、日韓の確執は、東アジアにおける米国の国益に少なからず悪影響を与える。また日米同盟にとっても好ましくない。なによりも、東アジア太平洋地域でより大きな政治的軍事的役割を演じようとしている日本にとっては喉に刺さった骨だ」

 米メディアが、ネガティブな報道している背景には、前出の国務省OBのホンネ――今回の安倍談話で、中韓を満足させるストレートで踏み込んだ謝罪をすることで歴史認識を一気に決着させてほしかった――が投影されていると見るべきか。

 安倍談話を受けて、日韓、日中関係は今後どうなるのか。米国の東アジア研究者による突っ込んだディスカッションが18日、米シンクタンクヘリテージ財団」で行われる。マイケル・グリーン戦略国際問題研究所CSIS)副理事長、シーラ・スミス外交問題評議会級研究員、ブルース・クリンガー ヘリテージ財団上級研究員らが出席する。

アメリカ現代政治研究所

米国の力が相対的に低下している。
2013
9月には、化学兵器を使用したシリアに対する軍事介入の方針を転換。
オバマ大統領は「米国は世界の警察官ではない」と自ら語るようになった 。
2013
10月には、APECへの出席を見送らざるを得なくなった 。
こうした事態を招いた背景には、財政赤字の拡大、財政赤字を巡る与野党間の攻防がある。

米国のこうした変化は、日本にとって重要な影響を及ぼす。
尖閣諸島歴史認識を巡って対中関係が悪化している。
日本にとって、米国の後ろ盾は欠かせない。

現在は、これまでに増して米国政治の動向を注視する必要がある。
米国に拠点を置いて20年のベテラン・ジャーナリスト、高濱賛氏が米国政治の最新の動きを追う。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/261004/081500001/?P=1


 

米国の対応状況は、誠に事なかれ主義である。ヒストリーに準じて行動しようとしている日本の動きに対しては、一顧の考慮もない。米国としては、中韓の反発が大きくなければそれでよし、とするだけである。だから歴史の事実を曲げようが捏造しようが、中韓が反発しなければそれで良し、とのスタンスなのだ。日本の立場なんぞは、考慮に値しない。

 

何せ日本の独立を守っているのは、この米国である。守ってやっているのに、何の文句があるのか、と言った立場だ。そのためには中韓からの反発は少しでも和らげたいと言う立場なのだ。それが米国の国益なのだ。日本の立場なんぞは考慮しない。日本の立場は既に「極東国際軍事裁判東京裁判」で、定まっていると言ったところがアメリカの態度だ。

 

しかし我々はこの東京裁判ほど出鱈目なものはない、と断じている。この裁判の中で、唯一の国際法の専門家であるインドのラダ・ビノード・パール判事だけが、「平和に対する罪」と「人道に対する罪」が事後法に当たるとして、全員無罪を主張している。これが裁判の本当の誠なのであるが、日本は未だに自分の国でさえ自分で守ることが出来ない制度になっている。だから、他国の判断が優先されてしまっている。自分の国を自分で守ることが出来る制度が整っていれば、いくら東京裁判があったからと言って、他国から70年もたっているのに「とやかく」言われることはなくなっていたであろう。

 

それに未だに「靖国神社」への参拝にイチャモンが付けられている。早急に東京裁判史観から脱却させる必要がある。それには頻繁に靖国神社参拝」を続けることである。そのためにも自分の国は自分で守ってゆく必要がある。

(続く)