続・戦後70年談話はヒストリーで!(34)

(私のコメント)
アメリカの見えない国家戦略は、アメリカの外交をよく分析しないと見えてこない。アメリカの大統領の言っている事とやっている事が矛盾しており、同盟国の日本を叩き潜在敵国の中国と戦略的パートなシップを謳う外交は、日本人には理解に苦しむ事だ。北朝鮮のミサイル発射を巡る安保理決議も日本はアメリカに裏切られて議長声明で終わってしまった。

ソ連崩壊以降のアメリカの外交の基本は、ナンバー2である日本を徹底的に抑え込む事であり、戦略的パートナーである中国と組んで日本を弱体化させることだ。日本を弱体化させることで超大国となる中国から守ってやると言う姿勢で在日米軍を半永久的に置いて日本から金を出させるのがアメリカの国益になる。

今週もパキスタン支援国会合が東京で開かれますが、アフガニスタン支援国会合もイラク支援国会合も日本は参加して大金を支援していますが、日本は金をばら撒くばかりでそれを外交に生かしているとは言えない。アメリカは金が必要な時だけ日本にすり寄ってきて金を出させる。EUは全体でも6億ドル程度なのに日本は10億ドルも出す。

経済援助は外交政策として必要ですが、自主的なものでなければならない。イラクにしてもアフガニスタンにしてもパキスタンにしてもアメリカがさんざんボコボコにしてきた国であり、ボコボコにしてから助けてあげると言った自分勝手なアメリカの行動に日本がお付き合いをしてあげる理由は無い。

日本はむしろアメリカの自分勝手な行動を諌めるべき立場なのですが、むしろ日本の首相は従属的な態度を振舞うのが通例になっている。アメリカは世界の警察官と言うよりもマフィアの親分と言うべき国であり、敵であるマフィアには友好的な態度で接して、部下に対しては血の粛清でマフィアの秩序を守ろうとする。

グルジアもアメリカにとってはかわいい子分のはずですが、ロシアとの武力衝突を避けてグルジアを裏切ってしまった。韓国も台湾も中国との対立を避けるためには切り捨ててしまうかもしれない。イラクアフガニスタンには戦争を仕掛けておきながら、極東では戦略的な撤退が続いている。北朝鮮が核を開発したりミサイル実験をしても制裁するつもりは無いようだ。

日本の外交は吉田ドクトリンに変更はないようですが、米ソの冷戦構造では有効な戦略でも、冷戦が崩壊して米中によるG2体制を目指しているアメリカに対しては吉田ドクトリンは時代錯誤である事に政治家も国際政治学者も気が付いていない。むしろアメリカは中国と連携して日本封じ込め戦略をとっているものと見られる。それは90年代のクリントン外交を見れば明らかだ。

アメリカは冷戦崩壊以降の敵の姿が見えなくなって疑心暗鬼となり、誰が敵で誰が味方であるかを見失ってしまった。9・11テロ事件における常軌を失ったアメリカの態度は世界を震え上がらせましたが、結局はイラクアフガニスタンを血祭りに上げて鬱憤を晴らした。だからその矛先がいつ日本に向けられるかもしれない注意が必要だ。

アメリカの唯一の弱点は経済力が衰退して来た事であり、ドルの基軸通貨体制に軋みが生じてきている事だ。アメリカはIT革命だとか金融革命だとか言う幻想を作り上げては世界から金を集めて金融帝国を作って世界支配を目指そうとした。しかしIT革命も金融革命もガセである事がばれてバブル崩壊が起きている。

もしかしたらオバマ大統領はアメリカのゴルバチョフなのでしょうか? ソ連の崩壊も経済の行き詰まりからおきましたが、アメリカも経済が行き詰ってアメリカ軍もイラクやアフガンで勝利なき戦いを続けている。このような状況にもかかわらず日本は能天気にアメリカ従属姿勢を続けているのですが、90年代の日本叩きに懲りてアメリカに対して何も言えない。

アメリカ政府は80年代から何度も日本政府に対して戦略的対話を呼びかけましたが、日本からはなんらの戦略構想も打ち出す事が出来なかった。それがアメリカの疑心暗鬼をよんで日本叩きに繋がったのだろう。しかし叩いたところで日本はアメリカへの従属しか打ち出せなかったから呆れ返ってしまった。集団的自衛権すら放棄しているのだから同盟国ですらないと言う事になる。

しかし集団的自衛権を認めればアメリカがイラクと戦争をすれば日本もイラクと戦争する事になり、アフガニスタンにも軍隊を派遣する事になる。小泉内閣の時にも自衛隊の出動が求められましたが復興支援という名目で自衛隊が出た。インド洋への補給活動も、ソマリア沖での海賊対策でも自衛隊が出動していますが、何らかの戦略に基づいた行動なのだろうか?

アメリカの日本弱体化政策と集団的自衛権は矛盾した政策に見えますが、日本をアメリカの完全なコントロール下に置くという見方からすれば矛盾しない。自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入り植民地軍としての忠誠を求められている。中国がこのまま軍事大国化して台湾や朝鮮半島に戦争を仕掛けてきたら、アメリカ軍の指揮下で自衛隊が中国と戦う事になるのだ。

田中良紹氏のブログでも日本を自立させない事がアメリカの戦略であり、明治維新以来米英にとっては日本は番犬であり、清朝帝政ロシアと戦争させられてきた。それと同じような状況に日本はあるのですが、集団的自衛権を認めれば再び日本はアメリカの番犬になってしまう。

このような複雑な状況では日本独自の戦略を言えと言っても無理なのであり、日本はアメリカの番犬になるまいと無言の抵抗を続けているのですが、アメリカの方も米中によるG2体制と言うフェイントを出してきた。地政学的に言えば大陸国家である中国とアメリカとは同盟国とはなり得ない。中国が大国化すればするほどアメリカとの利害の衝突が起きる。その点から言えばブレジンスキーのG2体制発言は気が狂ったとしか思えない。

日本は日米安保条約によって国内にアメリカ軍の基地で固められてしまっている。こんな状態で外交や軍事を考えろと言うのは無理な話で、どうしたら日本は真の独立を勝ち得るしか当面の目標は無い。アメリカが衰退して行って自発的に日本から出て行ってくれる事を願うしかないのであり、在日米軍が日本に駐留している限り日本が独立国であるというのは幻想に過ぎない。

http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/b46937dc4bc9bf82c3ccd8cdf8a1f046



だから何度でも言うが、先にも述べたように


『ここから日本が導き出さなければならない結論は、上述したように「第四のパラダイム・シフト」を決行して、


・自主的な核抑止力を持ち、自主防衛能力を構築することであり、さらに

同盟関係を多角化して、

軍事技術の確保も多角化することである。

 

と言うことを説明した。』


と言うことでないと、日本は滅びてしまう。

 

下の2項は何とか進んでいるように見えるが、問題は1項である。なんとしても最小限の自主核抑止力を構築する必要がある。これは日本のサバイバルに必須なことである。日本国民の一刻も早い覚醒(かくせい)を期待したい。

(終り)